韓国ドラマ「30だけど17です」(連載151)
「30だけど17です」第17話(おじさんが正しい)⑧
☆主なキャスト&登場人物
○シン・ヘソン➡(ウ・ソリ)
○ヤン・セジョン➡(コン・ウジン)
○アン・ヒュソプ➡(ユ・チャン)
○イエ・ジウォン➡(ジェニファー(ファン・ミジョン)
○チョ・ヒョンシク➡(ハン・ドクス)
○イ・ドヒョン➡(トン・ヘボム)
○チョン・ユジン➡(カン・ヒス)
○ユン・ソヌ➡(キム・ヒョンテ)
○チョ・ユジョン(イ・リアン)
○ワン・ジウォン(リン・キム)
○アン・スギョン(チン・ヒョン)
★★★
血を出した指を給湯室で手当てしてやりながらヒョンを言った。
「話にも言い方がある」
「…」
「なぜ、あんな言い方を?」
「そうだよな」とウジン。「なぜだろう」
そこにカン代表が顔を出す。
「ヒョン、早く仕事に戻って」
「きれいな指が台なしだ」
ヒョンは愚痴を残して給湯室を出ていった。
ヒスが代わりに入ってきた。
「切った手を見せて」
「大丈夫だ」
「なぜあんなことを…」
ウジンはヒスを見つめ返す。
ヒスは一瞬、口をつぐんだ。
「ひどい顔してる…」
「…」
「見てられないから、今日はもう帰って」
「…」
「いいから、もう〜」
★★★
ウジンはジェニファーと庭でウ・ソリの帰りを待った。
「ソリさんの帰りは遅いですね」
ウジンは息をつく。
「”古漬けや冬虫夏草”」
ウジンはジェニファーを見上げた。
「何です?」
「プーアル茶など…世界には寝かせることで味わいの増す物があります」
「…」
「ですけど、誰かに対する変わらぬ感情を―寝かせていいことなどありません」
ウジンは目を伏せた。
「人間関係の溝とは…」
瞬きを入れ、ジェニファーを見つめなおした。
「言うべき言葉を呑み込んで生じる何かが多々あります」
「…」
「呑み込んだひと言のせいで溝が広がる前に、それを元に戻す努力をするべきかと」
ウジンはソリの帰りを待たずに捜しに出た。まず向かったのはバイオリンの練習室だった。
会館に飛び込むとヴァイオリニストのシム・ミョンファンと鉢合わせした。
ウジンはすかさず訊ねた。
「今日も練習を?」
シム・ミョンファンは答えた。
「さっき私を訪ねてきた」
ウ・ソリから聞かされた話をウジンに伝えた。
― 舞台には立てません。
― …。
― また演奏できると浮かれて、周りがぜんぜん見えてませんでした。
(どうしてそんなに熱心に練習するの?)そう、人に聞かれても答えられなかったんです。バイオリンのことも、舞台のことも…でも練習していて気づきました。いくら練習しても実力は取り戻せないと。
― …。
― 演奏したい思いに負けて、現実から目を背けていました。このまま舞台に立っていたら―きっと惨めになるだけです。だけど、練習してる間は幸せでした。舞台の機会を下さった先生には感謝しています。
シム・ミョンファンに”舞台に立たない”話を伝えて彼女はどこへ行ったのか。
ウジンはソリを捜しまわった。夜の深まる街中を捜しまわった。そうしていつものあの陸橋にやってきた。
ソリは陸橋の真ん中に立っていた。
「ウ・ソリ〜!」
ウジンはそう叫んで走り出す。陸橋の階段を矢も楯もたまらず駆け上がった。
「おじさんに会いに会社へ行ったんだけど…」
ソリは呟きながらウジンの方へ歩き出す。
ウジンは階段を駆け上がり、ソリを抱きしめた。
「ごめんよ」
すぐに詫びた。
「あんなこと、言うんじゃなかった。君の気持に気付かず、傷つけてしまった。すまなかった。ほんとにすまなかった」
ソリはウジンを見つめた。
「いいんです…」
ウジンはソリの腕を取った。
「他に方法があったはずなのに、つい感情的になってしまった。傷つけたくなかったのに、僕のせいで…」
