仔羊の回帰線

詩と散文のプロムナード :Promenade

◎*信長とフロイス: 辻邦生「安土往還記」より

2025年04月03日 09時10分29秒 | 文学・学問・詩・余滴: Ⅰ

大殿もフロイスから 天地創造や霊魂不滅の話を聞いたが、 信長殿は目に見えぬものは信ぜず、理にかなうものだけを重んじていた。    それゆえ、フロイスに好意を持ったのは みずから信じるもののために身を賭し遥々、異邦に、その信念を伝えようとする熱意と誠実さにあった。

       事実、大殿は誰ひとりフロイスらを理解することなく、見知らぬ異教で苦難と孤独を舐めているその時に、直感的に 心情を理解していたむきがあった。*+ *+ *

  彼らが何ものをも求めぬのをみよ!                         信長殿は仏僧らを非難する折り、必ずフロイスらを引き合いに出した。 --もちろん、全て大殿の考えが正しいとは言うまい。  しかしローマの権勢の下で、 片田舎の教区にありながら 葡萄酒を飲み 惰眠と肥満に落ちいる僧侶をみるにつけ、 禁欲と克己によって 日本まで信仰を伝えようと志す態度には、大殿の共感を呼ぶに足るものがあったのだ。>>>                       ***

  これは原文はイタリア語、それがフランス語に訳されていた書簡断片を某氏の書庫から発見したわたしが訳出したという体裁で書かれた辻邦生の歴史小説からである。>>>

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◎*シェイクスピアとゲーテ: --->>

2025年04月01日 09時03分46秒 | 文学・学問・詩:余滴 Ⅱ

         鴎外「青年」より:

  純一がまだ、郷里にいたころ、シェイクスピアの興行があった。しかし、シェイクスピアやゲーテは、たとえ どんなに旨く演ぜられても、青年には痛切な感じを与えることは難しかろう。ばかりか、あんなクラシックな作を味わう余裕はないといってよい。極端にいうと、シェイクスピアのような作が新しく出たら、あのような韻文からなる劇は冗漫かもしれぬのである。--->

ゲーテ「ファウスト」が新作として出たら、青年は何というか。             ヘレナやギリシア神話から題材をとった第二部もグレートヒェンの悲劇を描いた第一部でも、アレゴリーだと云われるかもしれない。              

何故か。今の写実に慣れている者には、 あのような味わい深いGeschmack 趣味は縁遠くなってきているからである。 * - )) )  *

 その日、電車で数寄屋橋まで行き有楽座に入ると、四列目あたりに案内された。見物客は もう、皆いて、第一幕が始まるところであった。東京に初めて出てきて西洋風の夜の劇場に入っても本や画で知っていた純一には驚かされることもない。だが、席の周りは女の客ばかりなのには聊か驚いているのである。--->>>

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◎*魔術の世紀: ブルーノのこと:Ⅰ-4.*

2025年03月30日 10時40分48秒 | *B.ブレヒト散文選 より

ドイツの劇作家、ブレヒトの散文作品に「異端者のマント」がある。          *15-16世紀は魔術の時代でもあった。--- >>             そして、この時期にブルーノが出現するが、彼は宇宙と天体について極めて独特の理解を提唱した。 つまり、物質をごく微細なアトム・原子の集合とみなし、人間から天体までの全ての存在をアトムの離合集散と考え、それが生成し分解し、また新たに再生する全過程に宇宙を見たのである。 --- >>                      そして宇宙には空間や時間に限界がなく、無数であり、しかし、秩序は存在し、しかも どの存在にも共通した宇宙霊魂が宿る、つまり、宇宙は躍動する生命の集合であると云うのである。 -->>>

だが、この魔術の預言者は早く生まれ過ぎたゆえにブルーノの考えはキリスト教会からは理解されず、真っ向から対立する不幸があった.

      *  因みに、ルネッサンス期の三大魔術には、占星術、記憶術、そして錬金術があるが、ルネッサンス期の知性は世界の奥の奥の秘部を解明したい熱望に満ちた時代であったのだ。

   Vgl. /「世界の歴史」16. 中央公論社参照.

