羽生選手のチャリティー自叙伝「蒼い炎Ⅱ 飛翔編」を、さっそく読みました。
ある一時期のインタビューそのままを中心に構成されていたので、そのインタビューを当時から聞いていて知っているファンからすれば、特に目新しいことはない状態になるわけですが、
私から見ても、完全に「新情報」だったと言える部分はやはり、
オペラ座の怪人シーズン(2014年-2015年)の年末年始に入院した、「尿膜管遺残症について」の詳細と、
今年の1月~3月にかけての間、羽生選手が本当は一体どのような状態だったのか、
その詳細を羽生選手が語って下さっている部分でした。
本当に、「読んでいるだけで痛いよ…‼」(涙)という感じでしたが。
全日本選手権での羽生選手というのは、NHK杯→GPF→全日本、と、短期間で続く過酷スケジュールの最後の大会なだけに、移動距離も大変だし身体負担も重そうで、毎年、ヒヤヒヤしながら観ていましたけど、
ここ2年は、私の感じていたヒヤヒヤ以上に、羽生選手の実際の身体は、本当にギリギリの状態で挑んでいたのだと、よく解りました。
2014年の全日本選手権の羽生選手は、フリー直後はいかにも具合の悪そうな冷や汗ダラダラで、相当きつかったのだろうなと思いましたし、すぐに入院しちゃったのを見て、その忍耐力に驚きましたけど、実は血までもダラダラだったとか… (驚愕)
また、今年の1月のニューイヤー・オン・アイスの直前から2月までの怪我の酷さの状況が、
今までのどの情報にもなかったけれども、羽生選手の口から明らかにされています。
動けない、歩けない状態だったのに、ステロイド注射に、痛み止めで、ニューイヤー・オン・アイスに出場。(←もう絶対にやめて下さいね!(涙))
練習でトウループを跳んだら激痛で死にそうになったから、トウループではなくて、ループを跳んだ、と…。
(「情熱大陸」の番組で、このアイスショー終了後、車から降りてエレベーターに乗る羽生選手が、尋常じゃないほど放心状態になっていたのを見て、どう見ても、身体に相当な深刻な異変があったか、よほどの精神的ショックを受けたかだろうな、と思っていましたけど…。)
やはりその後が痛みのピークになってしまったそうで、完全に休んでいた、と書かれてあります。
さらにその後悪化したため、1月下旬にトロントに戻る予定だったのがどんどん戻れなくなってしまい、
日本にとどまったまま、2月中旬に、4回転だけでなく、3回転まで跳べなくなった時には、「世界選手権出場を諦めるしかない」とまで思って絶望していたこと。
全く回復しないので、2月末に、ひとまずトロントに戻ろうと、戻ってからは、今の先生に診てもらってどんどん良くなっていって、調子を上げた状態で、世界選手権に向かえることができた、と。
でもその世界選手権では、会場入りしてから、再び数多くの試練に見舞われてしまいます。
羽生選手はこの本の中で、世界選手権の時のあれやこれは、そこまで詳細には語っていないけど、
「SPUR」8月号に書かれたのを読めば、どれほど大変な状況だったかがよくわかるので、
両方の情報を合わせると、今年の1月から世界選手権までは、本当に想像を超えた、激しい3か月間だったことが解ります。
一つ感じたのは、「 」で、羽生選手の言葉がずっと出てくるのだけど、
それが当時のインタビューでの言葉なのか、半年後あたりに振り返った時のインタビューでの言葉なのか、
それとも、この本の発売直前の「今」振り返った時に出てきた言葉として載っているのかが、
読む側としては、分かりにくかったです。
私は羽生選手のインタビューをほぼ覚えているから、「あ、これは当時、直後に言っていたそのままだよね」、とか、「これはその半年後頃のインタビューの時の言葉だね」、とか、すぐに解りますけど、
「今思えば~」みたいな言葉がいきなり出てくるときに、この「今」は一体いつのことなのか、が、
読む人によくわからない印象になってしまっているところがちょっとあったかな、と思いました。
