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「アディオス、ヨナ」
氷上に残した軌跡は歴史に…あなたのおかげで幸せだった
音楽が止まり、彼女も止まった。あふれんばかりの拍手と花束に埋もれた24歳の
女性。氷上に1人で立つフィギュアの女王は、孤独に見えた。
今日の明け方に開かれたソチオリンピック女子フィギュアスケートのフリープログ
ラムは、彼女にとって最後の舞台。20年かけてひたすら1本の道を駆け抜けた長い
旅程が終わる瞬間だった。今、ヨナは何を考えているだろうか。何年か前にインター
ネット動画で『死の舞踏』を見た後から、私は彼女のファンになった。カリスマ性あ
ふれる鳥肌の立つような演技に震えた。氷上を飛び回る彼女が韓国人なのかと信じら
れなかった。ああ、私たちにもこんな美しさがあったんだな。感心した。
身長1メートル64センチに体重47キロの若い女性が耐えるには途方もないプ
レッシャーを抱えて、彼女は2度目のオリンピックに備えた。そして「フィギュアク
イーン」の面目を今一度、刻みつけた。最後をりっぱに終えた彼女に拍手を送りた
い。さようならキム・ヨナ。あなたのおかげで幸せだった。ありがとう。
大韓民国を代表するという重い荷物を下ろして、また別の素敵な人生を送ることを
…。
女王の最後のショートプログラムを待っていた19日夕方に、幼い日の私を思い出
した。10歳の頃の私が最も欲しかった物はスケート靴だった。私が通っていた小学
校は、冬休みの間に運動場を凍らせて学生たちに開放した。靴底に鉄のエッジをつけ
た珍しい靴を履いて氷上を滑る子供たちがうらやましく、決して楽ではなかった家の
状況を知りながらも両親にせがんだ。高いと反対する母親をのけて、気分屋だった父
親にぶらさがった。ソウル東大門(トンデムン)運動場のスポーツ用品店で私の足よ
り2サイズほど大きい赤色のスケート靴を買ってもらって履いた。
厚い靴下を二重に履いても緩く、靴紐をきつく締めた。学校の運動場で肩越しに
フィギュアスケートを習った。後ろに8の字をかいたり、片方の足を上げてぐるぐる
回ったりする幸福は長続きしなかった。5年の時の交通事故で膝をケガした後、氷上
に立つのが怖くなった。
最後にスケート靴を履いたのは、いつだっただろうか。記憶をたどっていたら、も
う深夜0時。いよいよ競技が始まった。女王の帰還!キム・ヨナが金メダルを取らな
ければなければならないと大騒ぎをするメディアが気にくわなかったが、競技が始ま
るとすぐに私もやはり彼女を応援した。ライバル選手たちの失敗に安堵しながら何と
なく心配になった。
4年前のバンクーバーオリンピックのボンドガールのイメージがあまりにも強かっ
たのではないか。『悲しみのクラウン』の音楽と振りつけは私には少し地味に感じら
れた。しかし彼女ほど氷上から自由な選手はいなかった。
その難しいジャンプを彼女は平然とこなす。とても簡単に見えて、私もスケートさ
え履けば真似ることができそうだ。動作と動作の間の柔軟な、部分的な要素を繋いで
いく老練さで、彼女を凌駕する選手はいなかった。
私がヨナに感心するのは、ジャンプやスピンのようなスケート技術ではない。ロシ
アの10代の少女アデリナ・ソトニコワ、イタリアの老練なカロリーナ・コストナー
のスピンも立派だったが、氷上を滑る腕と足はキム・ヨナのように滑らかに見えな
かった。
ヨナの演技は完ぺきだった。容易に見える文章が実際は書きにくいように、その無
我の境地に達するまで彼女は倒れて起きる過程を何度も繰り返したのだろう。
フィギュアスケートは芸術と運動が結びついたスポーツ。衣装や選手の顔の化粧に
至るまで、その国の美的レベルを代弁する。キム・ヨナは大韓民国の文化芸術がIT
強国に次ぐ水準に達したことを世界に知らせた。
氷上に降りてくるあなたこそ、美しい。私たちはあなたを忘れることができないだ
ろう。
アディオス。
◆チェ・ヨンミ=1961年ソウル生まれの作家。92年『創作と批評』で登壇。
80年代の現実と人生を告発して否定した初めての詩集『三十、宴は終わった』が
文壇の注目を浴びた。詩集『夢のペダルを踏んで』や散文集『時代の憂鬱』などが
ある。(中央日報より)
