冒頭からハラハラドキドキの息もつかせぬ展開で、一気に物語の世界に引き込まれる。
工藤祐司(岡田准一)はとある所轄の刑事。母危篤の報を受け、夜、大雨で視界不良の中を、ひとり車で病院に向かっている。ただでさえ焦る彼に、病院への到着を急かす妻(広末涼子)や汚職絡みのトラブル発生を告げる所轄の上司から、ひっきりなしに電話がかかって来る。
そこへ突然、目の前に現れた男(磯村勇斗)。ブレーキを踏むも間に合わず、その男は工藤の車のフロントガラスに激しく激突。工藤は慌てて車から降りて路上に倒れた男の状態を確認するが、既に男は息絶えていた。
気が動転する工藤。間髪を入れずサイレンと共に遠くからパトカーが近づくのを目にして咄嗟に遺体と共に身を隠すが、パトカーは違う道へと入って遠ざかって行く。工藤は思わず近くにあった黒いビニールシートに遺体を包み、自身の車のトランクに入れると、再び車を走らせる。
しかし、それも束の間、運悪く交通課の飲酒運転の検問に引っ掛かてしまう。元より工藤を快く思わない交通課の同僚数人にしつこく絡まれる工藤。
そこに(救世主の如く?)現れたのが、工藤ら刑事課の汚職事件の監査に訪れた県警本部監査課の矢崎貴之(綾野剛)だった。その矢崎の機転で工藤は同僚達から漸く解放され、病院に立ち寄った後に所轄での矢崎との面談を約束して、男の遺体を車のトランクに乗せたまま病院へと急ぐ…
のっけから邦画らしからぬ疾走感で魅せる本作。実は2014年に日本でも公開された韓国映画「A Hard Day(邦題:最後まで行く)」のリメイクらしい。
日本に先立って、フランス(仏題:レストレス)、中国、フィリピンでもリメイクされたと言うから、オリジナル作品は国境を越えて世界各国の映画人を魅了した作品だったのだろう。
往々にして、リメイクはオリジナルを超えられないものだが、本作は辛口で知られるアジア・アクション映画ウオッチャー(宇田川幸洋氏)をも唸らせる仕上がりになっているようだ。
本作の面白さには、私もおおいに同意!
先ほど運良くWOWOW(←本作の制作に関わっているらしい)でオリジナルの韓国版を見ることが出来たのだが、本作を見た後ではオリジナル版は意外にもシンプルな筋立てに、あっさりとした結末で拍子抜けした。韓国アクション映画らしく暴力描写は執拗で徹底していたが…(もちろん、オリジナリティは素晴らしい!)
本作はオリジナル版にはないキャラクターを登場させたことで、単に1対1の対決構図に留まらず、二重三重のトラップで物語に奥行きを与え、描かれる犯罪もスケールアップしたように見える。
「最後まで行く」徹底ぶりは、日本版に軍配が上がるだろうか?(笑)
本作の演出を手掛けたのは「社会派」で知られる藤井道人監督。これまで監督の作品は、映画賞を総なめにした「新聞記者」(2019)、「やくざと家族 The Family」(2021)、「余命10年」(2022)、「ヴィレッジ」(2023)と見て来たが、リメイク作品である本作は、韓国発ノンストップ・アクション映画に"社会派"風味を加えて、独自色を出した印象👍。
さらに本作に先だって見た「ヴィレッジ」はひたすら暗く重苦しい物語だったが(←でもけっして嫌いではない)、本作は一転して娯楽作品然として、緊迫した状況下でも随所に笑いが散りばめられている。工藤(岡田准一)のポンコツぶりと矢崎(綾野剛)の「ありえねー」ゾンビぶりは必見(笑)。
13年前にワンシーンのみの共演以来、初めて本格共演を果たした岡田准一と綾野剛の演技対決は本当に見ものだ。岡田准一は"格闘技無双"を封印して、狂気じみた綾野剛との死闘を見せる。限度を知らないそのクレイジーぶりが思わず笑いを誘う。
今朝のテレビ番組「王様のブランチ」映画コーナーのインタビューで岡田准一も言及していたが、最後の綾野剛の表情は最高!
綾野剛はやっぱり演技が巧い(だから“素行不良で自滅”だけはしないで欲しい) 。
日本のサスペンス・アクション映画の新たな扉を開く本作を是非、映画館でご覧あれ!
(了)
韓国映画のリメイクなんですね。
多分、配信を待つことになるかとは思いますが、そのうち観ます。
では、また来させていただきます
いやあ、普通、邦画は映画館で見る予告編ほど面白くなかったり、リメイクはオリジナルを超えることは難しいものですが、これは面白かったですね。やり過ぎてリアリティーに欠ける部分もありますが…😅。
機会あれば是非ご覧になって、ブログで感想をお聞かせくださいね。
岡田准一は演技派俳優よね
大好きなのだ💓
私も岡田准一さん、好きです。演技にしても、格闘技にしても、ストイックに取り組むところが素敵ですね。
演技にも幅が出て来て、クールでカッコいいだけでなく、今回の作品で演じた刑事のようなダメ男も演じるようになりました。
大河の信長役も既に時代劇を何本も経験しているから貫禄があって、主演の松潤との対比が鮮やかで良いですね👍。
面白そうな映画ですね。
韓国映画は独特な雰囲気~ありますね。
韓国映画「最後まで行く」見てみますね。
私もいつかWOWOWで 放送があったら見ますネ(笑)
しばらくブログから離れていたので、コメントをいただいたことに気づかず失礼しました。
本作、日本のアクション映画にしてはかなり頑張った方だと思います。オリジナルよりさらにスケールアップしています。
主演の岡田准一さんは常々「世界に誇れる日本映画を」と各所で言われていますが、彼の俳優としての進化も目の当たりに出来る作品になっていると思います。
機会あれば是非、ご覧になってみてくださいね。