窪田恭史のリサイクルライフ

古着を扱う横浜の襤褸(ぼろ)屋さんのブログ。日記、繊維リサイクルの歴史、ウエスものがたり、リサイクル軍手、趣味の話など。

素晴らしき哉、人生

2012年03月16日 | レビュー(本・映画等)
素晴らしき哉、人生! [DVD]
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ファーストトレーディング


  『The Living Organization』という本にこの映画が採り上げられていたのが切欠で、1946年のアメリカ映画、『素晴らしき哉、人生』のDVDを観ました。アメリカでは『クリスマス・キャロル』、『34丁目の奇跡』と並び、クリスマスに欠かせない映画の一つなのだそうです。

The Living Organization: Transforming Business to Create Extraordinary Results
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Quantum Leaders Publishing


  主人公のジョージ・ベイリーは、幼い頃から心の優しい、人のために尽くす男でした。9歳の時には、氷の張った池に落ちた弟ハリーを助けて左の聴覚を失い、12歳の時にはアルバイトをしていた薬屋で息子を失い動転した主人のガウアー氏が誤って劇薬を処方したのに気づき、未然に事故を防ぎました。高校卒業後、彼は大学に進学し、建築技師になることを夢見ていましたが、父親の急死に伴い、進学を諦め家業のベイリー住宅金融を継ぎ、代わりに弟のハリーを進学させました。彼は父親の遺志を継ぎ、ベイリー・パークという一般庶民でも住宅を持つという夢を適える事ができる低価格の賃貸住宅地を開発しました。また、1929年の大恐慌の際には、取り付け騒ぎで殺到した顧客に手持ちの結婚資金を配り、急場を凌ぐと共に、強欲な富豪ポッターから会社を守りました。

  長年の恋人メアリーと結婚し、4人の子供に恵まれ、豊かではないながらも幸福な生活を送っていたジョージでしたが、ある時不幸が襲います。一緒に働いていた叔父が、会社の資金8,000ドルを紛失、会社は資金繰りに行き詰まり、ジョージは横領の嫌疑をかけられます。

  絶望の淵に立ったジョージは、雪の降るクリスマスの夜、橋の上から身を投げて自殺を図ります。そこへ、まだ翼のもらえない半人前の天使クラレンスが現れ彼に自殺を思いとどまらせようとします。

  しかし、ジョージは「自分など生まれてこなければ良かった、いない方が良かった」というばかりです。見かねたクラレンスは一計を案じ、ジョージに仮に彼が生まれてこなかった場合の世界を見せるのです。そこには驚くべき世界が待っていました。

  弟のハリーは9歳の時、池に落ちて死亡。薬屋の主人ガウアー氏は劇薬を処方し、子供を毒殺した罪で懲役20年となり、出所後廃人同様となっていました。ベイリー住宅金融はとうの昔に倒産、町はすっかりポッターに牛耳られ、歓楽街と化していました。ジョージの住んでいた家は元の廃墟のままで、子供もいません。妻のメアリーは生涯独身で暮らしていました。

  困惑するジョージにクラレンスは言います。「たった一人がいないだけで、世界はこんなにも変わる。一人が多くの人に影響を与えている」。人生の素晴らしさを悟ったジョージは、二度と自分などいなければいいなどと思わないことをクラレンスに誓いました。

  元も世界に戻ったジョージは、生きていることそのものに感謝するようになります。横領の嫌疑で逮捕状を持ってきた警察に対してさえも。そして奇跡が起こります。メアリーからジョージの窮状を聞きつけた町の住民達が、彼のためならと募金を募り、会社を救ったのです。集まった募金の山の中に一冊の本がありました。それはクラレンスが大事に持っていた『トム・ソーヤーの冒険』でした。その表紙裏には、クラレンスからのメッセージでこう書かれていました。

「友ある者は敗残者ではない」

すばらしきかな、人生!
ジミー ホーキンズ
あすなろ書房


  なお、この映画にジョージの息子トミー・ベイリー役で出演していたジミー・ホーキンズは、映画の封切から60年経った2006年、トミーを主人公にした子供向けの『すばらしきかな、人生』を出版しています。この映画が伝える、人が人を支え、かつ支えられて生きている人生の素晴らしさを子供達に伝えるお話となっています。

  繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした

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