近くの公園に行った。子供が小さいころは、子連れか、夫婦水入らず。それが、いまはひとりぼっち。高齢者がしょぼんと公園に遊ぶなんて、いやはや何ともわびしく寂しい。
いつもベンチへ所在投げに座り時間をつぶす。煙草を吸うでもなく、ただただぼんやり前方に目を向けている。頭の中は空白状態だ。
足元に何かがまとわりついた。驚いて立ち上がる。足元を確かめると、ベンチの下に黒い塊が見えた。猫だ!黒い野良猫、それも子猫。ちょっぴり震えているのがかわいそうだ。
グイッと身を乗り出して、ベンチの下をのぞき込んでみると、ほかに2匹の子猫が、震えている。その様子から判断して、兄弟か姉妹だ。あたりを見回しても親猫の姿はない。
「悪いなあ。君らのテリトリーにお邪魔して。少しだけ、ボーッとしててもいいだろう」
なんとなく子猫に話しかける。「ミャーミャー」と、か細く鳴くさまに心を奪われる。
子猫が足元をチョロチョロ回る姿に、うっとりと見とれてしまった。
半時間ばかり、ひとりぼっちを忘れて過ごした。気配を感じて、顔を上げると、少し離れた茂みの下から、黒猫が覗いていた。かなり大柄で、可愛げのない奴だ。油断するまいと身構えている。きっと何度となく人間に追い回されたに違いない。敵意のない私も、所詮人間のひとりぐらいにしか思えないのだろう。
そーっと立ち上がって、ベンチを離れた。足にまつわりついていた子猫がついて来る。
「こら。母さんに怒られるぞ」
しゃがんだ人間にびっくりしてベンチに駆け込んだ。「ミャーミャー」と、兄弟姉妹とにぎやかに話し合っている。
「じゃーな」
親猫に片手をあげて別れの合図をしてやった。
素早かった。親猫の反応は、私に何かされるぞ!と思ったのは確かだ。茂みの向こうに姿をくらませた。
「まあいいか」
私がいなくなれば、あの黒猫はベンチに駆け寄るだろう。大切な可愛いわが子のもとに……。
不思議にいい気分だった。
また明日、この時間に来てみるか。目的が出来れば、ひとりぼっちも癒されるかもしれない。
いつもベンチへ所在投げに座り時間をつぶす。煙草を吸うでもなく、ただただぼんやり前方に目を向けている。頭の中は空白状態だ。
足元に何かがまとわりついた。驚いて立ち上がる。足元を確かめると、ベンチの下に黒い塊が見えた。猫だ!黒い野良猫、それも子猫。ちょっぴり震えているのがかわいそうだ。
グイッと身を乗り出して、ベンチの下をのぞき込んでみると、ほかに2匹の子猫が、震えている。その様子から判断して、兄弟か姉妹だ。あたりを見回しても親猫の姿はない。
「悪いなあ。君らのテリトリーにお邪魔して。少しだけ、ボーッとしててもいいだろう」
なんとなく子猫に話しかける。「ミャーミャー」と、か細く鳴くさまに心を奪われる。
子猫が足元をチョロチョロ回る姿に、うっとりと見とれてしまった。
半時間ばかり、ひとりぼっちを忘れて過ごした。気配を感じて、顔を上げると、少し離れた茂みの下から、黒猫が覗いていた。かなり大柄で、可愛げのない奴だ。油断するまいと身構えている。きっと何度となく人間に追い回されたに違いない。敵意のない私も、所詮人間のひとりぐらいにしか思えないのだろう。
そーっと立ち上がって、ベンチを離れた。足にまつわりついていた子猫がついて来る。
「こら。母さんに怒られるぞ」
しゃがんだ人間にびっくりしてベンチに駆け込んだ。「ミャーミャー」と、兄弟姉妹とにぎやかに話し合っている。
「じゃーな」
親猫に片手をあげて別れの合図をしてやった。
素早かった。親猫の反応は、私に何かされるぞ!と思ったのは確かだ。茂みの向こうに姿をくらませた。
「まあいいか」
私がいなくなれば、あの黒猫はベンチに駆け寄るだろう。大切な可愛いわが子のもとに……。
不思議にいい気分だった。
また明日、この時間に来てみるか。目的が出来れば、ひとりぼっちも癒されるかもしれない。
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