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アルツハイマー病の抗がん剤治療に「待った」、検証報告

2013-07-17 10:56:00 | 日本医師会
【5月27日 AFP】抗がん剤の投与でアルツハイマー病の好転がマウス実験で見られたとする2012年発表の論文について、研究4チームは24日の米科学誌サイエンス(Science)で、個別の実験を通じて同様の結果を得ることができなかったことを報告した。

 米フロリダ大学(University of Florida)のデービッド・ボルチェルト(David Borchelt)教授(神経科学)は、研究を更に進めるために再現を試みたができなかったとした上で、「事実の公表は重要」としながら、「患者を考慮し、何らかの注意を呼び掛けるべきだろう」と続けた。

 2012年2月に米ケース・ウェスタン・リザーブ大学(Case Western Reserve University)のゲーリー・ランドレス(Gary Landreth)教授(神経科学)らがサイエンス誌に発表した論文によると、ベキサロテン(Bexarotene)として知られる抗がん剤を用いたマウス実験では、アルツハイマー病の顕著な特徴の1つである、タンパク質が凝集したアミロイド斑(プラーク)が数時間のうちに脳内で減少し始め、マウスの認知力が急速に回復したという。ベキサロテンには、アミロイド斑の分解・除去を助けるアポリポタンパクE(ApoE)の生成を促進する効果があると見られていた。

 ただ、いかなる研究でも結果を再現できることは重要であり、この2012年の研究をめぐっては、国際研究4チームが、個別の論文で同様の結果を再現できなかったことを報告した。検証結果を発表したのは、ベルギーのフランダースバイオテクノロジー研究機関(VIB)疾病生物学のバルト・デストルーパー(Bart De Strooper)氏や、米シカゴ大学(Center for Molecular Neurobiology at the University of Chicago)分子神経生物学のショングラム・シソディア(Sangram Sisodia)氏ら。

 科学者らによると、マウス実験では、3グループにベキサロテンを投与したが、いずれもアミロイド斑(プラーク)レベルに変化は見られなかったという。

 また、別の研究チームが発表した論文の共著者、米ピッツバーグ公衆衛生大学院(University of Pittsburgh Graduate School of Public Health)のイリヤ・レフテロフ(Iliya Lefterov)准教授は、マウス実験を行ったところ、認知力の向上は見られたが、最初の論文で報告されたような「メカニズム」による効果は確認できなかったと説明した。

 科学者らは、今回の報告が、ベキサロテンを承認適応症以外のアルツハイマー病の治療薬として処方しないようにするための医師への警鐘となるはずだとした。

 タルグレチン(Targretin)という商標名でも知られるベキサロテンは、治療抵抗性のある皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)として知られる皮膚ガンの治療薬として、1999年に米食品医薬品局(US Food and Drug Administration、FDA)に認可されている。(c)AFP

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