ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『相棒 -劇場版-』

2024-06-08 17:17:13 | 日本映画

劇場版の大ヒットがその人気を決定づけた刑事ドラマと言えば『あぶない刑事』と『踊る大捜査線』、そしてこの『相棒』も代表格の1つでしょう。

(どうでもいいけど連ドラを映画化するとフジテレビは“◯◯THE MOVIE”、テレビ朝日は“◯◯劇場版”、TBSは“映画◯◯”と表記する慣わしがあるみたい)

私は『相棒』という番組を「日本の警察ドラマを全て“刑事がただ突っ立って謎解きするだけの紙芝居”にしてしまったA級戦犯」としてずっと揶揄して来ましたけど、実は2008年に公開された劇場版第1作『相棒 -劇場版-/絶体絶命!42.195km 東京ビッグシティマラソン』は映画館で観てたりします。

当時はまだ両親が元気で休日はフリーだったし、隣町にシネコンがあったし(現在は閉鎖)、愛読してた年1回発行のムック「刑事マガジン」で猛プッシュされてた影響もあり、どこがそんなに面白いのか確かめたくなったんですよね。

今思えば「刑事マガジン」は東映の息がかかったムック(元はと言えばテレ朝&東映制作による特撮ヒーロー番組を特集した本のバリエーション)だから、同じテレ朝&東映の勝負作をプッシュするのは当たり前なんだけど。



観たら面白かったですw (脚本は『つばさ』『スペシャリスト』等の戸田山雅司さん)

そりゃ当時すでにTVシリーズがシーズン6まで数えてた人気作の、満を持しての映画化だからつまんない筈がないし、その確信が無ければいくらヒマでも観に行ったりはしません。

でも正直、あんなにヒットするとは思いませんでした。PR面で圧倒的に有利なテレビ局映画とはいえ、『あぶない刑事』や『踊る大捜査線』に比べると地味ですから。

明らかに客層が違うんですよね。つまり「大人の鑑賞に耐えうる作品」であり、それがちゃんと商売に繋がることを証明してくれた点が『相棒』の偉大さかも知れません。



警視庁内で“陸の孤島”と呼ばれる2人だけの特命係=杉下右京(水谷 豊)& 亀山 薫(寺脇康文)をはじめ、川原和久、六角精児、高樹沙耶、鈴木砂羽、木村佳乃、津川雅彦、そして岸部一徳ら当時のレギュラー&セミレギュラーキャスト陣が勢揃い。



東京ビッグシティマラソン大会が爆弾テロに狙われるストーリーってことで、有森裕子選手もゲスト出演。



そして内閣総理大臣を『はぐれ刑事』の平幹二朗さんが演じ……



もう16年も前の映画だからネタをバラすけど、爆弾テロの黒幕を演じたメインゲストが『特捜最前線』の西田敏行さん。それまで水谷豊さんとの共演はありそうで無かったかも?



映画が製作される数年前に起きた、紛争国に出向いた若い日本人ジャーナリストをゲリラ集団が拉致し、国に身代金を要求してきた事件をモチーフにした内容で、あのとき「自己責任だろ!」と被害者やその家族をさんざんバッシングした社会、そしてそれを放置した政府に対する復讐が西田さん(拉致されて殺されたジャーナリストの父親)の犯行動機でした。

練りに練ったミステリーの面白さだけじゃなく、そうした時事ネタを巧みに取り入れ、さりげなく作者の主張を滲ませる作劇にも『相棒』を「大人の鑑賞に耐えうる作品」たらしめた秘訣がありそうです。

ただし! ラスト近いシーンにおける長ったらしい“手紙の朗読”にはシラケました。それまで泣いてたのに「まだあるんかいっ!?」「しつこいぞ!」って思いました。

あれが私の言う「製作委員会システムの落とし穴」なんですよね、きっと。映画やドラマの本質をまるで解ってない素人(スポンサー企業の偉いさん)が「ここにもうひと押し“泣けるシーン”を入れろ」とでも注文したんでしょう。最後の最後に、つくづく残念です。



セクシーショットは西田さんの娘(つまり殺されたジャーナリストの妹)役で出演された、ゲストヒロインの本仮屋ユイカさん。劇中では初々しく見えたけど、すでに3年前にNHKの朝ドラ『ファイト』で主役を張っておられます。


 

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『踊る大捜査線 THE MOVIE』

2024-06-05 20:55:32 | 日本映画

'70年代を代表する刑事ドラマが『太陽にほえろ!』なら、'80年代は『あぶない刑事』、そして'90年代は『踊る大捜査線』ってことになるでしょう。

『太陽にほえろ!』が築き上げたスタンダードからハミ出た『あぶない刑事』と、打ち砕いた『踊る大捜査線』はどちらも刑事ドラマの流れを大きく変えた点で、なおかつ劇場版の大ヒットにより人気が決定づけられた点でも共通してます。

だからなのか、あるいは偶然なのか、『あぶない刑事』が映画で8年ぶりに復活した今年、なんと『踊る大捜査線』も12年ぶりに新作映画が公開されるんだとか。マジかっ!?

