雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ「ただひとつの愛」第3話(エピソード11)






韓国ドラマ「ただひとつの愛」第3話(エピソード11)


〇主な登場人物 
イ・ヨンソ(シン・ヘソン)
キム・ダン(エル)
チ・ガンウ(イ・ドンゴン)
クム・ニナ(キム・ボミ)
チョン・ユミ(ウ・ヒジン)
フ(キム・イングォン)
チェ・ヨンジャ(ト・ジウォン)
クム・ルナ(キル・ウネ)
パク・グァンイル(イ・ファリョン)
キ・ジュンス(イ・ジェヨン)



第3話(エピソード11)


 背中に手をおいて訊ねた。
「どうしたんです?」
 動けない!
 ヨンソは膝間づいて前を見続けている。
 チョン秘書を振り返る。切羽詰まった表情だ。
「歩けない」
「えっ!」
 チョン秘書の口もとは震える。
「他は何ともないのに…目も見えるのに」
 呆然となっているヨンソをチョン秘書は抱きしめる。
 ヨンソは声を震わせた。
「足が…足が動かない」


 点滴を受けながらヨンソは考え込んでいる。
「心因反応ですか?」
 チョン秘書は報告に現れた女史に訊ねる。
「ええ」女史は頷く。「身近な人を失ったせいで―一緒にしてた行動ができなくなるんです」
 ベッド上のヨンソは無愛想な顔を女医に向けた。
 女史は続ける。
「毎週、奥さんとボウリングしていた夫が、ピンを見たら吐き気やパニックを起こしたりします」
「…」
「思い入れが強いほど重症化したりします」
 ヨンソは手を見た。
「このまま入院させてください」
 ヨンソは黙って手を見つめ続ける。
「この様子では幻も見えるはずです」
「…」
「ただ、炎症数値と白血球数は正常だそうです。自宅で休養するうち回復するともおっしゃっています」
「じゃあ気持ちの問題? これまでしてきたことが、もうできなくなるんですか?」
「…」
「私は、一日中おじさんと一緒でした。歩くのも走るのも食事するのも…それが全部できなくなるんですか?」
 一瞬、笑いに似た声を発した。
「目が、見えるようになったというのに…」
 ヨンソの顏から笑みは沈んでいった。


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