昨日の記事に続く、秩父宮ラグビー場での第二試合。こちら帝京vs早稲田の観戦も5年ぶりです。公式発表で第一試合15,157人だった観衆は、第二試合には19,810人にまで膨れ上がりました(秩父宮ラグビー場の収容能力は24,871人)。ここまで両校とも全勝での対戦ですが、早稲田の方がこれまで下位チームとの対戦だったのに対し、帝京は前回5点差ながら慶応を退けています。早稲田は対帝京戦、ここ数年全く歯が立ちませんでしたが、今年の夏合宿においては練習試合とはいえ久々に帝京に勝っています。例年、大学選手権決勝に向けてチーム状態を上げてくる帝京に対し、早稲田がどこまで対抗できるのかが見物でもありました。
試合開始早々、早稲田は帝京陣深く、5mライン付近まで攻め込みます。しかし、そこから帝京の堅いディフェンスに阻まれ、なかなかゲインさせてもらえません。右に左にフェーズを重ねますが、こぼれたボールを奪われ、ハーフウェイライン付近までボールを戻されてしまいます。それでも、桑山選手から再度アタックを仕掛けますが、オーバーザトップの反則。帝京、竹山選手のキックで早稲田陣22mライン付近まで地域を戻され、一転してピンチに。帝京ボールのラインアウト、モールからの攻撃を何度も防ぎますが、最後は帝京が大きく左に展開。余っていた宮上選手にボールが渡りトライ。ゴールも決まり、前半6分で帝京が先制します。これで帝京側に地域をとってラインアウトから攻めれば行けるという攻撃のパターンができてしまったような気がします。2009年の帝京初優勝の時を思い出しました。
前半13分。早稲田は連続攻撃を仕掛けますが、帝京陣10mライン付近でノットリリースザボールの反則。早い仕掛けで帝京が早稲田陣に攻め込むと、今度は早稲田、桑山選手がハイタックルの反則。これで再び竹山選手が長い正確なキックで地域を挽回、ラインアウトから右へ展開しての連続攻撃。パワーで押しまくって最後は淺岡選手がゴールポスト左に持ち込んでトライ。ゴールも決まり、14vs0。
前半20分。早稲田はまたしてもゴール中央前で反則を犯し、5mスクラムの大ピンチ。このままスクラムトライかと思われるほどグイグイ押されると、最後は後ろにいたN0.8のブロディ・マクカラン選手がボールを持ち込み、ゴールポスト下にトライ。ゴールも当然決まり、21vs0。前半の半分までで早くも3トライ、3ゴールという厳しい展開となりました。
早稲田もその後、ハイパントをマクカラン選手がノックオンし、そのボールを拾って横展開、桑山選手が右サイドから大きくゲインして帝京陣深く攻め込みますが、ここでも帝京の堅いディフェンスに阻まれ。結局密集でオーバーザトップの反則を犯し、帝京陣22mライン付近で、帝京ボールのスクラム。竹山選手の長いキックはタッチを割らず、早稲田FBの河瀬選手が反撃に転じようとしますが、帝京ディフェンスに早々につかまり、またしてもハンドの反則。これでさらに5mライン付近にまで蹴り出され、またラインアウトからモールで前進。ラックになってからは帝京の強力なFWが近場近場を攻めてゴールラインに迫ると、一旦は岡本選手が持ち込んだかに見えましたが、これはトライならず。しかし、再びゴール右のスクラムから結局はブロディ・マクカラン選手がトライ。早稲田ディフェンスもよく守りましたが、堪えきれませんでした。ゴールも決まり、28vs0という大差で前半を終えます。早稲田は反則から地域をとられ失点、この繰り返しでした。一方、試合全体を通して反則がわずかに2つしかなかった帝京の規律は見事という外ありません。
帝京は後半、15人中7名を入れ替えます(負傷交代を含めれば8名)。層の厚さもさることながら、リザーブメンバーにも確実に経験を積ませるチーム作りに、このチームの強さの好循環を感じます。