ソリは首を横に振った。
「おじさんが正しかったです」
「…」
「私の手を見た人に言われたんです」
ソリは血のにじむ自分の手を広げた。瞳を濡らしたウジンに見せて言った。
「喧嘩したのか、って」
「…」
「演奏が楽しかった時はこの手が自慢でした。でも、今の私は―この手が恥ずかしい」
ソリは笑顔になった。
「この状態で舞台に立ったら恥をかきました。かえって自分が惨めになったはずです」
「…」
「母のバイオリンで自分を偽って演奏するのは―嫌だし、辛いです」
「でも、舞台に立つことで、叔父さんが見つかるかもしれない。その機会を」
「私は大人です」
ソリはきっぱり明るい声で答えた。
「口にしたくないけど、叔父さんに捨てられたのは分かっています」
「…」
「無理に舞台に立っていたら、おじさんの言う通り、音楽が楽しくなくなり嫌いになってたと思います。それに、私の方こそごめんなさい。自分本位でひどいことを言いました」
ウジンは黙って首を横に振る。
「止めてくださって感謝です。音楽を嫌いにならないようにしてくれたから。私を気遣ってくれてありがとう」
「30だけど17です」第17話(おじさんが正しい)⑧
☆主なキャスト&登場人物
○シン・ヘソン➡(ウ・ソリ)
○ヤン・セジョン➡(コン・ウジン)
○アン・ヒュソプ➡(ユ・チャン)
○イエ・ジウォン➡(ジェニファー(ファン・ミジョン)
○チョ・ヒョンシク➡(ハン・ドクス)
○イ・ドヒョン➡(トン・ヘボム)
○チョン・ユジン➡(カン・ヒス)
○ユン・ソヌ➡(キム・ヒョンテ)
○チョ・ユジョン(イ・リアン)
○ワン・ジウォン(リン・キム)
○アン・スギョン(チン・ヒョン)
★★★
血を出した指を給湯室で手当てしてやりながらヒョンを言った。
「話にも言い方がある」
「…」
「なぜ、あんな言い方を?」
「そうだよな」とウジン。「なぜだろう」
そこにカン代表が顔を出す。
「ヒョン、早く仕事に戻って」
「きれいな指が台なしだ」
ヒョンは愚痴を残して給湯室を出ていった。
ヒスが代わりに入ってきた。
「切った手を見せて」
「大丈夫だ」
「なぜあんなことを…」
ウジンはヒスを見つめ返す。
ヒスは一瞬、口をつぐんだ。
「ひどい顔してる…」
「…」
「見てられないから、今日はもう帰って」
「…」
「いいから、もう〜」
★★★
ウジンはジェニファーと庭でウ・ソリの帰りを待った。
「ソリさんの帰りは遅いですね」
ウジンは息をつく。
「”古漬けや冬虫夏草”」
ウジンはジェニファーを見上げた。
「何です?」
「プーアル茶など…世界には寝かせることで味わいの増す物があります」
「…」
「ですけど、誰かに対する変わらぬ感情を―寝かせていいことなどありません」
ウジンは目を伏せた。
「人間関係の溝とは…」
瞬きを入れ、ジェニファーを見つめなおした。
「言うべき言葉を呑み込んで生じる何かが多々あります」
「…」
「呑み込んだひと言のせいで溝が広がる前に、それを元に戻す努力をするべきかと」
ウジンはソリの帰りを待たずに捜しに出た。まず向かったのはバイオリンの練習室だった。
会館に飛び込むとヴァイオリニストのシム・ミョンファンと鉢合わせした。
ウジンはすかさず訊ねた。
「今日も練習を?」
シム・ミョンファンは答えた。
「さっき私を訪ねてきた」
ウ・ソリから聞かされた話をウジンに伝えた。
― 舞台には立てません。
― …。
― また演奏できると浮かれて、周りがぜんぜん見えてませんでした。
(どうしてそんなに熱心に練習するの?)そう、人に聞かれても答えられなかったんです。バイオリンのことも、舞台のことも…でも練習していて気づきました。いくら練習しても実力は取り戻せないと。
