■16MCV優位脅かすCTA機関砲
16式機動戦闘車は間近に見ますと物凄い迫力ですが、これは絶対優位ではない、特に最新鋭の装甲戦闘車を見慣れていない故の印象なのかもしれません。
現代の40mm機関砲弾はAP弾を中心に弾薬改良が進み戦後第一世代戦車の75mm徹甲弾に比肩する威力がある、こういう話をお聞かせいただいたのは10年ほど前、技術の発展に驚かされた事を意味します、湾岸戦争では25mm機関砲で第一世代戦車を撃破しましたが、機動力を重視した第二世代戦車であれば正面装甲を貫徹する威力ですから正に驚きだ。
16式機動戦闘車は生き残れるのだろうか、機関砲の発展は留まるところを知らず、CTA機関砲として発射速度を大幅に向上させコンパクト化も両立した新時代の機関砲が徐々に装甲戦闘車の機関砲として配備がはじまっています、要するに威力の高い40mm砲弾を短時間で集中する、第一世代戦車の小隊集中射撃のような打撃力を装甲戦闘車がもちつつある。
10式戦車であれば対抗し得ます、正面装甲は第三世代戦車の120mm滑腔砲に耐える水準で弱点となる側面部分は自動装填装置等の採用で脆弱性を抑えています、しかし16式機動戦闘車は戦闘重量26t、車体は74式戦車よりも巨大だが重量は軽量、とても大口径機関砲を跳ね返す圧延均一鋼鈑換算50mm以上の防御力を有していると考えられないのですよね。
16式機動戦闘車は元より、大口径火砲を搭載した装輪装甲車全般に言える点なのですが、一方的にCTA機関砲の標的となる可能性はないのか。勿論、この点は陸上自衛隊も理解しており、訓練展示などで示される機動戦闘車は防御戦闘として陣地からの運用を基本としています、そして陸上自衛隊はことあるごとに本装備を戦車ではない、と強調しています。
4000mの超長距離射撃、16式機動戦闘車は2019年富士総合火力演習において三段山、特科部隊の射撃目標の置かれた遠距離目標への射撃展示を初公開、戦車射撃は日本では2000mを基本としており、極めて遠い目標への射撃を成功裏に完了、交戦距離の長さを誇示しました、105mm砲はL7系技術を応用しており7km以遠の目標とも交戦実績がある。
プーマ重装甲戦闘車、KF41リンクス、AJAX装甲偵察車、CV-90装甲戦闘車、もちろん装甲戦闘車は16式機動戦闘車の105mm砲に耐えられるような装甲ではありません、ただ、これらは戦闘重量が30tを超え、一部には増加装甲で40tを大きく超えるものがあり、これにより正面部分は35mm機関砲耐弾が基本となっています、昔よりも遥かに硬くなった。
ノモンハン事件においてソ連のBT-5は高威力の45mm砲を備えていたが、その分軽装甲である為に九七式中戦車の短砲身57mm砲弾が命中すると簡単に撃破されたという。逆に多少装甲が厚かった九七式中戦車は高初速の45mm砲弾が命中すると簡単に撃破された、とも。大口径砲を搭載の装輪装甲車と大口径機関砲を持つ装甲戦闘車の将来像にみえます。
AMX-10RC装甲偵察車、チェンタウロ戦車駆逐車、ストライカーMGM装甲機動砲、105mm砲を搭載する装輪装甲車は幾つかが開発されましたが、AMX-10RCの後継としてフランスは40mmCTA機関砲を搭載したスフィンクス装甲偵察車を開発、チェンタウロ2として120mm砲を搭載した改良型が生まれる等、この種の車両は現在、揺動期にあるといえる。
16式機動戦闘車は戦車大隊を置き換える装備として、即応機動連隊機動戦闘車隊や偵察戦闘大隊戦闘中隊への配備が進んでいます、この為に戦車の代替、少なくとも極めて高度の重装備と理解されているように思えるのですが、相手が戦車であった場合は勿論、装甲戦闘車であった場合も安泰ではない、こうした認識で機動戦闘車を視てゆく必要を感じます。
憂慮すべき点は自衛隊の装甲化の遅れが顕著であり、実際のところ機動戦闘車を装備する即応機動連隊は自衛隊の機会か態勢における最高水準の機械化部隊という位置づけとなっている点で、“実感としての装甲戦闘車部隊”というものへの対処認識が薄いように思える点です。もちろんこちら側の105mm砲弾に耐えられる装甲戦闘車は考えにくいのですが。
多次元統合防衛力、現在進められる防衛力整備の源流に在る統合機動防衛力構想では、重装備の敵機械化部隊に対しては即応機動部隊は緊急対処部隊であり、あくまで北方からの総合近代化師団や総合近代化旅団の増援を待つ、という前提ではあるのですが、装甲近代化師団でさえ96式装輪装甲車は僅か、装甲戦闘車などは装備されていない現実があります。
16式機動戦闘車は優れた装備なのですが、第一線級の装甲戦闘車が相手の場合はかつての25mm機関砲のようなものとは別次元の高威力を有する機関砲が搭載されており、自衛隊も89式装甲戦闘車の後継に当る装甲車両をせめて総合近代化師団の普通科連隊だけでも充足するか、北海道部隊の九州への員数外10式戦車の事前集積、思い切った16式機動戦闘車やCTA機関砲装備の偵察車輛を揃える必要があります。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
