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悲しみによりそう時間

2013年10月19日 | ふと思ったこと



悲しみは 古い仲間
 
                  やなせ・たかし

 
そこにいるのは悲しみか
霧がふかくてみえないけれど
こっちへおいで悲しみよ
ぼくに涙をわけておくれ

ひとりぼっちの悲しみよ
つらい心でうなだれているね
なかよくしよう悲しみよ
ぼくとおまえは古い仲間

どこへ行くのか悲しみは
くらい荒野を涙こぼして
昔なじみの悲しみよ
ぼくを今夜は泣かせてくれ




   「詩とメルヘン」1974.10月号より



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悲しみというとネガティブなイメージはあるけれど、悲しみは哀しみ。
人生の喜怒哀楽を考える時、喜と楽はうれしい。怒は、外に向かう。
哀はどうだろう?・・・喜怒哀楽の哀こそが人の心の内側に、最も深く入りこんでくるのではないか。

人生には、突然の病に倒れたり、事故や災害に直面したり、信じていたものに裏切られたり、愛するものとの別れがあったり、・・・なんで?と思うような理不尽な出来事が襲って来る時がある。
しかし、いいことばかりではわからないことがある。つらくて悲しくてたまらない逆境の中でこそ、生きる意味や人生の奥深さを知るのではないか。
悲しみと深く寄り添う時間を経験し乗り越えてゆくことで、他者の悲しみも痛みも知ることができる。


やなせさんの訃報に際して、昔読んでいた「詩とメルヘン」をひっぱりだしてあらためて、読んでみた。
この詩はその中のもの。若き日のやなせさんの姿も浮かぶ。
広告がなくて、毎号、表紙のすぐ裏には、大きめの活字で「お金はないが志は高いぞ」的な、やなせさんの熱い編集前記があったっけ。

私が学生だった頃は、アナログ時代だったので、お小遣いは本とレコードくらいしか使い道がなくて、今の学生さんに比べたら、情報量は圧倒的に少なかった。
スマホもケータイもない時代なんて、今や考えられないと思う人がほとんどかもしれないけれど、自分の学生時代を振り返れば、ネットがなくて本当によかったな。
一人でぼんやりする時間は、ずっとあったし、家に帰ってもメールやラインに縛られないぶん、心だけは、自由だった。

情報が怒涛のように押し寄せる現代だけど、あの頃は、おんなじ雑誌を、何度も何度も読み返しては、心に染み込ませていた、そんな悠長な時間を持てたのだ。悲しい時も、時間をかけてちゃんと悲しめた。
それは、今の私の心の財産になっている。



★関連サイト

東京新聞:従軍 一度も発砲せず 反戦こそ正義 やなせさん
「正義の味方は格好悪い方がいい」
より抜粋

 本紙連載「この道」でも従軍体験を基に戦争反対を強く訴えた。一度も発砲することのないまま、目の前で人が死に、飢えに苦しめられた。弟の千尋さんは海軍の特攻潜水艇「回天」に乗り込み、二十一歳で亡くなっている。「真に憎悪すべきは戦争です」
 一九四〇年に召集され、陸軍の野戦砲部隊に配属。四一年春、暗闇にまぎれて中国・福州へ上陸したが敵部隊はおらず、戦闘にはならなかった。軍務の間を縫って紙芝居を作り、農村地帯を巡演したこともあったという。
 戦況の変化に合わせて徒歩で転戦する際には、迫撃砲や小銃による敵襲で目の前で何人か死んだ。「全くの無駄な兵隊で、なんの役にも立ちませんでした」と皮肉まじりに振り返っている。
 敗戦は中国大陸で迎えた。その時「お国のために戦え」と勇ましく部下に命令していた上官が敵国の軍人にペコペコしている姿を見て、正義の意味に疑問を感じた。
 やなせさんが生み出したアンパンマンの顔は真ん丸いあんパン。格好は決してよくないし、顔が水にぬれると力もなくなってしまう。それでも困っている人に出会うと、自分の顔を食べさせ、ぼろぼろになってでも人を助ける。主人公のその生きざまに、やなせさんは、正義の本当の意味をたとえたのだ。
 派遣切りによる失業者の増大や社会の格差に話題が及んだ時には「勝ち組や負け組がはっきりする社会はだめだ」と言い切った。
 「アンパンマンは『ばいきんまん』を徹底的にやっつけない。生き物は、ばい菌と戦いながら強く成長する側面もある。強い人が弱い人を徹底的にいじめる社会はよくない」と語気を強めた。


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