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秋の かなしみ
八木重吉
わがこころ
そこの そこより
わらひたき
あきの かなしみ
あきくれば
かなしみの
みなも おかしく
かくも なやまし
みみと めと
はなと くち
いちめんに
くすぐる あきのかなしみ
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かなしみは、「悲しみ」ではなくて「哀しみ」。
辞書では、「悲しみ」も「哀しみ」もいっしょくたになっている場合が多いですが、詩人の気分としては似て非なる「かなしみ」なのです。
ただ嘆き悲しむだけではなくて、めぐりあっては去ってゆくすべての者への情や愛しさも含めた「かなしみ」。
さびしくてもどこか穏やかな光が、心に降り注ぎ、心のさざ波は、やさしくからだを、ゆすります。
1日なら夕暮れ時。季節なら、秋ほど、この詩の気分とぴったりです。
・・・なーんて、勝手に解釈してますが、本当のところは、詩人にきいてみないとわかりませんけれど。感じ方は人それぞれですからね。学生時代からずっと、好きな詩です。