雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ ファンタスティック・カップル 第14話(9)



 アンナはテレビゲームをやっているジュンソクらに言った。
「あんたたち皿洗いは大変なのよ。自分で片付けなさい」
 子供らは二つ返事で立ち上がった。
 言われた通り、自分の使った食器を流しに運び、テレビゲームの場所に戻っていった。
 アンナは満足して調理器具の片づけを始めた。棚を見上げると大きな壷が目に止まった。つま先立って両腕を伸ばす。壷をつかんでそろそろと下におろす。
 フタを取って中を見たとたん、アンナはにんまりとなった。
「チャン・チョルスはここに小銭を集めていたのね。私のために置いたも同然だわ。悪いけどいただくわ」
 急いで壷を隠しに行こうとするが、壷が重くてバランスを失い、小銭を床にぶちまけてしまった。
「ワーッ、お金だお金だ!」
 ジュンソクらはアンナのところに集まり、こぼれたお金を拾い始める。アンナも一生懸命拾い集めた。
 この時、彼女はお金とは違う光り物に目を奪われた。手を伸ばし拾い上げる。指輪だった。
「これは!」
 ビリーの顔がちらと脳裏をかすめた。左手の薬指にはまっていた。
 指輪をじっと見つめる。
「この指輪――どこか見覚えがある」
 アンナは自分の薬指にはめかけて思いとどまる。
「私のじゃないわ。彼の奥さんの物よ…」
 自分に言い聞かせつつも他人事じゃないような気もする。
「もしかして――私が盗んだと思ってるんじゃないでしょうね? 明日にでも早く返さなきゃ」
 指輪をテーブルに置き、再びお金を拾い始める。
「拾ったら中に入れて」


 食器洗いもすんだ。タオル雑巾を絞っている時、壁沿いにゴキブリが出現した。
 アンナはタオル雑巾で狙いすませてゴキブリを叩き落した。
 その後は洗濯だ。古い洗濯機が横にグラグラ揺れだす。アンナは足で洗濯機を蹴った。
「チャン・チョルスが戻ってくるまでおとなしくして」
 今度は子供たちの世話だ。アンナは子供らを寝かせに上がった。遊び道具を取り上げ、
「早く、寝なさい」
 そう言って部屋を出てゆこうとするが、子供らは布団に入ったものの寝付く様子を見せない。
 アンナは振り返った。
「あんたたち―、寝る子は育つのよ。背が高くなりたければ早く寝なさい」
 子供らはおとなしくなった。アンナは灯りを消して部屋を出た。




script type="text/javascript" src="//translate.google.com/translate_a/element.js?2db9cb=googleTranslateElementInit"></script>  google-site-verification: google3493cdb
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

※ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「韓国ドラマ「ファンタスティックカップル」」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事