それ、観たいですか長嶋さん?

ん〜〜〜っ、どうでしょう!?

私自身が最初のTVシリーズに“どハマり”し、だけどその熱が映画化によってみるみる冷めていった点でも『あぶない刑事』と『踊る大捜査線』は共通してるんですよね。

『あぶない刑事』は近作の『さらば〜』と『帰ってきた〜』で原点回帰を果たし、我々オールドファンを魅了してくれたけど、『踊る大捜査線』は一体どうするつもりなのか?


「事件は会議室で起きてるんじゃない、現場で起きてるんだ!」

主人公=青島俊作(織田裕二)の名台詞が光る’98年公開の劇場版第1作『踊る大捜査線 THE MOVIE/湾岸署史上最悪の3日間!』は、TVシリーズの斬新さと面白さをうまく2時間に凝縮させた点で素晴らしかったと思います。

私は当時「ただの焼き直しやん!」って批判した記憶があるけど、今にして思えば「TVドラマを映画化する」にあたっては手本にすべき作品かも知れません。

ところが、これが想定外の大ヒットを記録したせいで、『踊る大捜査線』シリーズは本来の斬新さと面白さを失っていく。

過去の記事でさんざん愚痴ったから細かくは書かないけど、要するに創り手たちの姿勢が「ヒットしなくていいから新しいことやるぞ!」から「何が何でもヒットさせるぞ!」へと、あからさまにシフトチェンジしちゃった。

2作目の劇場版を観てホントに私は「魂を売りやがった」と感じたし、それがまんまと「日本の実写映画 歴代No.1ヒット」の座を今だにキープする興行収入を上げたもんだから「可愛さ余って憎さ百倍」ってワケです。

特に、TVシリーズと劇場版1作目には無かった「仲間」っていうフレーズが2作目以降は乱発され、あの悪名高い「少年ジャンプ」や「日曜劇場」を彷彿させる“お涙頂戴システム”が私をさらに辟易させたという顛末。

本来の『踊る大捜査線』は、そういう“万人受け”狙いの王道をひっくり返したからこそ面白かったのに!

なまじ劇場版1作目が大ヒットし、2作目から製作費が格段に上がった=勝手な注文をつけてくるスポンサー(それこそ“会議室”にいる連中)の数が増えたことが諸悪の根源。いわゆる「製作委員会」システムの落とし穴。

会議室の言いなりに動くしかない“下々の民”の悲哀をコミカルに描き、大いに我々を共感させたはずの番組が大作映画になったとたん、自ら進んで会議室にシッポを振るようになったという“現実”の皮肉。そうするしかない実情は解るけれど。

そんな『踊る大捜査線』を今さら観たいと思いますか?

ん〜〜〜っ、どうなんでしょう!?


しかも新作(2部作になるらしい)の主人公は青島ではなく、本庁のエリートで四六時中眉間にシワを寄せながらホッペを舌で膨らませてた、あの室井慎次(柳葉敏郎)なんだとか。ん〜〜〜っ、どうでしょう!?

確かに室井さんは第2の主人公と言える存在だけど、それは対極に青島っていう熱血漢がいればこそ光るキャラクターなワケで、スピンオフでも客が入った全盛期ならともかく……


もし青島を出せない事情があるなら、いっそ恩田すみれ(深津絵里)を主役にした方がファンの興味を引くのでは? それなら私も「ん〜〜どうでしょう、観てみたいかも!?」って思うかも?