つい最近の羽生選手が「今」で語っているのか、ある時点での羽生選手がその時に、「今思えば」と語っただけなのか。
やはり、「 」の後ろに、いつ羽生選手が言った言葉なのかをその都度、明確に載せてあれば、解りやすかったと思うし、
羽生選手の気持ちの変遷の仕方も解るし、その辺の配慮があると良かったかな、と思いました。
この本には載っていないけれど、同じ内容について、他の時に発した羽生選手の「ちょっと違う言葉」をもいくつも記憶してしまっているファンとしては、
「当時」と「少しあと」、「今振り返って」の想いの違いの変遷は、より明確にされた方が良かったと思いましたので。
本の最後の方に、つい最近の羽生選手の言葉と思われるものが出てきます。
(これも、具体的にいつとったインタビューなのかがわかると良かったですが。)
その中で、私には、最も印象に残った言葉がありました。
今、他のライバル選手たちの成長もすごく、4回転の種類も増えて、非常にレベルの高い競い合いになっていることについて、
そういうライバルたちの様子を見て、
「あ、人間ってもっとジャンプ跳んでいいんだ!」って(笑)、
思って、楽しくなったという羽生選手。
もう、これ読んだ瞬間、私は思わず吹き出して、大笑いして、笑いすぎて涙が出そうになりました。
いや~、ほんっと、羽生選手のこういうところが、私は ものすごーーく好きなんだな…!!
と、自分でしみじみと、よーーーくわかりました。(笑)
怪我に次ぐ怪我、それも、公表されていた内容よりも遥かに大変な状態だったことが次々と明かされているし、
それらの4年分もの内容をたった1日で一気に読んでいくと、あまりに凄くて圧倒されますし、読んでいて辛くなります。
でも、そういった中でも特に、「最強レベル」の試練だと思われた、今年の1月からの3か月間と、全治2か月になって過ごしていたつい最近の、羽生選手の口から出てきた言葉がこれだというのが、もう、さすが過ぎて天晴れで、むしろ笑えて爽快になるほどです。
新記録をたたき出し、宇宙人だの何だのと、世間では騒がれ、超人のように言われていた陰で、
やはり人間として当然にある、身体の限界と闘い、非常につらい身体の痛みを耐え続け、また、身に覚えのない報道などで、人間不信に近い思いを必死で乗り越えていた羽生選手。
それでも、自分が動けない、スケート靴を履けないほどの状態の中に置かれている時でさえ、ライバルの目覚ましい活躍を見て、
「あ、人間って、もっとジャンプ跳んでいいんだ!」(笑)と、
そういう方向にパッと希望を見て、喜び、楽しくなっていく羽生選手。
こういう面で羽生選手に勝てる人って、やはりいないのではないかと私は思ってしまいます。
その意欲と情熱は、うらやましいほど。(笑)
私は、初めて羽生選手を見たときからずっと変わらずそうなのですが、
いつも羽生選手を見ると、なぜか希望を感じるし、楽しくなっちゃうし、元気が出るのです。
その理由が、この言葉を見て、とてもよくわかった気がしました。
羽生選手のこういうところが、本当にすごく好きだからこそ、そしてそれが演技にも出ているからこそ、私はずっと不動の羽生ファンで来たのかもしれないです。(笑)
でも、この本の中では、陰での怪我の大変さだけでなく、普段はあまり表に出さない、否定的な思いや葛藤の様子が書かれています。
闘うために、絶対に見せられない部分。
こういうのは、あるに決まっていると私は思いますけど、それでも、そんなことをイメージしたことさえなかったファンもいたかもしれません。
それがやっと羽生選手の口から出せたことで、羽生選手が少しでも楽になっていればいいな、と思います。
それでも、今のこの高難度ジャンプ争いのハイレベルな現状を見て、
ついていけずに、むしろ戦意を失っていく選手たちも当然いるであろう中で、
時に泣きながらも、逆にやる気を出してきたチャン選手や、