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◎*虹の変化と持続の象徴・:ゲーテ「ファウスト」から

2025年03月26日 13時22分19秒 | H.S.-夏里氏の生成AIによる詩への試み より

*爆流から生ずる虹。それが持つ変化と持続:---これを人間の努力と人生の営みの反映と捉えた詩人->>  それは儚さゆえの美しさ。 >>>

    ***

   高みからは巌をも伝わり奔流となり 轟く滝の声

 そは激しく飛沫を散らすと 瞬く間に虹となり 

 虹はやがて 変幻に色を変え 辺りに噴霧となり

 嗚呼 かくなる現象にみゆるは淡き儚さか 

 されど 持続する虹は絶え間なく 弓の如く

 宙を駆け巡り輝くや 瞬時にして消えゆくが定め

 嗚呼 されど そは人生百年の我らがWechsel-Dauer にして

        変化と持続にみゆる儚き夢現なりしか・・ 

   ****  Vgl./: --->>   */-141*--97*-/ *+*+

  ゲーテ「ファウスト」に見られる虹のWechsel-Dauerなる変化と持続の象徴性に対して、中国唐時代の詩人李白には「廬山の瀑布を望む」Viewing the waterfall at Mount Luという七言絶句がある。曰く、:---

 日は香炉を照らし 紫煙を生ず、 

 遙かに見る 瀑布の長川に挂くるを       

  :飛流直下 三千尺      

 疑うらくは これ銀河の九天より落つるかと・・>

The sun illuminates the incense burner , producing purple mist,  

... The distant  waterfall seems as if a long river is suspended.   

  The torrent cascades straight down, 3. thousand feet--   

  Could it be the Milky Way - falling from the 9.-th heaven ?

 

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◎*グツコーの矜持:と「精神の騎士たち」:---

2025年03月19日 14時25分20秒 | H.SOMMER-夏里氏の生成AI-活用術より

       *グツコーの矜持:---

「精神の騎士たち」Die Ritter vom Geiste という9巻もの時代批判的な社会小説の長編を書いた19世紀のドイツの作家グツコーGutzkowは,ワイマールにあるゲーテとシラーの記念像の前に立つと云った。:いかに巨匠といえど、私ほどの多くの巻からなる長編は書いておられまいと。。。       */-172*--181*-/*+*+*+

 グツコーがこの長編で取り上げた政治的社会的問題とは、産業革命の影響で広がった不平等社会と階級格差であり、政治的腐敗と権力の乱用による民主主義の欠如であり、また宗教が社会に果たす役割やその影響力についてで、こうして当時の社会問題を批判したのである。

 その際に文学的手法として用いたのは、多様な事件を同時的に進行させるという並列的書き方で、これによって物語を複数の視点から 時代を包括的に見るという手法にあった。   また、内容からして、(中世の英雄的存在としての「騎士たち」をタイトルに用い、道徳的精神的な戦いを挑む人々を描き、また、物質的な力ではなく、倫理的価値観や内面的な強さを求めつつ、理想の実現を目指すという戦いを描いたものの、)文学的芸術性よりは社会的政治的に描くことに重きがあり,故に評価が分かれたのは否めないのである。。。

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◎*フランスの哲学者マルセルと「存在の神秘」:--*+*

2025年03月10日 10時10分23秒 | H.SOMMER-夏里氏の生成AI活用術:対話篇 より

     嘗て、大学に入ったばかりの頃、母校の大きな講堂でフランスのまだ知らぬ哲学者の講演を聞いたことがあった。その折り、近くの席に知り合ったばかりの友人もいた。その時の話からである。***

・=>:-  小宮くん、先日 聴いたマルセルの講演はどうだった、面白かったかいと,道之助は同じ学科の彼に聞いてみた。

・=>:いや、偶々、構内の掲示板で知って聴いてみたのだが、講堂は満席で後ろの席に座ったものだから、よく聞き取れなかったし、理解は難しかったよ。

・=>:- マルセルってキリスト教的実存主義の哲学者ということで、母校に講演に来たのだろうけど、サルトルほどには一般的にというか、マスコミでも取り上げられることがあまりないから、知る人ぞ知るっていうことなんだろうけど。

