◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「何とか一旗たててやろうと」って?

2016-04-03 10:19:14 | 言葉についてあれこれ
                                  ディナーだけど

 惜しいのですよ、決まり文句なのですが少し間違って覚えている、ちょっと言い間違えている、そういうのを聞く頻度が上がっているような気がしています。私は正しい言い方と意味を知っているので、話の流れから何となく言いたいことは想像できるのですが、若い人はどうでしょうね?
 1月29日のNHK「さらさらサラダ」でピカソについて話していた人が「何とか一旗たててやろうと」と言ったのですが、惜しいですね、旗を立てるのはお子様ランチですね。「国旗掲揚」という言葉があるように、「旗を掲げる」「旗を揚げる」ですから、「何とか一旗揚げてやろうと」ですよ。
 あるサイトで「○○で業務がはかどるというケースは相応にしてある」と書いてあるのを見たことがあるのですが、これは「往々にしてある」ですね、「往々にして」は「ときどき」という意味です。「そうおう」と「おうおう」ですから、たまたまちょっと間違えたのでしょう。ただし、「往々にして」は、「往々にして失敗する」「裏目に出ることは往々にしてある」というように、悪い意味に使う言葉なわけで。
 「業務がはかどる」なら、それはいいことなのですから「ときどきある」と書けばいいのです。あ、ひょっとして「それ相応に」と言いたかったのか? う~ん、いや、「業務がはかどる」とアピールしたいのですよね、宣伝ですよね、だったら、やはり「それ相応に」はない! 本当は「○○で業務がはかどるというケースはよくある」と言いたいのでしょう? 素直にそう書けば?
 「うそで偽った人生」は「爆報!THEフライデー」で聞いたナレーションですが、「うそで固めた偽りの人生」と言いたかった? 「ごちそんぐDJ」で「火蓋が切って落とされました」と言った清野茂樹、フリーのアナウンサーらしいけれど、「火蓋が切られた」ぐらい知らないってどうなの?
 「存続の危機」と「残すは○○本店の1個のみ」は「沸騰ワード10」のナレーションとテロップ。よく聞くのは「存亡の危機」ですが、廃線が検討されている鉄道、存続か、廃止か、それは「存廃の危機」です。急がないと売り切れてしまう大人気の弁当を求めて移動するリポーター、「残るは○○本店の1個のみ」ですよ、急げ!
 「五つもの世界記録を所持することになった」も「沸騰ワード10」で聞いたナレーションですが、世界記録というものはいつか塗り替えられるわけで、金メダルのような形ある物は所持できますが、記録は所持できるものではありません。「記録保持者」と言うじゃないですか、「五つもの世界記録を保持することになった」ですよ。
 「2度里親に出されたネコ、その後の展開」は「YAHOO! 映像トピックス」で見た見出しで、添えられた文章は「過去に悲しい理由で2度里親に出されてしまったネコ。2度目に出された時はすでに7歳で、里親を見つけるのは難しいかと思われましたが・・・」でした。「出された」だから「里親に」と書いた気持ちは分かりますが・・・。
 他人の家に預けて養ってもらう子という意味の「里子」、里子を預かるのが「里親」、「里子に出す」が決まった形です。ということは、「2度里子に出されたネコ、その後の展開」「過去に悲しい理由で2度里子に出されてしまったネコ。2度目に出された時はすでに7歳で、里親を見つけるのは難しいかと思われましたが・・・」です。
 「そんな突飛もない思いつきから始まった大胆な試みが」は「日曜美術館」のスタッフが書いた文章ですが、「そんな突拍子もない思いつき」と「そんな突飛な思いつき」がごっちゃになっていますね。NHKの、「日曜美術館」の、番組内容を紹介する文章なのですから、こんなことではいけません( ̄д ̄)!

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