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16式機動戦闘車は間近に見ますと物凄い迫力ですが、これは絶対優位ではない、特に最新鋭の装甲戦闘車を見慣れていない故の印象なのかもしれません。
現代の40mm機関砲弾はAP弾を中心に弾薬改良が進み戦後第一世代戦車の75mm徹甲弾に比肩する威力がある、こういう話をお聞かせいただいたのは10年ほど前、技術の発展に驚かされた事を意味します、湾岸戦争では25mm機関砲で第一世代戦車を撃破しましたが、機動力を重視した第二世代戦車であれば正面装甲を貫徹する威力ですから正に驚きだ。
16式機動戦闘車は生き残れるのだろうか、機関砲の発展は留まるところを知らず、CTA機関砲として発射速度を大幅に向上させコンパクト化も両立した新時代の機関砲が徐々に装甲戦闘車の機関砲として配備がはじまっています、要するに威力の高い40mm砲弾を短時間で集中する、第一世代戦車の小隊集中射撃のような打撃力を装甲戦闘車がもちつつある。
10式戦車であれば対抗し得ます、正面装甲は第三世代戦車の120mm滑腔砲に耐える水準で弱点となる側面部分は自動装填装置等の採用で脆弱性を抑えています、しかし16式機動戦闘車は戦闘重量26t、車体は74式戦車よりも巨大だが重量は軽量、とても大口径機関砲を跳ね返す圧延均一鋼鈑換算50mm以上の防御力を有していると考えられないのですよね。
16式機動戦闘車は元より、大口径火砲を搭載した装輪装甲車全般に言える点なのですが、一方的にCTA機関砲の標的となる可能性はないのか。勿論、この点は陸上自衛隊も理解しており、訓練展示などで示される機動戦闘車は防御戦闘として陣地からの運用を基本としています、そして陸上自衛隊はことあるごとに本装備を戦車ではない、と強調しています。
4000mの超長距離射撃、16式機動戦闘車は2019年富士総合火力演習において三段山、特科部隊の射撃目標の置かれた遠距離目標への射撃展示を初公開、戦車射撃は日本では2000mを基本としており、極めて遠い目標への射撃を成功裏に完了、交戦距離の長さを誇示しました、105mm砲はL7系技術を応用しており7km以遠の目標とも交戦実績がある。
プーマ重装甲戦闘車、KF41リンクス、AJAX装甲偵察車、CV-90装甲戦闘車、もちろん装甲戦闘車は16式機動戦闘車の105mm砲に耐えられるような装甲ではありません、ただ、これらは戦闘重量が30tを超え、一部には増加装甲で40tを大きく超えるものがあり、これにより正面部分は35mm機関砲耐弾が基本となっています、昔よりも遥かに硬くなった。
ノモンハン事件においてソ連のBT-5は高威力の45mm砲を備えていたが、その分軽装甲である為に九七式中戦車の短砲身57mm砲弾が命中すると簡単に撃破されたという。逆に多少装甲が厚かった九七式中戦車は高初速の45mm砲弾が命中すると簡単に撃破された、とも。大口径砲を搭載の装輪装甲車と大口径機関砲を持つ装甲戦闘車の将来像にみえます。
AMX-10RC装甲偵察車、チェンタウロ戦車駆逐車、ストライカーMGM装甲機動砲、105mm砲を搭載する装輪装甲車は幾つかが開発されましたが、AMX-10RCの後継としてフランスは40mmCTA機関砲を搭載したスフィンクス装甲偵察車を開発、チェンタウロ2として120mm砲を搭載した改良型が生まれる等、この種の車両は現在、揺動期にあるといえる。
16式機動戦闘車は戦車大隊を置き換える装備として、即応機動連隊機動戦闘車隊や偵察戦闘大隊戦闘中隊への配備が進んでいます、この為に戦車の代替、少なくとも極めて高度の重装備と理解されているように思えるのですが、相手が戦車であった場合は勿論、装甲戦闘車であった場合も安泰ではない、こうした認識で機動戦闘車を視てゆく必要を感じます。
憂慮すべき点は自衛隊の装甲化の遅れが顕著であり、実際のところ機動戦闘車を装備する即応機動連隊は自衛隊の機会か態勢における最高水準の機械化部隊という位置づけとなっている点で、“実感としての装甲戦闘車部隊”というものへの対処認識が薄いように思える点です。もちろんこちら側の105mm砲弾に耐えられる装甲戦闘車は考えにくいのですが。
多次元統合防衛力、現在進められる防衛力整備の源流に在る統合機動防衛力構想では、重装備の敵機械化部隊に対しては即応機動部隊は緊急対処部隊であり、あくまで北方からの総合近代化師団や総合近代化旅団の増援を待つ、という前提ではあるのですが、装甲近代化師団でさえ96式装輪装甲車は僅か、装甲戦闘車などは装備されていない現実があります。
16式機動戦闘車は優れた装備なのですが、第一線級の装甲戦闘車が相手の場合はかつての25mm機関砲のようなものとは別次元の高威力を有する機関砲が搭載されており、自衛隊も89式装甲戦闘車の後継に当る装甲車両をせめて総合近代化師団の普通科連隊だけでも充足するか、北海道部隊の九州への員数外10式戦車の事前集積、思い切った16式機動戦闘車やCTA機関砲装備の偵察車輛を揃える必要があります。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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