薬というものは、体に対するいろいろな作用を惹き起こします。その中で、バランスのくずれた状態から正常へ近づけるような作用を期待して、薬として使用するわけです。作用の中には、好ましくない働きもあり、其れが前面に出ると、副作用ということになります。一方、主作用のほうも、薬のさじ加減を間違えれば、効きすぎということになります。たとえば、降圧薬を過量投与すれば血圧が下がりすぎるし、糖尿病の薬を使いすぎれば低血糖になります。
癌末期の痛みに対する治療として、麻薬は非常に重要なお薬です。麻薬の使用に関するさまざまな誤解は根強く残っていますが、やはり他の薬と同様にさじ加減が大変重要になります。
karakaraさんのご質問にあるような(先日テレビで癌で亡くなった若い方のドキュメントがあっていましたが、痛みの治療で麻薬を使うと意識がなくなり人間としての生ではなくなるように表現されていたようにおもいました。)という場合、2点ほど注意が必要だと思います。
1:基本的には、麻薬のベースとして消炎鎮痛剤を使用する必要があること。
2:麻薬では取りきれない痛みが1~3割り程度存在すること。
痛みがあるときには、まず通常の消炎鎮痛剤を使用します。それで痛みがコントロールできないと麻薬系鎮痛剤の使用を開始するわけですが、両者は作用機序が違うので、消炎鎮痛剤は使用を継続したまま、麻薬系鎮痛剤を使用することが大切だとされています。
麻薬の使用を開始した場合は、速やかに適正量を探り当てる努力が必要です。ですから、必要ならば、使用量を増やしていきます。麻薬を使用開始した際や、増量した際には、眠気が出る事があります。多くの場合2~3日で消失します。其れを超えても眠気が出たり傾眠傾向が出たりするようでしたら、それは麻薬の過量投与である可能性が高いとともに、麻薬だけでは取り除けない痛みである可能性が高いと考えられます。そのような場合は、鎮痛補助薬(抗けいれん薬、抗不整脈薬、抗うつ薬その他)の使用を考慮する必要が出てきます。
もし、1日2日で死を迎える可能性が高い状態でしたら、意識レベルが低下するのも止むを得ませんが、週単位や月単位で予後が期待できるならば、意識がなくなるほどの麻薬の使用は、どこか使い方に誤りがあるような気がします。もちろん、実際の麻薬使用量や、使用薬剤を知っているわけではありませんので、推測でしかありません。
医療は、人の苦しみを取り除くことが大切なはずです。痛みは苦しみの最たるもののひとつです。其れに対して取り除く努力をしない医師は、医療者として認められないと考えています。私の技術も未熟ですが、痛みを取り除く努力はしたいと思いますし、自分に痛みがあれば取り除いてほしいと思います。痛みがあればどんどん医師や看護師に訴えて、何とか工夫をするように鍛えましょう。いくら言っても聞く耳持たないならば、医師や病院を変えましょう。
麻薬は、使用方法を守り、副作用対策をしていれば、安全に使用できる場合がほとんどであり、痛みと戦いながら死を迎えるよりははるかにその人らしい生を全うできると信じております。
お答えになりましたでしょうか?
癌末期の痛みに対する治療として、麻薬は非常に重要なお薬です。麻薬の使用に関するさまざまな誤解は根強く残っていますが、やはり他の薬と同様にさじ加減が大変重要になります。
karakaraさんのご質問にあるような(先日テレビで癌で亡くなった若い方のドキュメントがあっていましたが、痛みの治療で麻薬を使うと意識がなくなり人間としての生ではなくなるように表現されていたようにおもいました。)という場合、2点ほど注意が必要だと思います。
1:基本的には、麻薬のベースとして消炎鎮痛剤を使用する必要があること。
2:麻薬では取りきれない痛みが1~3割り程度存在すること。
痛みがあるときには、まず通常の消炎鎮痛剤を使用します。それで痛みがコントロールできないと麻薬系鎮痛剤の使用を開始するわけですが、両者は作用機序が違うので、消炎鎮痛剤は使用を継続したまま、麻薬系鎮痛剤を使用することが大切だとされています。
麻薬の使用を開始した場合は、速やかに適正量を探り当てる努力が必要です。ですから、必要ならば、使用量を増やしていきます。麻薬を使用開始した際や、増量した際には、眠気が出る事があります。多くの場合2~3日で消失します。其れを超えても眠気が出たり傾眠傾向が出たりするようでしたら、それは麻薬の過量投与である可能性が高いとともに、麻薬だけでは取り除けない痛みである可能性が高いと考えられます。そのような場合は、鎮痛補助薬(抗けいれん薬、抗不整脈薬、抗うつ薬その他)の使用を考慮する必要が出てきます。
もし、1日2日で死を迎える可能性が高い状態でしたら、意識レベルが低下するのも止むを得ませんが、週単位や月単位で予後が期待できるならば、意識がなくなるほどの麻薬の使用は、どこか使い方に誤りがあるような気がします。もちろん、実際の麻薬使用量や、使用薬剤を知っているわけではありませんので、推測でしかありません。
医療は、人の苦しみを取り除くことが大切なはずです。痛みは苦しみの最たるもののひとつです。其れに対して取り除く努力をしない医師は、医療者として認められないと考えています。私の技術も未熟ですが、痛みを取り除く努力はしたいと思いますし、自分に痛みがあれば取り除いてほしいと思います。痛みがあればどんどん医師や看護師に訴えて、何とか工夫をするように鍛えましょう。いくら言っても聞く耳持たないならば、医師や病院を変えましょう。
麻薬は、使用方法を守り、副作用対策をしていれば、安全に使用できる場合がほとんどであり、痛みと戦いながら死を迎えるよりははるかにその人らしい生を全うできると信じております。
お答えになりましたでしょうか?
私の姉が癌で亡くなったことは以前書いたのでご存知かと思いますが、姉の痛みに対して最初は「ボルタレン」を使っていました。最後のほうは多分モルヒネもいくらか投与したのではないかと思います。
hanaさんの記事を読み、姉は多分予後が1~2日って感じだったのでしょう。意識が無くというのか・・・ちょっと違うような・・・眠ってばかりでした。
時々かすかに声を発していました。
ボルタレンはしばらくの期間、量とか時間を気にしながら使っていたと思うのです。
私も「痛み」を我慢して苦しい思いを抱えるよりは、薬を使って楽になって子どもたちに寄り添って欲しいと願います。
そのために数日早く旅立つことになっても。
量の調節もポイントなんですね。
要は医師や看護婦さんに思いを伝える事が大事ですね。思いを理解していただき治療を進めて欲しいと思います。
自分の最後が少しイメージできました。
ありがとうございました。