窪田恭史のリサイクルライフ

古着を扱う横浜の襤褸(ぼろ)屋さんのブログ。日記、繊維リサイクルの歴史、ウエスものがたり、リサイクル軍手、趣味の話など。

【WBN】テキーラ・メスカルの試飲会②

2017年04月28日 | WBN情報


  さて、ここからはテキーラとメスカルの違いについて、原料と作り方から見ていきます。

  写真を掲載できませんが、蒸留酒の製造工程は世界中どこでも似たり寄ったりですので、ご参考までにウィスキーと焼酎の製造工程を以下にリンクしておきます。


サントリー 山崎蒸留所

霧島町蒸留所①

  まず原料である竜舌蘭ですが、テキーラはアガヴェ・アスール、メスカルはアガヴェ・エスパディンが使われるそうです。いずれも花が咲く前の茎を熟成させ収穫しますが、アガヴェ・アスールは熟成までに6年~8年、アガヴェ・エスパディンは8年~10年かかるそうです。熟成した茎の重さはアガヴェ・アスールで60kgs~80kgsほど、アガヴェ・エスパディンで120kgs~280kgsにもなるそうです。一般男性と力士程の大きさの違いがあると言えば分かりやすいでしょうか?

  収穫した竜舌蘭を蒸すのですが、テキーラは圧力釜で30トンほど一気に蒸します。一方、メスカルは掘った穴に焼いた石を敷き詰め、その上に竜舌蘭の搾りかすを被せ、蓋をして蒸します。蒸し焼きには3日ほどかかり、一度にできる量は13トンほどだということです。

  次に蒸した竜舌蘭を圧搾します。テキーラは機械で圧搾、メスカルはマチェーテと呼ばれる山刀で細かく繊維状にします。

  そして発酵。テキーラは酵母を加えてステンレスタンクで発酵。メスカルは天然酵母で木桶による発酵を行います。テキーラの発酵は機械設備による温度管理で進みますが、メスカルは職人が約7日間発酵を管理します。この発酵をいつ止めるかが味の決め手になるそうです。

  蒸留。テキーラはウィスキーと同じ様に巨大なポットスチルで蒸留を行います。一方、メスカルは小さな銅釜と薪で蒸留します。銅釜の容量は280ℓ、1回目の蒸留は強火で4時間、17度~20度のアルコールを抽出します。二回目の蒸留は弱火で8時間、最初に抽出される70度ほどのアルコール1ℓを除去(これは次回の蒸留に回します)、そして60度~17度になるまで蒸留します。できたお酒の平均度数は50度~52度ほど、わずか80ℓということです。つまり、13トンもの原料からわずか1,000ℓのお酒しかできないという計算になります。

  熟成。テキーラはやはりステンレスタンクで、テキーラは泡盛のような小さい甕で熟成します。もちろん、樽熟成もあるようです。

  総じてテキーラの製造工程は機械化されたウイスキー工場のイメージ、メスカルは昔ながらの伝統的な焼酎作りのイメージと言えるでしょうか。ここまでの製造工程を辿るだけでも、メスカルは非常に手間のかかるお酒だということが分かります。そもそも竜舌蘭の茎が成熟するのに10年かかり、1回に収穫した原料13トンから1,000ℓのお酒を作るのに計25回以上蒸留をしなければならない計算になる(2回蒸留のため)のですから、大変なものです。

<つづく>

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした

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