チョルスは首をかしげる。
「ともかく前向きに考えてみます」
コン室長は悲痛な顔で頼み込んだ。
「必ず、必ず引き受けてください。チャンさんを信じてますので」
チョルスはドックと顔を見合わせた。
「うまくいきました」
コン室長からの連絡にビリーは喜んだ。
「よくやったコン室長」
携帯を切り、椅子に腰をおろす。
「これでヤツとアンナを引き離す段取りはついたな」
机上には指輪がある。それを手にする。シゲシゲと眺める。
「また返せばいいんだ」
アンナが忘れて帰った携帯もある。手にする。
「これは返す必要もないな」
中を開く。見て驚く。
「何だと? チャン・チョルスが短縮一番?」
ビリーは頭にきた。
「消去しよう」
消そうとした時、短縮二番のカンジャから電話がかかってきた。
ビリーはびっくりして携帯を机上に落とした。
携帯からアンナの怒った声が流れ出た。
「誰なの? 私の携帯を返して」
「…」
「何とか返事をしなさいよ」
アンナの命令形の言葉に弱い。ビリーは恐る恐る携帯を手にする。気持ちを落ち着かせ、携帯に出る。
「もしもし…」
アンナはいきなり怒る。
「やっぱり、あなただったのね。早く持ってきて」
注文をつけて電話を切る。
カンジャが携帯を覗き込んでくる。
「見つかったってチョルスに教えなきゃ~」
電話を入れかけて思いとどまる。
「いいえ。真っ先に報告するのは格好悪いわ。返す」
携帯を受け取りながらカンジャは言った。
「お姉さん、電話をかけさせてあげたから、私、洗濯してみてもいい?」
「いいわ。好きにしていいわ」
カンジャは嬉しそうにする。
「じゃあ、掃除機も使ってみていい?」
「掃除機は難しいわよ。ちょっとしたコツがいる。私も、まだ苦手にしてるわ」
「大丈夫。母さんがやるの見てるから」
「そう?」
「うん」
「じゃあ、まずはチョルスの部屋で試して…うまくいったら居間もやって」
アンナはそう言って背を返す。
「ありがとう」
カンジャは嬉しそうにアンナの後を追った.
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