この夏も子ども達を連れて森のガイドを何度もしました。小学校の宿泊体験活動であると、教科学習(つまり、理科や社会、算数)も意識してガイド(インタプリテーション)するように心がけています。
ある子から、私のガイドは楽しかったというお手紙をもらいました。 他にカヌー体験や海の飛び込み体験などインパクトの強い活動がありますので、それから比べると森の散策は地味ですから、それが印象に残ったと書いてくれたことはガイド冥利に尽き、20数名中からけっこう複数の子から好感想をもらったので、とても嬉しいことでした。
が、 その中に 「ボクの思い出は、ブナの森でいろいろと教えてくれました(ことでした)。ボクの中で一番びっくりしたことはコロポックルです。なぜならトランプみたいに出てくると言ったからです」 という感想がありました。
自然ガイドの鉄則と言われるものに 「チルデンのインタープリテーションの6原則」というものがあります。 もう100年以上前かな、アメリカでインタープリテーションという概念を整理したチルデンさんという方が居て、その格言なのですが、 その中に、
「インタープリテーションは、ビジターの個性や経験と関連づけて行わなければならない」
「インタープリテーションの主眼は、教えることではなく、興味を刺激し、啓発することである」
という言葉があります。
その意味するところからは、彼が多いに関心を持ってくれたので、成功といえます・・・。 また、
「インタープリテーションとは、相手の一部だけでなく、全人格に訴えるようにしなければならない」という、ちょっとわかりにくい格言もあるのですが、まあ、この場合は、それができたということになるなと、自己評価・自己満足しています。
が・・、 こういう格言もあります。
「インタープリテーションは、単に知識や情報を伝達することではない。インタープリテーションは啓発であり、知識や情報の伝達を基礎にしているが、両者はイコールではない。しかし、知識や情報の伝達を伴わないインタープリテーションはない」といものもあります。 これは、科学的にも正しいことを伝える必要があるといった戒めでもあるわけです。
この格言に照らし合わせると・・・、 彼は私が提示したオオウバユリ(大姥百合)の実なのですが、この感想文面からみると、どうも彼はその名前をコロポックルと覚えてしまった可能性があります・・・。
私は、この植物の正式名は話しましたが。「実の中に綺麗に並んでいる種子がまるで小さなトランプみたいだ。だから、私は、コロポックル(北海道の小人伝説)のトランプと呼んでいる」と、あくまでも私の主観的なインタープリテーションであったのですが、彼にはその内容のほうが衝撃的に残ってしまったようだ・・・。
子どもに抽象的な話をするときは、十分に注意しないといけないな。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます