タミフルと異常行動 11月12日

タミフルを服用した少年2人が、服用数時間後に異常行動を起こし死亡していたことがわかった。17歳の少年は、タミフル服用1時間後に、パジャマに裸足姿で自宅を飛び出し、ガードレールを乗り越え道路に飛び込み、トラックに跳ねられ死亡。14歳の少年は、タミフル服用1時間後に、マンション9階の自宅のベランダから転落死した。

タミフルには、重大な副作用として「異常行動」や「意識障害」が報告されている。これらの事故が、タミフルとどのような因果関係にあるかは不明だが、「無関係」と断定することはできない。インフルエンザによる脳炎・脳症でも、意識障害からくる異常行動が見られることから、タミフルとの因果関係よりもむしろ、インフルエンザ脳炎・脳症の可能性のほうが高いのでは、とする小児科医もいる。

鳥インフルエンザが世界的流行の兆しを見せ始め、タミフルは広く一般に知れ渡ってきた医薬品だが、タミフルが絶対ではない。むしろ、ウイルスは刻々と変異しているため、タミフル1剤に頼りすぎると、瞬く間にタミフル耐性ウイルスが横行する危険をはらんでいる。

今日判明した、新型インフルエンザに対する政府の行動計画では、大流行が起こった場合の、治療の優先順位が示されている。タミフルは罹患者全員には行き渡らず、その投与順位は、①新型インフルエンザによる入院患者②感染した医師や社会機能維持者③心疾患などの緊急性の高い患者④児童・高齢者⑤一般の外来患者、となっている。ここで言う社会機能維持者とは、交通・通信、石油・電力などエネルギー産業、警察・消防などが該当するらしい。

その他、海外への渡航や緊急性のない大規模な集会などの自粛が、対策の柱の一つとして盛り込まれている。今から、うがいや手洗いを励行し、人の多い場所への外出を控えるなど、国民一人一人が自覚を持って、自主的な防衛策を始めることが大切だ。風邪をひいたらマスクをする、この至って当たり前の行為が実はなかなか行われていない。ちょっとした仕草や行動で、周囲に対する思いやりの心が計られるのだ。

タミフルは、絶対ではない。しかも、服用により異常行動を引き起こす可能性も秘めている。備蓄もままならない現状で、「マスク」と「うがい」を社会の常識とするために、政府は「アンチウイルスビズ」の大キャンペーンをはるべきだ。

そして、何よりも重要なのは、鳥インフルエンザそのものだ。鳥への蔓延を防ぐことに、最大限の努力を払うことが重要だ。極めてリスクの高い地域は、鶏とともに暮す東南アジアや中国。特に中国で大流行した場合、日本にとっても対岸の火事というわけにはいかない。中国や東南アジアの更なる公衆衛生の向上に、日本は寄与することが出来るはずだ。世界各国がタミフルを奪い合いロッシュにぼろ儲けさせる前に、まずは家禽類対策を徹底することが先決なのだ。
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