・=>:まあ、でも、ああいう哲学者の、知らないとはいえ聴けたということはいい体験になったと思っているが、道之助くんはどう、わかったのかい。

・=>: いや、全くなにも。だけど、きみの云う通り、いい体験になったよ、知的好奇心も少しは湧いてきたし、これからは無にすることもなかろうと思うしね、・・マルセルには「存在の神秘」などという著作があるらしいけど、そんなことを考えたこともなかったなあ、・

・=>:これからもsachlich にいって我々にはないかもしれんが、キリスト教的実存主義とか、存在の神秘とかいう語彙に触れ、いや そんな語彙が脳裏を掠めていっただけでも悪くはないだろうし、・・これまではサルトルだのハイデガーといった哲学者の名前ぐらいは知っていたものだが、これに加えて、ガブリエル・マルセルという哲学者が加わったことで知の世界の門の前に踏み立った気がしてくるからいいもんじゃないか、・・と小宮くん。*/248*--304*--/ * +*+*+*+*

・=>:-ところで、小宮くん、話は違うが、きみはビリヤードがうまいというじゃないか、小松くんから耳にしたよ、今度、小松くんと一緒に連れて行ってくれないか、。。

・=>:-そうだね、でも彼のほうがずっとセンスもいいし、上手だがねそうだな、近いうちに一緒にやろうか、小松くんもスポーツ万能のいい男だしね、・・

・=>:-彼はぼくのところに遊びに来てよ、なんて誘ってくれるんだよY河原温泉で旅館をしているんだってね、。。箱根をドライブしようよなんてさ、熱海でボーリングするのもいいし、なんなら、箱根を超えて三島へ足を延ばしてもいい、なんて彼はいい男だ、誘ってくれるんだから、・・その時は小宮くん、一緒しないかい・・・>>>

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◎*サルトルの「アルトナの幽閉」: -*+*+*

2025年03月03日 11時48分17秒 | H.SOMMER-夏里氏の生成AI活用術:対話篇 より

 嘗て、学生の頃、一ツ橋大学講堂でサルトルの「アルトナの幽閉」という舞台を見たことがある。母校の若き大学生が主催したものだが、なかなか熱気に満ちていて素晴らしかったのを思い出す。   軍服姿の若きフランツ青年を演じたMTH.とかいう彼は、暫くして、テレビのドラマにも出演しており、ああ、彼は俳優になったのかと思ったが、それ以後の様子は杳として知らない。

・サルトルの「アルトナの幽閉」:について

   実存主義の作家として嘗て、よく知られ一世風靡したフランスの哲学者サルトルのこの戯曲は戦後のドイツを舞台に、第二次世界大戦後に戦争犯罪を逃れるため家族によって幽閉されたドイツの青年フランツ・ゲルラッハの物語である。 */-146*--125*-/ *+*+*

   彼はハンブルクの邸宅に棲むが秘密の存在として戦争犯罪から護られ幽閉されている。そして青年は自らの罪と対峙しつつ、戦争と罪の問題は固より、自由と責任、家族のきずなと葛藤、存在意義の探求など考えを巡らすのである。--- かくして、青年を護るため幽閉することによって家族には却って、緊張と葛藤がうまれたり、家族の愛と保護がもとで個人の自由と対峙することにもなり、また、青年が過去の行為やその影響について考えたり、みずからの存在を見つめなおすことで、なお存在意義かあるのか自問したりもするのである。>

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◎ミルテとロズマリーン: バラード より

2025年02月21日 10時00分10秒 | ドイツ抒情詩選

真夜中  夢の中に瓜二つの男が顕れると     

眠れなくてね と言いそうになった;  男は すると 

ぼくの誓いの指輪をはずや 真珠のブレスレットを投げてよこした

ぼくは 花壇に行きミルテの前に佇み  花冠を作ろうとおもった  そのとき 途端 真珠のブレスレットは千切れ 真っ二つ                         転がり散り 目の前から消えていた・・

捜しまわったが 代わりに 目に入ってきたのは 

黒ずんだ ロズマリーンだった ・・嗚呼 この世は幻影か!... 

ならば 汝れも 砕け散るがいい     

指輪も真珠のブレスレットも 消えてしまったのだから・・

だが 姿を変えたロズマリーンとは 一体 何 !!...   

