1988年に公開された、全盛期のアーノルド・シュワルツェネッガー主演によるポリスアクション映画。原題は『RED HEAT』、監督は『48時間』『ストリート・オブ・ファイヤー』など男気アクションの雄=ウォルター・ヒル師匠。
シュワちゃんが今回演じたのはなんと、当時はまだソビエト連邦だったモスクワ警察のスーパー筋肉捜査官=イワン・ダンコ大尉。
無口、筋肉、無表情、筋肉、怪力、筋肉……そして裸になって大型銃を撃ちまくればターミネーターT-800と何も変わらないんだけどw、それだけにシュワちゃんにしか演じられないハマリ役となりました。
で、そんなダンコ大尉がモスクワで殺し損ねた麻薬組織のボス(エド・オロス)を追ってアメリカへと渡り、シカゴ警察のハミダシ刑事=リジック(ジェームズ・ベルーシ)とコンビを組んで悪党どもを皆殺しにするという楽しいストーリー。
『リーサル・ウェポン』('87) の大ヒットを皮切りに、当時はバディ物のポリスアクションが花盛り。ふだんは単独で主役を張るスターたちもこぞって誰かとタッグを組むようになり、スタローン先生も『デッドフォール』('89) でカート・ラッセル兄貴と看板を分かち合われたのは前回書いた通り。
『コブラ』と『ゴリラ』、そして『デッドフォール』に『レッドブル』と、いかにもスタローンvsシュワルツェネッガーが意図して同じ路線をぶつけ合ったように見えるけど、単にそれぞれがブームに乗っかっただけで公開時期が重なったのは偶然だろうと思います。それだけ当時はポリスアクション映画が熱かった!
ジェームズ・ベルーシ氏は『ブルース・ブラザース』で有名なジョン・ベルーシ氏の弟さんで、無口&勤勉なダンコ大尉に対してお喋り&テキトーなヤンキー気質のリジック刑事と、キャラクターの色分けも『デッドフォール』と被ってますw(そういやスタローン先生の役名はタンゴ。シュワちゃんはダンコ。やっぱメチャクチャ意識してる?)
ダンコ&リジックの掛け合いはターミネーターとジョン・コナー少年みたいなもんで、なかなかの名コンビじゃないかと私は思います。シュワちゃんのユーモアセンスもスタローン先生とそれほど大差なくw、お喋りは相方に任せて合間に仏頂面でごく短いジョークをかますのが一番。シュワちゃんはこのあとダニー・デビート氏とのコンビでファミリー向けコメディーを連続ヒットさせ、スタローン先生を大いに焦らせることになります。
アメリカ映画で初めてモスクワ市街や赤の広場でのロケを許可されたことでも話題になった本作。ストーリー進行がややもたついて中弛みを感じるのが残念だけど、シュワちゃんが裸になってバキュン!バキューン!バリバリバリバリ!ドッカーン!!と大暴れしさえすれば問題なし。それを楽しむ為の映画です。
クライマックスにおける、大型バス2台がシカゴ市街を爆走&破壊しまくるカーチェイスはレアだと思うし、そのダイナミック過ぎる演出はウォルター・ヒル師匠の面目躍如! ザッツ・ハリウッド! ザッツ・'80年代!
セクシーショットは、事件の鍵を握る女=キャットを演じたジーナ・ガーションさん。後にポール・バーホーベン監督のお下劣大作『ショーガール』や、ウォシャウスキー兄弟の初監督作『バウンド』等で大いに注目を浴びることになる女優さんです。
ちなみに本作における『ダーティハリー』オマージュは、ソ連製の愛銃を取り上げられたダンコ大尉がリジックから拝借して使うS&W M29マグナム44! シュワちゃんの「アイル・ビー・バック」に代わる決め台詞として「ダーティハリーって誰だ?」という渾身のギャグも飛び出しますが、大して笑えませんw
私は逆に、テレビや映画で男の暴力欲求を発散させないとかえって危険じゃないの?って思うのですが、今はゲームがその役割を担ってるのかも知れません。
西部警察などオープニングからしてボーリョク的でした。ヘリコプターから飛び降りてライアットガン撃ち、ビシッビシッと悪い奴を殴る。爆発、パトカーのジャンプ・クラッシュ、煙突は倒れるw
映画もテレビも男性向けでしたよね。今は江戸川乱歩調ミステリーと言った感じでアクションシーンは少ないのかもしれません。
最近は乗用車も女性向けに作ってある感じです。どの家も女房が"大蔵省"なので仕方ないのでしょう。女性専用車両など女性を養護するチカラが強いんですね(笑)
キャラハン警部が顔をしかめる表情やセリフ、モデルガンを構えて真似しました^_^
まぁしかし、あの頃の筋肉アクション映画、男はみんな観てましたよねw 最近は(特に日本の映画やテレビは)どれも女子供向けで寂しい限りです。
確かクルマのグローブボックスに44マグナムがあり、「これを使えよ。知ってるか?ダーティハリーの銃だぜ」「ダーティハリーって誰だ?」なんてやり取りをした気がします。
シュワちゃんはイーストウッドを尊敬していて、是非ダーティハリーオマージュを入れたいと希望していた…と思いました。
鉄のカーテンの向こうから来たダンコ刑事のカルチャーギャップがギャグになっていました。
ホテルのテレビを点けると半裸のネェちゃんが踊っている番組で、「資本主義め」とダンコが蔑むシーンが印象的です(笑)
パンフレットがあるので映画館に観に行ったと思います。