国土交通省は22日、2016年1月1日現在の公示地価を発表した。東北では東日本大震災や東京電力福島第1原発事故に伴う移転需要で福島県が2年連続で住宅地の上昇率トップとなった。
宮城県の上昇率は住宅地で全国2位、商業地で3位だった。両県とも住宅地の伸びは鈍化しており、震災による移転需要は落ち着きつつある。住宅地や商業地などを合わせた全国平均は前年比プラス0.1%となり、8年ぶりに上昇した。
6県と仙台市の平均地価と変動率は表の通り。住宅地は宮城で調査地点の約7割が上昇。15年12月に開業した仙台市地下鉄東西線の沿線需要などが押し上げた。福島も全体の7割がプラスだった。秋田は住宅地、商業地とも下落率が3年連続で全国最大だった。
東日本大震災の沿岸被災地の住宅地をみると、宮城、岩手で移転需要がほぼ収束状態となった。宮城県石巻市はプラス0.7%(15年3.0%)と上昇が鈍化。宮城県東松島市はマイナス0.1%(同0.2%)と下落に転じた。岩手県大槌町もマイナス0.4%(同0.0%)だった。
地点別の上昇率は、福島県いわき市泉ケ丘1丁目(13.4%)が全国8位、いわき市平下平窪3丁目(13.0%)が10位だった。
商業地は宮城で調査地点の7割弱で上昇した。JR仙台駅周辺の再開発用地などへの投資需要の旺盛な仙台市がけん引した。福島は2年連続で上昇し、青森、岩手、秋田、山形は下落幅が縮小した。
県庁所在地では長年の地価下落による値頃感などに需要が喚起され、盛岡市で住宅地がプラス0.6%と18年ぶりに上昇に転じたほか、山形市も1.4%と16年ぶりのプラスとなった。
東北の調査地点は計1808地点。15年9月に原発事故の避難指示が解除された福島県楢葉町の2地点が対象に加わり、休止は15地点となった。
[公示地価] 国土交通省の土地鑑定委員会が地価公示法に基づいて公表する土地の価格。今回の調査地点は、住宅地、商業地、工業地の計2万5270カ所(うち福島県の15カ所は休止)。土地の価格の指標はほかに、都道府県が7月1日時点の地価を公表する基準地価や、国税庁が公示地価を基に算出する主要道路沿いの路線価などがある。
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