「結婚するよ、わたし。随分待たせちゃった」
照れくさげな娘の報告が耳を心地よくくすぐる。顔に感情を出すのは苦手だけど、フツフツと心に喜びがあふれ返った。
三十二年前。初めて授かった赤ん坊。おとうさんとおかあさんの絆をしっかりと結びつけてくれたかけがいのない娘だった。
生後まもなく高熱に見舞われた赤ん坊。慌てて病院を駆け巡り、オロオロと途方にくれた日々。やっと分かった川崎病という得体の知れぬ病魔との闘いに、いつしか疲れ果てた。
「もう限界!こんなの、もうイヤだ……!」
「なに言ってる。俺たちの子供なんだぞ!」
二人の気持ちがぶつかり始めた最悪の瞬間だった。ベッドに気配が…赤ん坊が笑った。モミジに似た手をこちらに突き出していた。
「何してるの?おとうさん、おかあさん。わたし頑張ってるんだよ」
そういっていた。二人には、ちゃんと聞こえたんだ。だから、ほころびかけた絆は、前よりももっときつく結び直せたんだ。
「わたしたちしかいないんだね。この子には」
「そうだよ。親だもん、家族だもん。なっ!」
ひと月近い入院生活を乗り越えた。もう誰も切れない絆で結ばれた家族の誕生だった。
結婚式。どんな顔をするか?。不器用だから、ムスッが一番。…お父さんの心にあるものは、ちゃんと分かっていてくれるだろう。
照れくさげな娘の報告が耳を心地よくくすぐる。顔に感情を出すのは苦手だけど、フツフツと心に喜びがあふれ返った。
三十二年前。初めて授かった赤ん坊。おとうさんとおかあさんの絆をしっかりと結びつけてくれたかけがいのない娘だった。
生後まもなく高熱に見舞われた赤ん坊。慌てて病院を駆け巡り、オロオロと途方にくれた日々。やっと分かった川崎病という得体の知れぬ病魔との闘いに、いつしか疲れ果てた。
「もう限界!こんなの、もうイヤだ……!」
「なに言ってる。俺たちの子供なんだぞ!」
二人の気持ちがぶつかり始めた最悪の瞬間だった。ベッドに気配が…赤ん坊が笑った。モミジに似た手をこちらに突き出していた。
「何してるの?おとうさん、おかあさん。わたし頑張ってるんだよ」
そういっていた。二人には、ちゃんと聞こえたんだ。だから、ほころびかけた絆は、前よりももっときつく結び直せたんだ。
「わたしたちしかいないんだね。この子には」
「そうだよ。親だもん、家族だもん。なっ!」
ひと月近い入院生活を乗り越えた。もう誰も切れない絆で結ばれた家族の誕生だった。
結婚式。どんな顔をするか?。不器用だから、ムスッが一番。…お父さんの心にあるものは、ちゃんと分かっていてくれるだろう。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます