■陸上自衛隊も使う前提で
第四回を最終回とする予定でしたが、小さすぎるのではないかという指摘がありまして逆に小さい事は利点でもあるという視点を第3.1回改め5回ということで記載してみました。
哨戒艇の性能を兼任する高性能な小型艇として最初に思い浮かべたのはアメリカ海軍が運用するMk5特殊哨戒艇でした、ステルス性に配慮されており一定の装備を付与可能で、水陸機動団や特殊作戦群の輸送にも対応ですし、最高速力は65ノットで航続距離は500浬、特殊部隊員を充分な装備と共に16名輸送するか2tまでの装備を輸送、装載艇も積める。
20tを超えると船舶免許は途端に面倒になる、Mk5などは外洋航行能力があるのですが、日本で運用する事を考えた場合、満載排水量57tのMk5特殊哨戒艇は運用に必要な免許が途端に複雑になるという点が、これは自衛隊で鋼鈑に配備する場合は不向きなのだなあ、と考えさせられた点でした。この点でCB90/Stridsbåt90Hは排水量は13tでしかない。
海技士免許と船舶職員、排水量が20tを超えますと船舶の場合は航海海技士免許六級以上の船長が航海計画を立案しなければなりませんし、機関士として機関海技士免許六級以上の、そして電子通信海技士四級以上か通信海技士三級以上、つまり必要な国家資格が単なる船舶免許だけではなく海技士資格が必要な人数が複数となり海技免許取得の幅が広がる。
CB90/Stridsbåt90Hは陸上自衛隊にも必要だと提唱する上で、海技免許は乗船履歴の有無、乗客ではなく運行要員や船員として必要で、その上で国家資格試験に臨む必要があります。そして調べてみますとAAV-7両用強襲車や94式水際地雷敷設車の運用実績では必要な乗船履歴とは認められず、海技免許の障壁を考えると排水量13tは非常に使いやすい大きさ。
プレジャーボート程度しか航行能力の無いCB90/Stridsbåt90Hは外洋作戦に不向きであることは理解するのですが、プレジャーボートと同じ船舶免許で運行できるため、海技士免許を持つ船長と機関士と通信士が各艇毎に必要な、より大型の、艦艇は導入に障壁が一挙に高まるのです。もちろん、海技士免許を陸自でも取得できる事が利点と成れば別ですが。
陸上自衛隊に入隊すると無料で大型免許がとれる、ということは一時期に大型免許が大きな収入に直結していた時代、なにしろ1990年代の大手運送会社が募集した初任給は40万円代後半、大きな募集への強みとなっていました。陸上自衛隊へ入隊すると海技士資格が取れるという事が募集上大きな利点と成れば、大型船を導入する意義になるやもしれない。
かつ大品輸送。陸上自衛隊で導入する利点として、行う必然性はないのですが必要ならば可能であるというCB90/Stridsbåt90Hの長所に、必要ならば陸送できるという部分が有ります。全幅が3.8mですので道路管理者の許可を受ければ90式戦車などを輸送する特大型運搬車に積載し、陸上を輸送する事が可能だ、ということです。これは大きな利点である。
地方隊に配備するならば、海沿いに移動できるのですが、配備する必然性は別として、陸上自衛隊の方面隊は海上自衛隊の地方隊と異なり、海沿いではなく陸上を日本海側と太平洋側に関係なく装備されています、例えば能登半島と伊勢湾を警備管区とする第10師団、若狭湾と大阪湾を警備管区とする第3師団、松島湾と日本海を警備区とする第6師団など。
陸上輸送よりも平時の訓練展開ならば、金沢から名古屋までは、襲撃艇の要員だけ移動させる、どうしても移動しなければならない場合は下関を経由する海上移動の方が、無理に輸送するよりも安上がりであると思うのですが、必要ならば特大運搬車に装載して輸送する事が出来る点は、第3師団や第10師団は北陸自動車道と名神高速道路を使えば早い。
第3師団や第10師団に絶対配備しろという訳ではなく、海上自衛隊ではなく陸上自衛隊の所掌に入ると考えるならば、これは陸上輸送することは可能であると強調する背景にこの利点は上げられます。そして、このCB90/Stridsbåt90Hは、C-2輸送機に搭載できる。もちろんマストの一部は折り畳み式とする必要がありますが、C-2輸送機は幅4mまで積める。
C-2輸送機に搭載できるという事は、何らかの必要性から自衛隊の緊急展開として艦艇を送る際、これまでは最大速力で急行する他なかったのですが、CB90/Stridsbåt90Hであれば、C-2輸送機に載せられるという利点は他の装備、複合高速艇には無い利点となります。C-2輸送機を8機投入するならばCB90/Stridsbåt90Hを8隻、6500km先に数時間で運べる。