この方の文章はこれまで自分の感じてきたキムヨナワールドとほとんど重なってしまう。残念ながら引用した時点で僕の付け足すものは皆無に等しい。
以下は蛇足となるが、キムヨナの演技を愛してきた多くのファンも、彼女と同じような感想を抱いていることだろう。
ソチ五輪においてキムヨナは銀メダルに輝いた。地元ロシアのアデリナ・ソトニコワ(17)に金メダルこそ許したものの、美しい演技のヨナ、完璧演技のヨナを世界の多くの人たちにあらためて印象付けた。
ほとんどミスらしいミスのない彼女の美しい演技は、試合会場に足を運んだ人たちにも酔いしれるような感銘を与えたことだろう。
そして彼女の演技を初めて見た心ある女性は自身に引きつけてこうも思ったに違いない。
――フィギュアスケートとは、仮に自分が目指すとするならこうも素敵で美しい表現が編める世界だったのか、と。
★まるでアニメの世界から抜け出したように、女性特有のやわらかで美しい彼女の演技は他の選手の追随を許さぬものである。彼女の豊かな想像力なくしてこのような世界は生まれ出てこなかった。何十年も前、カタリナ・ビットが蒔いた種を拾い、想像力の中でコツコツと育て上げ、身につけた技術で大きな大きな花として具現したのがキムヨナだった(他にやった選手がいるだろうか?)。
☆このような彼女の大いなる演技が、飛んで、回って、威勢良く氷上を滑りまわるだけの経験も消化も浅い演技にしてやられるとは・・・威厳あるジャッジたちの目も時として節穴になったりもするらしい。
まったく悪夢を見たような気分はまだ抜けない。
★今回、オリンピックを通じて若手選手らがずいぶん伸びているのに驚かされた。去年の世界選手権前までは見られなかった現象だ。ここから僕は、キムヨナが世界選手権から及ぼした影響を感じ取ったりもする。
彼女の世界選手権での演技は世界中に発信されて多くのメディアから絶賛を浴びた。この時の華麗で美しい演技は、今回銅メダルに輝いたカロリーナ・コストナーにして「彼女は別世界に住んでいる」と言わしめた。若手選手の代表格、グレイシー・ゴールドなどもキムヨナの演技を目の当たりにしながら、大いに刺激を受けたことだろう。
世界で喝采を浴びた演技に若手選手が刺激を受けないはずがない。彼女らはキムヨナの演技からいろいろとヒントを得ながら自分の演技に磨きをかけてきたことだろう。それがソチの彼女らの演技に繋がった。
キムヨナも後輩たちに向けて種を蒔いていたのである。
★キムヨナよ。今回も金メダルはあなたの背中で燦然と輝いている。その縁取りの中は、あなたの創り出した世界を目指す選手たちの姿でひしめいている。そのうちきっと、ソトニコワの姿だって映りだすよ。
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キム・ヨナ「判定問題? より切実に願う人に金メダル」
キム・ヨナ(24)は笑った。慰労を受けるべき人が慰労して去った。最後の演技を終えた時も、つかみかけた金メダルが銀メダルに変わった時も笑った。
キム・ヨナは21日、ロシア・ソチで行われた記者会見で、「採点について未練はない。最後の引退舞台でミスなく演技を終えたので」と語った。
キム・ヨナは今回のオリンピック(五輪)でショートプログラム、フリーとも一つもミスをしなかった。しかし結果は銀メダルだった。金メダルはアデリナ・ソトニコワ(18、ロシア)が握った。多くのフィギュア専門家と海外メディアはロシアのホームアドバンテージのためキム・ヨナが金メダルを奪われたと主張している。
大韓民国は怒っている。「キム・ヨナの唯一の弱点は韓国国籍」という声も出てきた。150万人以上のフィギュアファンは採点の訂正を要請する署名運動を行っている。憤りを抱くしかない大韓民国のためにキム・ヨナは大きく笑った。
「私は本当にかまいません。自分が満足しているのでそれで十分です。より切実に望んでいた人に金メダルがいったと思います。すべての荷物を下ろしたということだけで幸せです」
キム・ヨナは舞台の裏ではしばらく涙を流した。しかしカメラの前では毅然とした態度を失わなかった。時には銀メダルが金メダルよりも感動的だ。女王の最後のプレゼントだ。
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