柏木雪乃(水野美紀)という第2ヒロインだっているし、TVスペシャルに登場した内田有紀さんやフレッシュな若手女優も加えて“女性の時代”に相応しい『踊る大捜査線』なら「ん〜〜っ、観に行くでしょう!」って言いますよ、きっと。

別にギバちゃんが嫌いなワケじゃないけど、四六時中眉間にシワを寄せながらホッペを舌で膨らませてる爺さんの映画を、いったい誰がわざわざ観に行くの?って思う。


最初の頃は大いに笑わせてもらった、通称“スリーアミーゴス”(北村総一朗、小野武彦、斉藤暁)のコント芝居もシリーズ末期にはウンザリしたもんです。


これでもかと“哀愁”を漂わせる和久さん=いかりや長介さんの芝居にはTVシリーズの頃から「あざとさ」を感じてたし、劇場版2作目に至っては単なる“名言生産マシーン”にしか見えなかった。(彼に名言を吐かせるためのお膳立てが何よりわざとらしい!)

こんなに悪口ばっか言っちゃうのはホントに最初のTVシリーズが大好きだったからこそで、前述の通り「可愛さ余って憎さ百倍」なんです。


犯人役の“意表を突いたキャスティング”も劇場版1作目の小泉今日子さんまでは楽しめたけど、2作目の岡村隆史さん以降はやっぱり「あざとさ」しか感じなかった。創り手の変わり身とその下心は、確実に伝わるんですよ。特に熱心なファンには!

今回の記事は「踊る大捜査線まで(あぶデカと同じく)完結を謳ったクセに復活しちゃう!」っていう事実を皆さんに伝えるだけのつもりだったのに、結局また恨みごとを書き連ねちゃいました。

繰り返しになるけど、それほどTVシリーズは革新的で面白かった。テレビにはテレビならではの良さがあるんです、ホントに。

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『帰ってきた あぶない刑事』

2024-06-01 23:33:11 | 日本映画

6月1日 土曜日、宣言通り『帰ってきた あぶない刑事』を観て来ました。午前中にかかりつけの心療内科と整骨院をハシゴし、そのまま愛車を飛ばして県庁所在市にあるショッピングモールのシネコンまで片道約1時間20分。

昼食を採る時間があるかどうかのタイトスケジュールにせざるを得なかったのは、途中で山道があるから日暮れ前に帰りたかったのと、日曜は日曜で外せない用事があるから。鑑賞料金が安い1日(映画の日)に行ったのは“たまたま”です。

ショッピングモールなんぞに出かけたのは昨年の『インディ・ジョーンズ/運命のダイヤル』鑑賞以来のことで、あの時もまったく同じことを書いたかも知れないけど……楽しそうに買い物したり遊んだりしてるファミリーやカップルたちの姿を見ると、年中同じ場所で同じルーティンを繰り返してる介護施設の老人たちの顔が頭をよぎって、泣けて来ちゃうんですよね。

当然、自らの意思で入居してきた人はおらず、認知症で「帰りたい」「どうすれば外に出られるの?」って毎日聞いてくる人が何人もいる。介護職員をやってると「大丈夫、明日帰れるように段取りしてあるから」なんて大嘘つくことにも慣れて、罪悪感が麻痺しちゃう。

あらためて、精一杯いたわってあげたくなりました。そんな気持ちを取り戻す為にも、自分自身がリフレッシュする日は絶対に必要だと思いました。

『帰ってきた あぶない刑事』と全然関係ないこと書いてますが、私の勤める施設に入居してる人たちの大半は90歳を越えており、それを思えば舘ひろし=73歳、柴田恭兵=72歳なんて、まだまだ若い!



普通なら「70代でこのカッコ良さは奇跡だ!」って書くところだけど、介護職員である私の感想はひと味違いますw まあ、自分よりひと回り以上も歳上の人たちがハードアクションをこなしてるのはやっぱり凄いけど、カッコ良さに関しては持って生まれた才能でしょう。だからスターになれるワケで。



さて、本題ですが……作品を観た感想は、5月19日の記事『M10 大下勇次モデル』に頂いた「驕りと怯え」さんのコメントと、ほとんど同じ。

手抜きするつもりは無いけど……いや、正直言って完全に手抜きだけどw、ネタバレを避けながら作品の魅力を的確に伝えて下さった「驕りと怯え」さんのコメントを、まずはコピペさせて頂きます。

☆☆☆☆☆☆☆

『帰ってきたあぶない刑事』観てきました。私の感想を一言でまとめますと「面白かった!また観たいよ」です。

上から目線の言い方になりますが、監督をはじめ制作スタッフを若返らせたことが──どうせなら脚本家もそうして欲しかったかもですが──功を奏し、“根っこに浪花節がある昭和の刑事ドラマ”が令和の時代に合わせて見事にブラッシュアップされてたと思います。もしかしたら一本の映画としての完成度は歴代劇場版で一番かもしれません。