CH-47輸送ヘリコプターでは流石にCB90/Stridsbåt90Hは吊下げ空輸できないのですが、アメリカ海兵隊に装備されるCH-53Gキングスタリオン重輸送ヘリコプターならば空輸可能だ、11.2tまで吊下げ空輸可能であるCH-47Fならば、不用品を撤去した場合は短距離の吊下げ空輸も可能である余地がある。CB90/Stridsbåt90Hはそういう点で機動力がたかいのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
第四回を最終回とする予定でしたが、小さすぎるのではないかという指摘がありまして逆に小さい事は利点でもあるという視点を第3.1回改め5回ということで記載してみました。
哨戒艇の性能を兼任する高性能な小型艇として最初に思い浮かべたのはアメリカ海軍が運用するMk5特殊哨戒艇でした、ステルス性に配慮されており一定の装備を付与可能で、水陸機動団や特殊作戦群の輸送にも対応ですし、最高速力は65ノットで航続距離は500浬、特殊部隊員を充分な装備と共に16名輸送するか2tまでの装備を輸送、装載艇も積める。
20tを超えると船舶免許は途端に面倒になる、Mk5などは外洋航行能力があるのですが、日本で運用する事を考えた場合、満載排水量57tのMk5特殊哨戒艇は運用に必要な免許が途端に複雑になるという点が、これは自衛隊で鋼鈑に配備する場合は不向きなのだなあ、と考えさせられた点でした。この点でCB90/Stridsbåt90Hは排水量は13tでしかない。
海技士免許と船舶職員、排水量が20tを超えますと船舶の場合は航海海技士免許六級以上の船長が航海計画を立案しなければなりませんし、機関士として機関海技士免許六級以上の、そして電子通信海技士四級以上か通信海技士三級以上、つまり必要な国家資格が単なる船舶免許だけではなく海技士資格が必要な人数が複数となり海技免許取得の幅が広がる。
CB90/Stridsbåt90Hは陸上自衛隊にも必要だと提唱する上で、海技免許は乗船履歴の有無、乗客ではなく運行要員や船員として必要で、その上で国家資格試験に臨む必要があります。そして調べてみますとAAV-7両用強襲車や94式水際地雷敷設車の運用実績では必要な乗船履歴とは認められず、海技免許の障壁を考えると排水量13tは非常に使いやすい大きさ。
プレジャーボート程度しか航行能力の無いCB90/Stridsbåt90Hは外洋作戦に不向きであることは理解するのですが、プレジャーボートと同じ船舶免許で運行できるため、海技士免許を持つ船長と機関士と通信士が各艇毎に必要な、より大型の、艦艇は導入に障壁が一挙に高まるのです。もちろん、海技士免許を陸自でも取得できる事が利点と成れば別ですが。
陸上自衛隊に入隊すると無料で大型免許がとれる、ということは一時期に大型免許が大きな収入に直結していた時代、なにしろ1990年代の大手運送会社が募集した初任給は40万円代後半、大きな募集への強みとなっていました。陸上自衛隊へ入隊すると海技士資格が取れるという事が募集上大きな利点と成れば、大型船を導入する意義になるやもしれない。
かつ大品輸送。陸上自衛隊で導入する利点として、行う必然性はないのですが必要ならば可能であるというCB90/Stridsbåt90Hの長所に、必要ならば陸送できるという部分が有ります。全幅が3.8mですので道路管理者の許可を受ければ90式戦車などを輸送する特大型運搬車に積載し、陸上を輸送する事が可能だ、ということです。これは大きな利点である。
地方隊に配備するならば、海沿いに移動できるのですが、配備する必然性は別として、陸上自衛隊の方面隊は海上自衛隊の地方隊と異なり、海沿いではなく陸上を日本海側と太平洋側に関係なく装備されています、例えば能登半島と伊勢湾を警備管区とする第10師団、若狭湾と大阪湾を警備管区とする第3師団、松島湾と日本海を警備区とする第6師団など。
陸上輸送よりも平時の訓練展開ならば、金沢から名古屋までは、襲撃艇の要員だけ移動させる、どうしても移動しなければならない場合は下関を経由する海上移動の方が、無理に輸送するよりも安上がりであると思うのですが、必要ならば特大運搬車に装載して輸送する事が出来る点は、第3師団や第10師団は北陸自動車道と名神高速道路を使えば早い。
第3師団や第10師団に絶対配備しろという訳ではなく、海上自衛隊ではなく陸上自衛隊の所掌に入ると考えるならば、これは陸上輸送することは可能であると強調する背景にこの利点は上げられます。そして、このCB90/Stridsbåt90Hは、C-2輸送機に搭載できる。もちろんマストの一部は折り畳み式とする必要がありますが、C-2輸送機は幅4mまで積める。
