■水爆等1240発放棄の30年後
核軍縮を現実課題として受け止めるならばウクライナ情勢について責任ある対応を考えるべき、こうした印象を受けるのですが所詮は核軍縮への熱意はその程度なのでしょうか。
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ロシア軍の軍事圧力がいかに恐怖感を感じるものかという事は、我が国も良く知っている国の一つでしょう、日ロ間はオホーツク海を隔てているとはいえソ連時代から続く北方軍事圧力は今なお大きく、陸上自衛隊は保有戦車の大半と自走榴弾砲の全てを北海道に集中させ、航空自衛隊も基地の他に代替滑走路という臨時基地を複数準備し、備えています。
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ウクライナは史上初めて核兵器を全面放棄した国家として核軍縮における一つの希望のような存在でしたが、核兵器を放棄して30年後の今日、ウクライナはロシア軍侵攻の脅威に曝されています、国境には10万のロシア軍が展開、この状況を放棄しますと、世界の核軍縮へ臨む国々へ、核兵器を放棄するならば短期的な平和の後に侵略されると示す事になる。
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世界はもっとウクライナ防衛へ関心を示すべきです、ウクライナの危機を放置するならば世界の核軍縮は滞り、査察義務の無い核兵器禁止条約に批准する国が増え、逆に査察義務の厳しい核不拡散条約から離脱すると共に核開発を進める国が増える可能性があります。核が無くとも平和を保てるのか、この単純な現実がリアリズムとして突き付けられている。
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非核化ラーダ声明。ウクライナは国家独立当時、ソ連崩壊によりソ連構成国としてソ連軍の核兵器が領土内にSS-19ミサイル130発、SS-24ミサイル40発、SS-19は多核弾頭方式を採用し780発の核弾頭が、SS-24にも多核弾頭が採用され400発の核弾頭を搭載しており、核弾頭の合計数は当時のイギリスやフランスと中国の核保有国よりも多いものでした。
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ミサイルは大陸間弾道弾、SS-19大陸間弾道弾の射程は10000kmで弾頭の核は550キロトン水爆、SS-24大陸間弾道弾は射程10450kmで550キロトン水爆を搭載するとともに鉄道車両搭載の移動発射装置を採用し生存性の高いものです。ロシアは核兵器発射暗号コード譲渡を拒みましたが、ウクライナの核残留数は水爆とともに戦術核を含め1240発という。
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米ロ首脳会談が日本時間12月7日未明、オンラインにより行われましたが、緊張状態が続くウクライナ国境周辺のロシア軍に対して、バイデン大統領はプーチン大統領と議論を重ねましたが平行線をたどるのみで、ロシア側のNATO東方拡大を受け入れない主張とアメリカ側のウクライナへのロシア介入を認めない主張は、妥協点を見い出せませんでした。
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ウクライナ東部では親ロシア派勢力とウクライナ正規軍との間で散発的な銃撃戦が発生していることが12月8日付アメリカABC報道により現地からの報道として報道されており、親ロシア派勢力にロシア軍特殊部隊グレーゾーン事態関与の確証はありませんが、一発の銃弾が大規模なロシア軍介入を招きかねない状況での国境の銃撃戦が続いている状況です。
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ウクライナが核兵器をロシアへ譲渡した1991年10月24日の非核化ラーダ声明、しかしウクライナ国内には自国をソ連の核兵器を国家継承した核兵器国であると主張する声もありました。そもそもNPT核不拡散条約により核兵器開発は核兵器を保有していない国では禁止し、1967年1月1日までに核兵器を開発完了し公然と保有する国を核兵器国としている。
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NPT核不拡散条約。しかしソ連を継承したのは首都モスクワから国家承継を行ったロシア政府であるとして、ロシアやEC欧州共同体はじめ各国から圧力を受けます。一方で、CIS独立国家共同体加盟国はソ連の国家資産を等しく共有するという1992年7月6日CIS決議もあり、ウクライナ国内ではソ連国家資産に核兵器も含まれるべきとの声もありました。
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ロシア軍の圧力が強まるウクライナ国境ですが、そもそもウクライナはソ連に併合されたとの意識が元々あり、1942年には第二次世界大戦中の最中にウクライナ出身のソ連軍中将がドイツに降伏し、1944年にロシア解放軍として50000名規模の部隊を編成しソ連に反旗を翻す一幕もありました。この緊張はソ連崩壊後にもロシア脅威論として続いています。
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非核化ラーダ声明は1991年に採択されましたが、ロシアへの核兵器移送は1996年まで要しています。これは、ロシアの脅威が在る中で水爆と大陸間弾道弾の譲渡は譲歩するとしても戦術核兵器については、ロシアからの脅威が収まる具体策が採られるまで放棄すべきではない、としまして、実はウクライナはこの頃からNATO加盟を希望しているのです。
