生涯いちエンジニアを目指して、ついに半老人になってしまいました。

その場考学研究所:ボーイング777のエンジンの国際開発のチーフエンジニアの眼をとおして技術のあり方の疑問を解きます

禾乃登 稲が実る(処暑の末候で、9月2日から7日まで) 紅伊豆と佐々木園

2013年09月09日 11時12分32秒 | 八ヶ岳南麓と世田谷の24節季72候
紅伊豆と佐々木園
 
 甲府盆地の西北にあたる我が家の廻りは、今年は大きな天災も無く、稲の成長は至って順調なようだ。ブドウも同様だと聞いた。この季節になると私は、中央自動車道の笹子トンネルを出て直ぐに降りて甲州街道を走る。勝沼インターから2Kmほどの最初のブドウ園が行きつけの佐々木園。本当に小さな葡萄棚の下で、老夫婦だけで営業をしていたのだが、一昨年奥さんが急な病で亡くなられて、今はお爺さんだけの店になってしまった。



ここの奥さんはサービス精神が旺盛で、買った分の半分くらいをおまけしてくれた。畑は別にあるのだが、道端のそれは、紅伊豆と云う特殊な種類で、実がポロポロと落ちてしまうのだが、固定客のファンが沢山いるようで、売り切れでわざわざ梯子を使って採ってもらうこともしばしばである。
紅伊豆は、通常このような品種と言われている。鮮紅色巨大粒種。多汁で糖度高く、果肉が柔らかいので人気抜群。あまりにもシューシーで、柔らかいため発送には向かず、都会の店頭でほとんど見かけることはないため希少性が高い。完熟すると粒が取れやすくなり、市場に出荷し難いのだ。


柔らかいぶどうなので、袋を外すときや袋をかけなおすときに、袋と擦れることによっても粒が落ちてしまう。袋の口を大きく開けて、ぶどうが袋に触れないようにそ~っと袋を外したりかけるそうだ。



残された旦那さんと少し思い出話をしていると「家は、あそこのお寺の横に見える大きな建物なのだが、一人だと夜は怖い」と気弱なことを言っていた。もし、閉店でもされると、紅伊豆は二度と食べられなくなる。冷蔵庫には落ちたブドウの粒だけが沢山保管されており、相変わらずにおまけは沢山だ。
ブドウは、食べきれないものは、実をはずして冷凍にすると、いつまでも食後のデザートとして好きな数だけを楽しむことができる。これも教わった知恵だ。魔女の爪のビッテルビアンコも好きな種類になった。



 今回は、庭先でのBBQに数名の友人が来てくれるので、お土産用に少し多めの調達となった。紅伊豆を中心に5kgほどだったのだが、やはり足りずに倉庫から台車を出してきて収穫が始まった。実が多く落ちてしまった房は、皆その場での試食用になってしまう。そしてその上、「ドライブ中は喉が乾くでしょう」とほぼ2籠分のおまけまでもついてしまった。大正生まれのおじさん、来年もよろしくお願いします。