C-2輸送機に搭載できるという事は、何らかの必要性から自衛隊の緊急展開として艦艇を送る際、これまでは最大速力で急行する他なかったのですが、CB90/Stridsbåt90Hであれば、C-2輸送機に載せられるという利点は他の装備、複合高速艇には無い利点となります。C-2輸送機を8機投入するならばCB90/Stridsbåt90Hを8隻、6500km先に数時間で運べる。
CH-47輸送ヘリコプターでは流石にCB90/Stridsbåt90Hは吊下げ空輸できないのですが、アメリカ海兵隊に装備されるCH-53Gキングスタリオン重輸送ヘリコプターならば空輸可能だ、11.2tまで吊下げ空輸可能であるCH-47Fならば、不用品を撤去した場合は短距離の吊下げ空輸も可能である余地がある。CB90/Stridsbåt90Hはそういう点で機動力がたかいのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
フィンランド海軍のJehu級のような「CB90と同じ設計思想の20m級の船」と役割分担で良いのかなと思いました。例えば
・海保の巡視艇のように、少々海が荒れていても巡視が必要な任務はJehu級で。
・海自の港内警備艇は16m級のCB90で
・陸自の本土の沿岸警備部隊などは対ゲリコマ的な警備がメインだと思われるので陸上移動も考慮してCB90で
・陸自の島嶼部の部隊は、独立で200-300kmの海上機動が求められる気がするので、Jehu級で
とかでしょうか。
あとは艦載艇を一部CB90にしたいですね。
ちなみにJehu級とCB90について、「同じようなもの」と誤解する人もいるかもしれませんが、そもそも排水量が2倍違う別クラスの装備です。DEとDD以上に異なります。2つとも配備し適材適所で配置するのが良いと思います。
なお、沖縄の島嶼部の陸自部隊にぜひ、BMT Caimen 90のような高速LCUを配備してほしいと思います。100t級のLCUは300-400kmの展開能力も持つし、一定の波にも耐えられます。アメリカ陸軍も採用しています。
今回はCB90の特集ありがとうございます。
艦載艇にCB90を導入できるのは、現状ではおおすみ型だけですね。
もがみ型の後部ハッチは小さく、映像で見ると11m作業艇が横幅ギリギリです。11m作業艇は全幅3.2m、8.4t。もがみ型USV「うみかぜ」が全長11m、幅3.2m、満載11tですので、この辺りがサイズとして限界なのでしょう。CB90は全長14.9m、幅3.85m、排水量18tでちょっと無理そうです。
<米海軍の河川特殊作戦舟艇(SOC-R)が全長10m、全幅2.97m、満載9.4tでもがみ型にピッタリです。これは乗員4名(操舵手1名、銃手3名)と隊員8名を載せ防弾装甲付きで40ノット以上出ます。>
しかし、新型FFMは全長9m、全幅0.7mのサイズアップですので、後部ハッチがそのまま0.7m大きくなるとCB90と11m作業艇の全幅差0.65mがちょうど収まり、いい感じです。ぜひ、新型FFMに搭載して欲しいですね。
特に海自では尖閣有事にFFM2隻を急行させ、機雷散布と海上での警戒を行うようですが、ついでにCB90(新型の場合、現行もがみ型ならSOC-R)とSH-60kを使って先遣の防衛隊を上陸させておく方がいいと思います。少人数の上陸隊でも、攻め手の3倍の効果があると言われますからね。
はるな様ご指摘のCB90の輸送性についてですが、非常に有用だと感じます。ロシアではCB90と同サイズのラプトル型哨戒艇をバルチック艦隊から黒海に陸送しております。
これを日本に当てはめますと、日本海側と太平洋側になるかと思います。日頃は日本海岸の北朝鮮不審船の監視をしているCB90をサミットや洪水被害の際に太平洋岸に陸送し利用できるでしょう。
また、空輸の件でも南鳥島や石垣島などが武装漁民などに脅かされる場合は、警備艇として迅速に対応できるかと思います。
付け加えるなら、水陸起動団の上陸手段に最適なのではと考えます。現在、上陸手段はヘリを除けばゴムボートとAAV7だけです。しかもAAV7も全車両を使用しても1,150名の輸送しかできません。作戦ごとに上陸手段を変更することも考えると、ここにCB90を50隻ほど配備するのが妥当なのではないでしょうか。それでも1,000名程度の人数分ですが。50隻あればライセンス生産しても採算が取れそうですね。