「頑張ればここまでやれるんだ」と希望を見て挑戦していく宇野選手、
羽生選手に憧れていると言いながら、4回転ルッツを簡単に跳んじゃう天才のボーヤン選手たちなどに囲まれながらも、
囲まれれば囲まれたで、ますます楽しくなってやる気が出てくる羽生選手。
それがきっと、羽生選手に与えられている「情熱」の姿であり、
スケートに対する心の角度なんだろうと思えます。
やっぱり、羽生選手はプルシェンコ選手と、こういう面においては、とことん同類なんですね… (笑)
羽生選手は、負けた時や、試練の中にある時ほど、そのすごさが逆に見えてくることがよくある、と私はちょっと前に書きましたけど、やっぱり今回もそうでしたね。(笑)
個人的に、この本の中で、さらに嬉しかった言葉は、
「まだあと4年くらいは僕も技術的に進歩できる。」
(4回転アクセルについて) 「絶対跳べると思うんです、僕。」
と言ってくれたこと、ですね。
ええ、私も、羽生選手は絶対に跳べると思っていますから!(笑)
どうかお身体の調子を見極めながら、楽しく、賢く、一歩一歩前に進んで、
心から幸せだったと思える、そんな掛け替えのないシーズンになりますように…!!
最後に書かれていたメッセージ。
私なりに受け止めながら、やれることをやれる範囲で、と思います!
この本を読んで、羽生選手の怪我の凄さを知って、ちょっと落ち込んじゃった羽生ファンの方もいらっしゃるかもしれない。
羽生藩のお殿様は、この本の中で最後に、
「僕という人間を道具として」
「言葉に出さなくてもいいし、何かしら行動して」
「ポジティブな気持ちであったり……を」
「少しでも寄せていただけて、少しでも増えていけば」
と、何やら、わかるようなわからないような言葉で一生懸命書いて下さっています。 (※一応わかっているつもりです)
「羽生選手を道具として」って・・・ これは具体的にはどういうことかな? と考えたのですけど、
おお!これはもしや、盛大に寛大に、殿から正式に「ちょんまげ隠し」の、ご許可を頂けたのでは?!(笑)
日本を明るく照らす電球化に、殿は自ら、その「おでこ」を惜しみなく差し出してでも、
是非とも貢献したい!という意味ですよね?! (←違うだろー!)
無礼者のおとがめはナシ! だから、どんどんやってちょうだい、と。
殿がせっかく示して下さった、「無私なる精神」を、無視しない!(笑)主義の私としては、
やっぱり、ちょっと元気のないアナタ様には、
輝ける殿のちょんまげを、ちょん!と指で隠してみることをおススメしますよ!
そして、一人一人がやる、そういう「輝ける電球おでこ」の殿の姿が集まれば、
それもまた、日本という国にとっていい、素晴らしい光になると…!!
羽生選手は、それを希望しているのだとーーー この本の最後で、そう書いていますから! (笑)
え? ちょっと一部が違うよって? まあ、まあ、まあ… (笑)
( 注意事項: 羽生選手の真意は、きちんと本の本文をご確認ください。 冗談で一部書き換えてあります。)
蒼い炎II-飛翔編- | |
羽生 結弦 | |
扶桑社 |
蒼い炎 | |
羽生 結弦 | |
扶桑社 |
→ 「殿!利息でござる!」のHPはこちら http://tono-gozaru.jp/ (← さあ、思い立ったが吉日!)
「あなたがたの中で偉くなりたい者は、皆に仕える者になり、
いちばん上になりたい者は、すべての人の僕になりなさい。」
(イエス=キリストの言葉
: マルコによる福音書 10章43節~44節 新約聖書: 新共同訳より)
イエス=キリストご自身が、人々から仕えられるためではなく、かえって人々に仕えるために、
また、多くの人の身代金として、(=罪を代わりに背負い帳消しにしてあげるため)、
自分の命を捧げるために(この世に)来たのであるから、
人の上に立とうと思う者や、そのような立場に有る者は特に、そのへりくだりの姿勢を見倣いなさい、という意味の言葉です。