正直言って私は今までのあぶデカ映画にノイズ──いい加減さや違和感や無駄──を多く感じてたのですが、嬉しいことに今回はそれがほとんどなかったです。

・全体的に話運びがスムーズで「あれ、ここもたついてません?」ってところが一箇所か二箇所くらいしかなかった。

・今回初めて登場するゲストキャラに余計な人がいなくて、従来のメンバーにそれぞれ見せ場があった。仲村トオルさんは格好良かったし、浅野温子さん──彼女を出さないわけにもいかないが誰も何も言えないんでしょうな──の狂態にもストーリー上の意味が一応はありました。

それにもちろん主演の館ひろしさん達は素晴らしかったです(初めて柴田恭兵さんのアップを見たときはビックリしましたが)。お二人の年齢を考えますと、あのスタイルの良さと色気、身のこなしは本当に驚異でしょう。

スクリーン映えする“画”もたくさんあり(横浜ってあんなに夜景がキレイな街だったンだ)、アクションシーンもそれぞれ不自然さがなくキッチリ盛り上げてくれ、何より嬉しかったのはBGMの選曲! ここでこの曲が来ますか〜って何度かウルっときました。

おそらくは子供の頃にTVシリーズを見て育ったのだろう若い作り手達のあぶデカへの愛情とリスペクトが伝わってくる素敵な映画でした。本当に観て良かったと思います。

☆☆☆☆☆☆☆

以上の素晴らしいコメントが、CATVの放映を待てばいいと思ってた私を「居ても立ってもいられなく」させたワケです。驕りと怯えさん、有難うございます。おっしゃる通りでした!

その時のレスにも書きましたが、かつて番組を観て育った人たちの方が、当時のスタッフよりも「ファンが本当に求めてるもの」をよく解ってるんですよね。特撮ヒーロー物がそうであるのと同じように。



BGMの選曲については、恐らくこのシーンや最初の銃撃戦あたりのことを仰ってるんでしょう。そこはもうハッキリ書いちゃいますが、前作『さらば あぶない刑事』では(主題歌&挿入歌を除いて)いっさい使われなかったTVシリーズのBGMが今回、再録音されて使われてる! そりゃ昔からのファンは痺れますよ!

で、これもネタバレになるけど、エンディングの主題歌が『冷たい太陽』じゃなく『翼を拡げて』だったのも良かった!(私はそっちの方が好きなんです)

だから『さらば〜』と『帰ってきた〜』が対になってる感じがして、もし続きをやるなら(ヒットしてるから多分やるでしょう)映画じゃなくTVシリーズにして欲しいって一瞬思ったけど、ビデオ撮りの『あぶない刑事』はあり得ないからやっぱ映画ですね。

いずれにせよ、今回のヒロイン=土屋太鳳さんは必ず再登場させて欲しい!



『帰ってきた〜』が『さらば〜』より良かった最大のポイントは、土屋太鳳さんにあると私は思います。『さらば〜』のヒロイン役=菜々緒さんに落ち度は無いけど、演じたキャラクターに魅力が無かった。

そこは今回の脚本を担当された大川俊道さんの功績と思われます。岡芳郎さんとの共作ではあるけど、やんちゃな女の子は大川さんの十八番ですから。

あと、町田課長(仲村トオル)の部下すなわち港署捜査課の刑事として、西野七瀬さんがキャスィングされたのも良かった!



そりゃもう、オリジナルのヒロインである浅野温子さんがあんな事になっちゃいましたからね。そういや木の実ナナさんもついにフェードアウト。言っちゃ悪いけど、お二人共もう出なくていいと思います。今回、温子さんが登場した瞬間に観客が“ドン引き”する空気を確かに感じました。

『さらば〜』のときに柴田恭兵さんが、主要キャラクターたちがまるで『サザエさん』のタラちゃんみたいに成長しないのも『あぶデカ』の面白さだと仰ってて“言い得て妙”だと思ったけど、さすがに温子さんはもう……



ほか、吉瀬美智子、岸谷五朗、杉本哲太、早乙女太一etcといったゲスト陣が登場し、レギュラーキャストは前出4人を除くとベンガルさん、長谷部香苗さんの2人だけになっちゃいました。


PS. またネタバレになるけど、恐らく『インディ・ジョーンズ/運命のダイヤル』と同じ技術により、'80年代の姿に若返った鷹山&大下も見所のひとつ。今回の復活に『インディ〜』が与えた影響は少なくないかも知れません。



