☆第300話『男たちの詩』
(1978.4.28.OA/脚本=小川 英&四十物光男/監督=竹林 進)
放映300回記念作品として制作された本エピソードでは、ボス(石原裕次郎)が左胸を撃たれて瀕死の重傷を負うという、七曲署史上最大のピンチが描かれました。
加えてマカロニ(萩原健一)、ジーパン(松田優作)、テキサス(勝野 洋)の殉職シーンが久々に回想され、山田署にいるスコッチ(沖 雅也)や警察犬のジュン、ジーパンのお母さん(菅井きん)まで応援に駆けつけるという超豪華仕様。
暴力団相手の大立ち回りやド派手なカーチェイス&爆破、スコッチの拳銃さばき等アクションの見せ場もふんだんにあり、個人的には番組史上ベスト3には入れたい大傑作です。
特にあの時期、ずっと地味なエピソードばかり続いて私はフラストレーションが溜まりまくってましたから、このイベント要素満載の回はそれこそネット民用語で言うところの「神回」で、録音したテープを何度繰り返し聴いたか分かりません。(当時はまだビデオデッキが普及してませんでした)
また、現職の警察官による犯罪を描いた点も『太陽にほえろ!』では異色で、トピックの1つに挙げられると思います。
犯人は銀行の現金輸送車襲撃を企む強盗グループで、現場の下見をしていたところをボスに怪しまれ、とっさに狙撃したのでした。
「そいつら全員が現職の警官だとしたら……死んだマカロニやジーパンやテキサスに、俺は何と言って詫びたらいいんだ」
まだ殉職者が3人だったから言えたボスの台詞です。本作の拡大版リメイクとも言える後年の2時間スペシャル=第665話『殉職刑事たちよ やすらかに』の時点では、さらにボン、殿下、スコッチ、ロッキー、ゴリさん、ボギー、ラガーが殉職者リストに加わりますから、物凄い長台詞になっちゃいますw
それはともかく、最後に主犯格をぶん殴ってから言うボスの台詞には、死んだ部下たちへの想いが込められてて胸が熱くなります。
「貴様がやった事はな、貴様が罪に服しただけで済む事じゃない。日本中の警察官一人一人がそれを背負うんだ。警察官の制服を着るって事はそういう事だ。それを貴様、一度でも考えたことがあるか?」
昨今の刑事ドラマでは警察上層部の犯罪が頻繁に描かれ、それを主役の刑事たちがどや顔で暴いて見せるワケだけど、自分も敵と同じ警察官なんだっていう意識が稀薄になり過ぎてる気がします。
結局、警察もただの組織であり、警察官も普通の人間なんだっていう作劇は確かにリアルかも知れないけど、そのぶん重みが無くなっちゃいますよね。今や警察官が悪いことしても誰も驚かないから、本作みたいなドラマはもう成立しない。
前回(#299『ある出逢い』)で描かれた教師像もしかりで、まだ人々が理想を信じていられた時代。警察官の犯罪がまだ衝撃的と感じられた時代。日本人は幸せでした。
毎年、ジーパンやテキサスが死んだ場所にもボスは通ってる、っていう設定でしたが、後年になって殉職者が10人を超えてもボスはその場所を全部回ってるの?なんてネタにもされてますねw
殉職がまだ定例イベント化せず、重みがあったあの頃が、やっぱり『太陽にほえろ!』の黄金期でしたね。
地元で奇蹟的にVHS扱っているレンタル店で見つけたので…。
警官による犯罪や偽警官なんかは「Gメン'75」から少なからぬ影響を受けているんじゃないかと思います。
これ以後も何度か、警官が犯罪を犯したり、白バイ隊員(偽物含む)が出てくるエピソードが作られていますから。
しかし、この話はいろいろと気合が入ってますね。
カーアクションでは、大型トラックまでぶっ壊しますから↓
http://stunt.car.coocan.jp/taiyounihoero-2/taiyounihoero(300-2).html
乱文失礼しました。