とても暗かったが、少し明るくなった
地平線に沿って、ぼんやりと光が見える
そっとしっかり手を掴んでいる
涼しい風が吹いて、呼ばれているように進む
炎が走る
戸口の奥で、熔け重なっていた影
通りでは、子が母の下になって倒れていた
爆撃は母の背を貫いて、子の背を焦がした
母の顔は眠っているようだった
立ち上がった子は、見知らぬ焼け跡を通り抜け
母の向かっていた親戚の家へ辿り着いた
母がずっと手を握り、背を押していたと思った
今もその背に、炎の痕がある
炎に包まれ、川へ川へと、人々は向かった
そこには、もう川はなかった
いつか、川が帰ってくる
音のない明け方、霧の立ち籠める茎の間へ
ひんやりと脚を浸す鳥
夜明けの薄闇の中で、幽かに反射する嘴
何か、夜空に谺している
追いつけない程遠くで、あんなにも若く
生まれたばかりのあなたを思い出して
笑っている
息で煌めく雲となって浮かび上がり
螢のように低く野に散っていく
星々が渦巻く下、草をかき分け
傍らに続く道へ出ると
待っていて、手を繋いでくれる
全てを忘れ、帰り着ける
地平線に沿って、ぼんやりと光が見える
そっとしっかり手を掴んでいる
涼しい風が吹いて、呼ばれているように進む
炎が走る
戸口の奥で、熔け重なっていた影
通りでは、子が母の下になって倒れていた
爆撃は母の背を貫いて、子の背を焦がした
母の顔は眠っているようだった
立ち上がった子は、見知らぬ焼け跡を通り抜け
母の向かっていた親戚の家へ辿り着いた
母がずっと手を握り、背を押していたと思った
今もその背に、炎の痕がある
炎に包まれ、川へ川へと、人々は向かった
そこには、もう川はなかった
いつか、川が帰ってくる
音のない明け方、霧の立ち籠める茎の間へ
ひんやりと脚を浸す鳥
夜明けの薄闇の中で、幽かに反射する嘴
何か、夜空に谺している
追いつけない程遠くで、あんなにも若く
生まれたばかりのあなたを思い出して
笑っている
息で煌めく雲となって浮かび上がり
螢のように低く野に散っていく
星々が渦巻く下、草をかき分け
傍らに続く道へ出ると
待っていて、手を繋いでくれる
全てを忘れ、帰り着ける
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