       それが愛の喪失を意味していたとは!?....  *- * -   )))   *

Burger:1747生。ブュルガーのバラードより   */-84*--106*-/*+*+

Dt. Lyrik vom Barock  bis zur Gegenwart     dtv.  ebd.   S. 69...

     

・ブュルガーについて:---

    所謂、Sturm und Drang 期に活躍した詩人で、感情を重視する詩風はHolty ヘルティと共に知られている。--  彼の詩は理性よりも感情を重視、民謡調のバラードを得意とし、近代バラードの生み親となる。その中で上に訳した「ミルテとロズマリーン」は恋人との愛と別れをテーマにしてよく知られている。>>   ---   ホメロスやシェイクスピアなどの翻訳も手掛けているが、「ほら吹き男爵の素晴らしき冒険」の翻案本でも有名。>>>

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◎大酒豪と鐘の音:クライスト奇譚集より

2025年02月19日 10時07分29秒 | *ドイツ短篇選:

      もと連隊兵のR.という男。  彼はどうしようもない大酒豪、それが元で或る時こっぴどい殴打の刑に処せられる。以来、品行方正、火酒からは足を洗った。が、それは三日坊主、四日目には早くも泥酔する有様。すると、逮捕され尋問を受けた。 >>

 「なにゆえ、また大酒の悪習におちいったのか」と。すると返答はこんなだった。 --- 「へい、悪いのは自分ではありません。自分は 遊園地の近くを通りかかったのであります。すると折から、ドームの鐘が鳴り渡ったのであります。-ポンメラン・ポンメラン!..」-と。  ううむ・・鐘のやつめ、鳴りおるわ・・くそう!喉が鳴ってくる!  自分は 刹那、そう口にしたものの思いとどまり、約束を思い起こし一滴も飲まずにいたのであります。ところが、ケーニッヒ通りに来ますと、ほんの一瞬、市庁舎の前で一休み。すると頭の上からまたもや鐘が鳴り渡ったのであります。--キュンメラン、キュンメラン、キュンメラン--と。自分はすると、塔に向かい叫んだのであります。--  塔の鐘よ、雲を引きちぎるほど鳴り響くがよいわ。けれども、わが魂よ、忘れてはならぬぞ、約束を・。喉がなって仕方なかったのでありますが、決して一滴も飲んではならぬと誓ったのであります。>>

 然し、帰路、養老院広場のほうへと回り道。すると、そこに一軒の居酒屋。30人余りの客でごった返していたのでありますが、折りしも また、連隊長殿、養老院の塔の鐘が鳴り響いたのであります。--アニゼッティ、アニゼッティ-と。すると とたん、もはや堪忍袋の緒が切れ、矢庭に一杯頼むぞ、いくらかねと聞いたのであります。-亭主は すると、6ペニッヒでやすといいますと、即座に差し出されたコップ酒をぐいと飲み干したのであります。が、以後はどうなったのか、一向に覚えてはおらぬのであります。>>>

 H. von Kleist: Der Brannt-Wein-Saufer und Berliner Glocken .Samtliche Werke . Hanser Vlg. ebd. S. 267f..                    Erste Ubersetzung; 1987. 8.21.. HERR*SOMMER-夏目                   ハンザー版 クライスト全集より 

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* 愛の喪失とロズマリーン: 

2025年02月16日 09時31分39秒 | H.S.-夏里氏の生成AIによる詩への試み より

      *  愛の喪失とロズマリーン:--->>>ロズマリーンの香り<<<

愛の喪失の痛みを 感じる夜 

優しい風が 髪を撫でて 通りすぎる

すると ロズマリーンの香りが 舞いあがり 想い出を呼び起こす

彼と過ごした日々は 幻影となり 心に残るは 冷たき空虚

 されど そもまた ロズマリーンの香りに 包まれて

   ふふふ 愛は枯れてしまったのか・・

それを探し求めて 彷徨う この心根 ロズマリーンの香りに 導かれ

ふふふ 新たに 愛の訪れる日が 来るのだろうか

その不安に 揺れる夜 ロズマリーンの香りが 優しく包み込み

   痛みを 永久に 癒してくれるだろうか・・・

   

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