― …。
― 演奏したい思いに負けて、現実から目を背けていました。このまま舞台に立っていたら―きっと惨めになるだけです。だけど、練習してる間は幸せでした。舞台の機会を下さった先生には感謝しています。
シム・ミョンファンに”舞台に立たない”話を伝えて彼女はどこへ行ったのか。
ウジンはソリを捜しまわった。夜の深まる街中を捜しまわった。そうしていつものあの陸橋にやってきた。
ソリは陸橋の真ん中に立っていた。
「ウ・ソリ〜!」
ウジンはそう叫んで走り出す。陸橋の階段を矢も楯もたまらず駆け上がった。
「おじさんに会いに会社へ行ったんだけど…」
ソリは呟きながらウジンの方へ歩き出す。
ウジンは階段を駆け上がり、ソリを抱きしめた。
「ごめんよ」
すぐに詫びた。
「あんなこと、言うんじゃなかった。君の気持に気付かず、傷つけてしまった。すまなかった。ほんとにすまなかった」
ソリはウジンを見つめた。
「いいんです…」
ウジンはソリの腕を取った。
「他に方法があったはずなのに、つい感情的になってしまった。傷つけたくなかったのに、僕のせいで…」
ソリは首を横に振った。
「おじさんが正しかったです」
「…」
「私の手を見た人に言われたんです」
ソリは血のにじむ自分の手を広げた。瞳を濡らしたウジンに見せて言った。
「喧嘩したのか、って」
「…」
「演奏が楽しかった時はこの手が自慢でした。でも、今の私は―この手が恥ずかしい」
ソリは笑顔になった。
「この状態で舞台に立ったら恥をかきました。かえって自分が惨めになったはずです」
「…」
「母のバイオリンで自分を偽って演奏するのは―嫌だし、辛いです」
「でも、舞台に立つことで、叔父さんが見つかるかもしれない。その機会を」
「私は大人です」
ソリはきっぱり明るい声で答えた。
「口にしたくないけど、叔父さんに捨てられたのは分かっています」
「…」
「無理に舞台に立っていたら、おじさんの言う通り、音楽が楽しくなくなり嫌いになってたと思います。それに、私の方こそごめんなさい。自分本位でひどいことを言いました」
ウジンは黙って首を横に振る。
「止めてくださって感謝です。音楽を嫌いにならないようにしてくれたから。私を気遣ってくれてありがとう」
ソリを見てウジンはボソボソと切り出す。
「…怖かったんだ」
「えっ?」
ソリは目を上げた。
「また誰かの人生に首を突っ込んで、それを台なしにしたんじゃないかと…」
ソリは首を横に振る。何度も振る。
笑顔で言う。
「ここは場所がいい」
「…?」
ここであった色々のことを思い出しながら言った。
「ここに来ると、いつも”いいこと”がある」
「…」
「ここに来るといつもおじさんに会えました。これから、会いたい時はここに来ます」
「ここに来なくてもずっと一緒です」
「…!」
「溝が広がるのはイヤだから呑み込まずに言います。正直な気持ちを口に出して伝えるから、ソリさんも何でも僕に話してほしい」
「私―心臓がトキトキして、脚に力が入らないし、手も震えてます。どう考えても私…糖分が不足してるみたいです」
「と、糖分?」
ウジンは面食らった。
「ええ、そうです。何も食べてないので体に力が入りません。我慢せずに正直に言いますけど、何か一緒に食べませんか?」
ウジンもようやく笑顔になった。
「行きましょう」
「ええ、そうです。何も食べてないので体に力が入りません。我慢せずに正直に言いますけど、何か一緒に食べませんか?」
ウジンもようやく笑顔になった。
「行きましょう」
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