我が家にテレビが無いので、まったく知らなかったのだがNHKの人気番組「チコちゃんに叱られる」が、炎上していたらしい。
炎上内容は、マナー講師が番組スタッフを叱責し、叱責されたスタッフが泣くという場面が放送されたため、NHKに批判が殺到した(=炎上した)ということらしい。
ニッカンスポーツ:「チコちゃん」マナー講師ネット炎上騒動に「ご批判をいただくようなことがあってはいけない」NHK会長
そもそも、「チコちゃんに叱られる」という番組は、チコちゃんという子どもが博識で、質問をした大人がこたえられないと「ボーっと生きてんじゃないよ!」と顔を真っ赤にして叱る、という内容だったと思う(実家に帰省した時、父が見ているので一緒に見るのでこの程度の理解しかしていない)。
このチコちゃんの「ボーっと生きてんじゃないよ!」の決め台詞は、流行語大賞にノミネートされた記憶もある。
それほどの人気番組が、炎上したということになれば、NHK側も焦り会長自らが沈静化に乗り出すのは当然なのかもしれない。
ところで、一つ気になっていることがある。
それは、最近もてはやされている「マナー講師」と呼ばれる方々のことだ。
この「マナー講師」の話す「マナー」について、疑問に感じたのは「コロナ禍」で「マスク着用」が、当たり前になった頃だった。
「『コロナ禍』でのお葬式等に列席するときには、黒いマスクをするのがマナー」ということが、ネットで話題になったからだ。
確かに、英国・フィリップ殿下の葬儀の時、英国王室の方々はそろって黒いマスクを着用されていた。
おそらく、このような光景から「葬儀には黒いマスク」といわれるようになったのか?というと、そうではない。
フィリップ殿下の葬儀より前から、「葬儀には黒いマスク」としたり顔で話すマナー講師さんは、いたような気がしている。
「葬儀の衣装=黒」ということで、「黒いマスク」ということを、言われたのかもしれないのだが、戦前までの日本では葬儀に参列する人と亡くなられた方との親密度によって、着る喪服の色が違っていた、と言われている。
親近者は実は白の喪服を着ていた、という時代もあったのだ。
そう考えると、昨今のマナー講師といわれる方々のお話が、浅いものであるように感じるのだ。
その最たるものは、女性のお辞儀だ。
私が社会人になった頃は、女性が立ってお辞儀をする際には両手を揃え、腿あたりまで下すというのが礼儀として、教えられた。
その後、スーパー等の店員さんが、お腹あたりでお辞儀をするようになったのだが、それはあくまでも「カウンター」があるため、という理由だった。
むしろ、「カウンターがないのに、そのようなお辞儀をするのは、失礼」と、されていたのだ。
時代と共に「マナー」は変化していくものだとは思うのだが、失礼とされていたマナーが「正しいマナー」として喧伝されることに、違和感があるのだ。
一応、私が社会人になった頃のマナーの先生方は、小笠原流礼法といわれた「室町時代から続く武家作法」を学んだ方々だった。
そのため、随分厳しいことも言われたような気がするのだが、それらは道理に合っていることが多く、説明を聞き納得することもできた。
とはいえ、合理的なところもあり「上辺の作法よりも、相手の気持ちを重んじなさい」という、考えがあったように思う。
言っては申し訳ないのだが、フォークの刃が4本だろうと5本だろうと、食べるということについて、どれだけ問題となるのだろう?
洋食において、パスタだけを食べるわけではない。
そんなことよりも、楽しく会食できるマナーをきちんと伝えるのが、マナー講師なのではないだろうか?
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