これは、「子ども農山漁村交流プロジェクト」という、文部科学省、農林水産省、総務省が連携する学校教育の大きな事業の一環です。小学校5年生に農山漁村での体験活動を推進してゆこう、ゆくゆくは全国の小学校5年生の宿泊体験活動として定着させることを目標にした長期計画のモデル事業です。
事前の打ち合わせは、自然学校より3日間のラフプランを提示し、自然学校が学校とすすめ、必要に応じてその都度、黒松内町教育委員会に相談をするという方法をとりました。 プログラムの実施例として、時系列に報告解説をします。
☆ 一日目
◆7月7日 出会い・アイスブレイク
10時頃に自然学校に到着。子ども達と私達は初めて、顔を合わせます。ですから、まずは、子ども達と私達スタッフ、そして引率された先生方との「親和性」をはかるゲーム活動をします。
インストラクター役のJOYが、まずは一対全体のじゃんけんゲーム、そして少しずつグループを作りつつ、お互いの自己紹介をします。お互いに知り合う、大切な活動です。 これを、緊張の氷を溶かしてゆくことになぞらえて、アイス・ブレイクの活動といいます。
そして、最後は「次の活動(森歩き)につなげ」、黒松内の自然に興味をもってもらう「動物あてクイズ」を実施。 それぞれの背中に黒松内に生息する(住んでいる)動物達のカードをつけて、お互いに質問しつつ答えを探します。これは、アイスブレイク活動でもありますが、それぞれの動物達のつながりも考えてもらう活動でもあります。
適度な質問時間を過ごした後、解説を小学生でもわかる、想像しやすい範囲でします。
シカも現れて農業への被害が出ていること
シャケがのぼる沢があるけれで、ここ2年は激減していること
環境、生態系の変化が起こっている・・・ 川の改修で川幅が広がったため・・?
小学5年生になんとなくでも・・環境の変化に関心を持ってもらう
牛がたくさん飼育されていること
カワセミやヒグマ、キツツキなども住む森や川があること・・・
子ども達が、ここ黒松内に来たことやこれからの活動に興味が持てるように「ふりかけ」をしてゆきます。
◆ 森へでかけよう
歌才(うたさい)のブナ林へガイドウォーク。天然記念物の森を2時間ほどかけてゆっくりと解説付きで歩きます。 目的は、植物などの名前を覚えるのではなく、森の多様性を感じ取ってもらうこと。それを、触覚、嗅覚、聴覚、視覚、味覚などの感覚器官を使って、「身体で感じる」。 そして、この森の中に流れる川が、農作物を育て、川となり海まで通じていること。大きな水循環に少しでもイメージを膨らませてもらうように、言葉掛けをしてゆきます。
トドマツのかおり、ブドウの蔓の味、葉っぱの形や大きさが随分と違うこと、森を遠くから見るより、その中に入ってみると実は木がとても大きいことが体感できること、同じ花でも色が違うこと・・・、天然記念物って何? どうしてブナは切られてきたのか・・・、土がふかふかな理由・・・
山で道で迷った時にどうするか? など我が身を守る術も伝授します。
◆ 農家に宿泊
肉牛と稲作、ジャイモを作っている農家へホームスティ。 子ども達にできる作業はそうないのですが、農家に泊るだけでも子ども達の周りにあるものは刺激的です。農業機械、大きな牧草のロール、身近でみる牛・・・。そして、実際の農家の家に泊ること自体が、大きな実体験となります。 今回は牛の餌やりのお手伝いなどをしました。
☆ 7月8日 二日目
◆ 自然学校での農的体験
8日の午前中は雨降りで、農家体験は早めに切り上げとなりました。農家の作業体験は、天候にも左右されます。 また、その時期の農作業の忙しさの度合いは、当日でないと予想がつかないこともあります。 臨機応変なプログラム対応が重要となります。
今回は、自然学校の野菜畑での作業のお手伝い、また生木の除伐(切り倒し)体験をしました。
◆ カヌー体験 川から海へ
午後は、雨による多少の増水はありましたが、予定通りにカヌーで川くだりに挑戦。川の周りの自然もゆっくりと味わってもらいたいところですが、ガイドの話を聞くよりも、カヌーを漕ぐという「体験」の面白さに子ども達ははまってしまいます。
水面からの視角だけでも、見える風景は、川の中から見ているのですから、いつもと違う川を体感することができます。 朱太川を約5Kmほど、河口までを下ります。
通常は、水辺の安全講習を兼ねて、実際に水流に入って、川の流れの強さを体験的に理解してもらうのですが、今日はちょっと水量が多くてできませんでした。 しかし、誰かがおぼれた時の対処など、危険回避について話をします。
自然学校に帰着してから、濡れた物を干してから・・・寿都温泉で入浴。
◆ 食事
自然学校のキャンプフィールドでテントを張り自炊もできますが、今回は給食体制。スタッフや山村留学で自然学校に滞在中の子ども達も一緒です。
寿都湾でとれた海産物や自然学校農園の野菜など、地産地消の安全安心な食材を使っています。 今回の宿泊は、校舎の一部が工事中、人数も少なかったので、ゲストハウス利用。一般的には、校舎の大部屋となります。
☆ 7月9日 三日目
◆ 海へ行こう
二日目に河口まで到達した寿都湾は、砂浜でしたが、今日は磯へ。弁慶岬の政泊港へでかけました。
まずは、磯の生き物を見つけて捕まえます。イソガニやヤドカリ、ウニ、ヒトデはもちろん、ウミウシ、ヒラムシなど珍しい生き物も捕まえることができます。タライや水槽に入れて、解説を交えて観察をし、海の多様性を感じ知ります。
そして、最後は堰堤からの飛び込み。思い切りのいい子もいれば、躊躇して時間のかかる子もいます。 チャレンジするのもよし、自分で自分を守るのもよし、大切なのは、自分で決めること。
今日は時間が限られているので、温泉やお風呂の時間がとれません。ペットボトルを使った簡易シャワーで、ちょっと温まった水を浴びます。
この簡単な仕組みをもっても、理科に興味を持たせることもできます。(底にが開いていても、栓を緩めないと水が落ちないのはなぜ?)
◆ お別れ・・・・
新しい体験が凝縮していた三日間が終わりました・・・・
みんな 元気でね。
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みな
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