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『さらば あぶない刑事』

2024-05-29 21:45:13 | 日本映画

今週末に『帰ってきた あぶない刑事』を観に行きます。5月19日の記事『M10 大下勇次モデル』に届いた「驕りと怯え」さんからのコメント=さっそく観に行かれての熱すぎる感想を読んで、居ても立っても居られなくなりました。

件の記事に「諸事情あって劇場へ出かけるのは難しい」と書いたのは、平日は仕事でヘトヘトだから当然ムリだし、土日は認知症の母が家にいて放っておくワケにいかないから。映画館がすぐ近くにあれば何とかなるけど、なにせ田舎暮らしなもんで映画1本観に行くだけでも半日がかり。

だけど、裏技がある。母には申し訳ないけど、介護施設でのショートステイを今週だけ延長してもらえば、土日は自由に動ける。当然2日分の料金が上乗せされるリスクも伴うけど、たまには私だってガス抜きがしたい!

そんなワケで、今回はプロローグ。旧ブログ(変態事務局に封印されました)にて2016年2月にアップした、前作『さらば あぶない刑事』の感想記事を(少しばかり修正と注釈を加えて)以下に再掲載します。





やっと観に行けました。公開から1ヵ月近く経っても上映中なのは、けっこうヒットしてる証拠ですよね。

最近のシネコンは客の入りが少ないとすぐ打ち切りますから、地味だけど良質……みたいな作品がクチコミでヒットすることは、まず有り得ない。宣伝面で有利なTV局映画の一人勝ちで、内容の良し悪しは関係ないワケです。破滅です。

この『さらば あぶない刑事』も典型的なTV局映画で、主要キャストの皆さんが過去に無い露出度でプロモーションに励んでおられたので、ヒットして当たり前と言えば当たり前。

だけど、今回はギャグを抑えてハードボイルドな作風に回帰してるって言うし、鷹山(舘ひろし)&大下(柴田恭兵)の定年退職直前の3日間を描いたストーリーってのも面白そうで、内容面にも期待が持てました。

やっぱり自分が若い頃に楽しんだドラマの(今度こそ)完結編だし、映画秘宝のムック「にっぽんの刑事スーパーファイル」発売にも背中を押されました。

思えば、私が愛した「刑事アクション」というジャンルの、日本においてこれが最後の作品になるワケです。いや、日本だけじゃなくて、ハリウッドでもポリスアクション物はかなり減ったように思います。

『さらば あぶない刑事』イコール「さらば 愛しき刑事アクション」。本当の意味での刑事ドラマは、これで完全に絶滅しました。

そういう意味でも感慨深いし、年齢を重ねた鷹山&大下は、実に味わい深くなってます。この映画、良かったですよ! 期待以上でした。観に行った甲斐がありました。



まだ公開中(2016年2月当時)ですからストーリーには触れないでおきますが、とにかく既に還暦を越えてる舘さん&恭兵さんの、昔と変わらない切れ味鋭いアクションを見ただけで、なんだか胸が熱くなるワケです。正直言って涙が出ました。



そして、敵役の吉川晃司さんがまた素晴らしかった。実にハードで凶悪で格好良くて、作品世界をピシッと引き締めてくれました。面白いアクション映画の絶対条件です。



鷹山の恋人を演じた菜々緒さんも良かった。いくつ歳が離れてるのか知らないけどw、あの若さで、あの舘ひろしの相手役がサマになるんだから相当なもんです。

課長になった透(仲村トオル)も歳を重ね、ボケ役にも深みが出て来たし、最大の問題児である薫(浅野温子)も、今回はシリアスな展開の中で程良い息抜きの役割を果たしてくれたように思います。



我々もあの怪演に慣らされちゃったし、今や大ベテラン女優となった温子さんが相変わらずの狂騒ぶりを見せてくれるのには、むしろホッとしたりもして。

「あぶデカらしくない」とも言えるシリアスな展開の中でただ1人、いつも通りの薫なんですよね。今さらシリアスに(というか普通の人間に)戻ろうとしてもムリだし。

ここまで全てを好意的に受け止め、素直に楽しめるようになったのは、私自身が歳を取ったせいもあるかも知れません。お馴染みのキャストが年齢を重ねた姿に共鳴しちゃうんですよね。

そして『あぶデカ』の長い歴史の裏側に、自分自身が歩んで来た年月の記憶があるワケです。



何しろ、同じキャストで丸30年ですよ! 『太陽にほえろ!』や『西部警察』がいくら復活したところで、メンバーを変えちゃったら全くの別物。何の感慨もありません。

同じキャストで(ブランクはあれど)丸30年っていうのは、ほとんど奇跡です。ちょっと他に例が無いんじゃないですか?

そんなワケで『さらば あぶない刑事』、私は存分に楽しめました。楽しんだし、刑事アクションというジャンルとの惜別に今、ちょっと感傷的な気分も味わってます。



☆2024年5月の追記。

そのあと小栗旬くんが頑張って『BORDER』と『CRISIS』で刑事アクションドラマの進化型を見せてくれたから、決して「絶滅」したワケじゃなさそうだけど、一世を風靡したと言えるのは『あぶない刑事』がやっぱり最後でしょう。

8年ぶりの復活に関しては「驚かなかった」とM10の記事に書きましたが、この『さらば〜』の記事を読み返すと感傷に浸ってる自分がちょっと恥ずかしいですねw

ちなみに『さらば〜』は鷹山&大下がニュージーランドで探偵事務所を開設して幕を下ろしました。つまり正確には、透が予告編で言ってる通り新作で帰ってくるのは“あぶない探偵”です。

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『あの頃。』

2023-07-11 22:12:23 | 日本映画

2020年に公開された、今泉力哉 監督による日本映画。ベーシストで漫画家の劔樹人による自伝的コミックエッセイを実写化した作品です。

舞台は2003年の大阪。大学院受験に失敗し、他にも色々あって落ち込んでた主人公(松坂桃李)が、当時のスーパーアイドル「あやや」こと松浦亜弥のPV『♡桃色片想い♡』をたまたま観て、衝撃を受けます。



で、すぐさまCDショップに駆け込み……



あややコーナーにかぶりついてたら、ハロプロ(当時のあやや、モー娘。などが所属するアイドル事務所ハロー!プロジェクト)オタクの店員に声をかけられ、ファンサークル「ハロプロあべの支部」のイベントに誘われちゃう。



私が楽しめたのは、ここまで。このテの作品は、登場人物にどれくらい共感できるか次第。

私はアイドルのPVを観て泣いた経験は無いけど、エンタメ作品に激しく衝撃を受け、どっぷりハマっていく気持ちは痛いほどよく解る。

けど、そこから先の展開にはまったく共感できませんでした。

この主人公(つまり原作者自身)は、すぐさま「ハロプロあべの支部」のメンバーたちと仲良くなり、ツルむんですよね。



いつも同じメンバーでツルんで、ふざけ合いながら「追っかけ」をし、打ち上げでまたふざけ合う。

そりゃあ楽しいだろうけど、学生の同好会みたいなもんで、本気でアイドルを応援する気持ちよりも「気の合う仲間とツルんでたい」気持ちの方が強そうに、私の眼には写っちゃう。

それを否定はしないけど、同じオタクでも私とはまったく違う種類のオタクだから、感情移入できない=内容がつまんないって事です。

ましてや、そのメンバーで「恋愛研究会。」なんてバンドを始めたり、同じ女の子を取り合ったりする「青春」描写には禁断の「倍速視聴」で対応せざるを得ませんでした。

決して悪くはない。ただ、自分とは対極にいる(いた)人たちがふざけ合ってる姿を延々と見せられても、心が動かないんです。あくまで私の場合は。

そんな映画をわざわざレビューした理由は、これ。



なんと、握手会のシーンに松浦亜弥さんが登場! まさか『インディアナ・ジョーンズ』最新作の私みたいにデジタル技術で若返った!?

……と思いきや、現役ハロプロアイドルの山﨑夢羽さんが演じてるのでした。似てる! (俗に『ハロプロ顔』というカテゴリーがあるらしい)



けど、アップになるとやっぱり違う。違うけど、仕草や表情をめちゃくちゃ研究&練習されたであろう、そのご努力を、ここんとこの「あやや特集」の締めとして讃えさせて頂きます!

というワケで今回のセクシーショットは山﨑夢羽さんと、主人公と恋仲になりそうでならない後輩を演じられた、中田青渚さん。



それぞれ「やまざき ゆはね」「なかた せいな」と読みます。今どきの子らの名前(の読み方)がホントに難しい! 正直めんどくさい!

けど、お二人とも素晴らしいお尻をされてるので無問題です。👍


 

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