日経新聞のWebサイトに、聞きなれない言葉の記事があった。
それが「インクルーシブデザイン」だ。
日経新聞:ソニー、全商品で障害者・高齢者配慮 開発のルールに
会員限定の記事なので、全文を読む事はできないのだが、読める範囲の中に「インクルーシブデザイン」という言葉がある。
どうやらこの記事のキーワードは「インクルーシブデザイン」ということらしい、ということは理解できると思う。
では、この聞きなれない?「インクルーシブデザイン」とは、どんなデザインなのだろうか?
参考になるサイトがあったので、リンクを貼っておくが、「ユニバーサルデザイン」と似て非なるデザインの考え方のようだ。
NIJIBOX BLOG:インクルーシブデザインとは?ユニバーサルデザインの違いや原則を事例も交えて解説!
「ユニバーサルデザイン」という言葉が盛んに言われたのは、おそらく2000年代に入ってすぐの頃だったような気がする。
「ユニバーサルデザイン=誰もが使いやすいデザイン」という考えは、その後の「バリアフリー」という言葉へと置き換わっていったような気がするのだが、この時の「ユニバーサルデザイン」は、デザインをする人が「障害のある人も使いやすい」という考えを反映したデザインのことだった。
そして「障害の有無にかかわらず、生活がしやすい」という考えが「バリアフリー」ということになるだろう。
これらの「誰もが使いやすい」という点では「ユニバーサルデザイン」も「インクルーシブデザイン」も、ほぼ同義語ということになると思うのだが、「ユニバーサルデザイン」が障害を持った人や子どもや高齢者の事を考えて、デザインをするのに対して、「インクルーシブデザイン」は、実際に障害のある方や高齢者などが、商品企画のの段階やデザイン企画の段階から参加をしてもらい、意見を反映させたデザイン、という違いがあるようだ。
「ユニバーサルデザイン」が、「健常者が考え」ているのに対して、当時さである「障害者や高齢者」など実際に使うことに不自由さを感じている人を、中心に企画アイディアを出してもらう、ということになる。
企画の中心者が障害を持った人や高齢者(あるいは子ども)という、違いがある。
そしてソニーがそのような人達を、商品企画や開発の中心にするのか?という理由を考えれば、それは「日本の社会が抱えている問題」を解決する一つの方法だと、考えているのでは?ということになると思う。
ご存じのように、日本では「高齢者社会」が差し迫っている。
「2025年問題」と言われているように、2025年になると戦後のベビーブームの頃に生まれた方々が「後期高齢者」へと突入する。
「高齢者が使いやすいデザイン」というのは、ものづくりにおいて必須条件ともいえるのだ。
実際、帰省した折父と買い物をしていると、今まで違和感なくできていた何気ない動作(物を掴む、物をより分けるなど)が、想像以上にできていない、ということに気づかされる。
本人は「あれ?!」という感覚で、何度か繰り返しやっとできる、ということが歳を経るごとに増えてくるのだ。
「それが老い」ということなのだと思っても、本人としては面白くないだろう(と、想像している)。
「高齢者が不得意な動作」というのは、それまで当たり前にできていた事ができにくくなる、ということでもあるのだ。
そしてその「できにくくなった動作」は、個人差があり、どれか一つという訳ではない。
おそらく障害を持った方も「やりにくい動作」は、個人差があるはずだ。
とすれば、「やりにくい動作」の最大公約数的な部分をデザインでカバーし、個人に合わせたカスタマイズという仕組みを作っていくことが「インクルーシブデザイン」なのかもしれない。
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