こころの文庫(つねじいさんのエッ!日記)

家族を愛してやまぬ平凡な「おじいちゃん」が味わう日々の幸せライフを綴ってみました。

コラム・オエ!オエ!オエッ!

2015年04月18日 08時12分45秒 | 文芸
オエ!オエ!オエッ!

 小さい頃から薬を飲むのは大の苦手。中でも粉薬は最悪で、いつだってオブラートを必要とした。
オブラートに包むのだが、それはそれは念入りに。時には二重三重に包み込み、丸薬をはるかに上回るサイズでオブラートのかたまりに。どう見ても喉をスーッと通過するとは思えない。案の定喉の中途に引っ掛かる。
「オエッ!オエッ!」
 外面はくすりのかけらも見えないオブラートなのに、これがまた難物。中身がくすりだって意識もぬぐえない上に、その大きさといったら。そうは簡単に喉を通過する筈がない。
 カラえづきを繰り返している間に湿り気を帯びたオブラートは、喉にベッタリ貼り付いてびくともしなくなる。
 慌てて水を飲んで飲み下そうと試みるが、そのうちオブラートが溶ける!そして中身が舌の味覚を感じる領域へ、くすりが一気にバラまかれる。こうなると、もうたまったものじゃなくなる。苦―い!
「くすりを呑むぐらいなら、せめて注射に代えてくれ!」
 頼まれたお医者さんは、それはどうもと冷たい。また粉薬をくれた。いじめだ。
 くすり騒動は、わたしの原風景である。
(こうべ・平成11年5月30日掲載)

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