後半の入りは目まぐるしい攻防の入れ替わりでした。まずスクラムからボールをピックした早稲田、丸尾選手のパスを帝京がインターセプト。そこから右に大きく展開しますが、ノックオンのボールが早稲田ディフェンスの裏に転がり、ボールを奪った早稲田が右に展開。さらに岸岡選手が帝京ディフェンスの裏にボールを蹴りだすと、ボールは転々とゴール前へ。ゴールを割るかに見えたのですが、ボールはその前で止まり、その間に早稲田が一気に駆け上がります。ボール争奪戦の中で珍しく帝京が反則を犯し、早稲田は帝京陣5mライン付近でマイボールラインアウトのチャンスを作ります。モール、ラックから左へ展開しゴールに迫りますが、そこで痛恨のオーバーザトップの反則。帝京はピンチを脱しますが、ボールをキャッチした早稲田が再度右へ展開。長田選手が大きくゲインし帝京ゴール前に迫ると、今度は左に大きく展開。何度も帝京の堅いディフェンスに阻まれますが、最後は右端でボールを受けた長田選手が22mラインから駆け抜けてトライ。後半5分、ようやく早稲田が反撃を開始します。ゴールも決まり、28vs7。
しかし後半11分。帝京はまたもタッチキックで早稲田陣深く攻め込むと、マイボールラインアウトからグイグイとモールを押し、あっという間に5mライン付近まで。ラックになってからは強力FWで近場を攻め、中央に寄りながらゴールラインに接近。中央に人数のかかった早稲田ディフェンスの隙を見計らって大きく右へ展開。完全に余っていた木村選手がゴール右にトライ。ゴールも決まり、再び28点差。
それでも早稲田は後半15分、帝京陣22mライン付近で帝京側のノックオンのこぼれ球を右に展開。岸岡選手の見事なキックが左サイド、帝京陣5mラインの内側でタッチを割ります。帝京はマイボールラインアウトからモールを形成しますが前進できず、キックで地域を戻しますが、今度は22mライン付近での早稲田ボールのラインアウト。下川選手からのパスを受けた中野選手が左斜めに切り込み、左サイドにトライ。これは鮮やかでした。ゴールも決まり、35vs14。
その後も早稲田が攻め続けフェーズを重ねますが、帝京陣10mライン付近で痛恨のノックオン。これを帝京、北村選手に拾われると、北村選手は60m近くを走り切ってトライ。この失点は全く余計でしたが、王者帝京は早稲田のミスを見逃してはくれません。後半20分、42vs14。
さらに後半24分、早稲田のオフサイドによる反則で、帝京は無駄な消耗を避けPGを選択。これを竹山選手が決め、さらに追加点。45vs14。ここも早稲田は反則からの失点。
早稲田は直後の26分、帝京陣10mライン付近でのマイボール・ラインアウトから右に展開。パスを受けた古賀選手が縦に大きくゲインすると、丸尾選手、中野選手がさらにゲイン。最後は丸尾選手がゴール下に飛び込んでトライ。ゴール決まり、45vs21。
さらに39分、早稲田は帝京陣10mライン付近のボール争奪戦から左へ展開。岸岡選手、河瀬選手とつないで大きくスペースの空いた左サイドからゴールポストの目の前までゲインすると、古賀選手がゴール下に飛び込んでトライ。ゴールも決まり45vs28としましたが、反撃もここまで。
早稲田は攻撃面では随所に良いところが見られ、ラインアウトも安定していましたが、スクラムで圧倒され、要所でのノックオンと反則からの失点が大きく響きました。昨年と比べれば確実にその差は縮まっていると思いますが、あらゆる面で大きな力量差を感じた試合でした。今後、早慶戦、早明戦と続く中でさらにチーム力を上げていって欲しいと思います。帝京はさすがでした。
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした