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U-125救難機廃止方針とアメリカT-1練習機退役シミュレータ移行方針,日米に重なる合理化路線と現場危機感

2023-01-24 07:00:56 | 先端軍事テクノロジー
■T-1練習機180機を退役
 理屈の上ではそうかも知れないが理外の理といいますか認識の温度差が決定の現場と実動の現場にあるという事例は日米で重なるもよう。

 航空自衛隊のU-125救難機に関する政府の廃止方針ですが、一方で同盟国アメリカを見てみますと、実は似たような、これで大丈夫なのか、という合理化によるある航空機の廃止計画が進められています、それはT-1練習機、航空自衛隊のT-1練習機とは別ものでして愛称はジェイホーク、ますます日本っぽく聞こえますがビーチクラフト社製の練習機です。

 T-400練習機として航空自衛隊にも採用されていますビーチクラフト400Aビジネスジェットのアメリカ軍仕様航空機なのですが、アメリカ空軍はこのT-1練習機を退役させシミュレータへ置き換える計画を推進中です。ビジネスジェット、アメリカ空軍は1992年から180機を導入していますが、これを全廃し、シミュレータ訓練に置換えようという構想です。

 MU-300として三菱重工が開発した機体を販売権と製造権ごとビーチクラフト社に販売したものですので、これがアメリカ空軍に採用されたのは当時驚かれたのですが、退役させるという、この計画は2023年1月今月から開始されるもので、T-1はC-130輸送機やC-17輸送機にKC-135空中給油機などの特別操縦士養成課程において運用される航空機です。

 退役させてどうするのか、といいますと初等練習機での実際に飛行しての訓練終了後は実際の航空機ではなく、75日間のシミュレータによる教育へ移行する方式へ切り替えるとのことです。これにより180機の練習機の運用費用が浮く構図となるのですが、空軍部内では実際に航空機を飛ばさず訓練し大丈夫か、と懸念が生じているのが現状となっています。

 シミュレータ装置の性能は年々向上していますので、もちろん操縦技術などは確認できる事でしょうが、プロペラ式の初等練習機にて訓練しただけで、そのままシミュレータでの確認を行った以降、いきなり今後はC-17輸送機やKC-46A空中給油輸送機を飛行させる、それも旅客機と異なり不整地運用や空中給油など実任務に当る作戦機を飛行させるのです。

 技術的には問題はない、こういう論調なのでしょう。しかし航空機を実際飛ばすのにシミュレータだけで良いのか、という問題にもつながります。他方、これで一定の成果が上がるならば、将来的には航空自衛隊のT-400練習機についても、基本的に同系統の機種であるのですから、廃止というものが検討されるようになってくるのかもしれませんね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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