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ウクライナ情勢。バイデン大統領は早々にウクライナへの米軍展開は考えていないとして、最後の手段にロシアとの軍事対立を含めない事を示しています。しかしそれならば、例えばポーランドやルーマニアなどNATO加盟国へ米軍緊急展開、NATOへ冷戦時代のリフォージャー作戦のような増強を考えるべきではないでしょうか、それが安全保障なのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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核軍縮を現実課題として受け止めるならばウクライナ情勢について責任ある対応を考えるべき、こうした印象を受けるのですが所詮は核軍縮への熱意はその程度なのでしょうか。
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ロシア軍の軍事圧力がいかに恐怖感を感じるものかという事は、我が国も良く知っている国の一つでしょう、日ロ間はオホーツク海を隔てているとはいえソ連時代から続く北方軍事圧力は今なお大きく、陸上自衛隊は保有戦車の大半と自走榴弾砲の全てを北海道に集中させ、航空自衛隊も基地の他に代替滑走路という臨時基地を複数準備し、備えています。
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ウクライナは史上初めて核兵器を全面放棄した国家として核軍縮における一つの希望のような存在でしたが、核兵器を放棄して30年後の今日、ウクライナはロシア軍侵攻の脅威に曝されています、国境には10万のロシア軍が展開、この状況を放棄しますと、世界の核軍縮へ臨む国々へ、核兵器を放棄するならば短期的な平和の後に侵略されると示す事になる。
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非核化ラーダ声明。ウクライナは国家独立当時、ソ連崩壊によりソ連構成国としてソ連軍の核兵器が領土内にSS-19ミサイル130発、SS-24ミサイル40発、SS-19は多核弾頭方式を採用し780発の核弾頭が、SS-24にも多核弾頭が採用され400発の核弾頭を搭載しており、核弾頭の合計数は当時のイギリスやフランスと中国の核保有国よりも多いものでした。
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ミサイルは大陸間弾道弾、SS-19大陸間弾道弾の射程は10000kmで弾頭の核は550キロトン水爆、SS-24大陸間弾道弾は射程10450kmで550キロトン水爆を搭載するとともに鉄道車両搭載の移動発射装置を採用し生存性の高いものです。ロシアは核兵器発射暗号コード譲渡を拒みましたが、ウクライナの核残留数は水爆とともに戦術核を含め1240発という。
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米ロ首脳会談が日本時間12月7日未明、オンラインにより行われましたが、緊張状態が続くウクライナ国境周辺のロシア軍に対して、バイデン大統領はプーチン大統領と議論を重ねましたが平行線をたどるのみで、ロシア側のNATO東方拡大を受け入れない主張とアメリカ側のウクライナへのロシア介入を認めない主張は、妥協点を見い出せませんでした。
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ウクライナ東部では親ロシア派勢力とウクライナ正規軍との間で散発的な銃撃戦が発生していることが12月8日付アメリカABC報道により現地からの報道として報道されており、親ロシア派勢力にロシア軍特殊部隊グレーゾーン事態関与の確証はありませんが、一発の銃弾が大規模なロシア軍介入を招きかねない状況での国境の銃撃戦が続いている状況です。
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ウクライナが核兵器をロシアへ譲渡した1991年10月24日の非核化ラーダ声明、しかしウクライナ国内には自国をソ連の核兵器を国家継承した核兵器国であると主張する声もありました。そもそもNPT核不拡散条約により核兵器開発は核兵器を保有していない国では禁止し、1967年1月1日までに核兵器を開発完了し公然と保有する国を核兵器国としている。
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ロシア軍の圧力が強まるウクライナ国境ですが、そもそもウクライナはソ連に併合されたとの意識が元々あり、1942年には第二次世界大戦中の最中にウクライナ出身のソ連軍中将がドイツに降伏し、1944年にロシア解放軍として50000名規模の部隊を編成しソ連に反旗を翻す一幕もありました。この緊張はソ連崩壊後にもロシア脅威論として続いています。
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非核化ラーダ声明は1991年に採択されましたが、ロシアへの核兵器移送は1996年まで要しています。これは、ロシアの脅威が在る中で水爆と大陸間弾道弾の譲渡は譲歩するとしても戦術核兵器については、ロシアからの脅威が収まる具体策が採られるまで放棄すべきではない、としまして、実はウクライナはこの頃からNATO加盟を希望しているのです。
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ウクライナ情勢。バイデン大統領は早々にウクライナへの米軍展開は考えていないとして、最後の手段にロシアとの軍事対立を含めない事を示しています。しかしそれならば、例えばポーランドやルーマニアなどNATO加盟国へ米軍緊急展開、NATOへ冷戦時代のリフォージャー作戦のような増強を考えるべきではないでしょうか、それが安全保障なのです。
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