雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ ファンタスティック・カップル 第13話(3)




 笑いながら先を行くアンナにチョルスは呆れた。
「いやはや~、それでこそサンシルだ。俺はどうかしてるな、まったく!」
 
 アンナは気分よく電気毛布の寝床に潜り込んだ。
「ああ、暖かい」
 毛布のスイッチを握って暖かさを調節する。
 さっきの言葉で足を止め、元気を失ったように見えたチョルスの顔を思い出しながら悦に入る。
「”やめる”と言ったらすがりついてくるのね。ちっ、おかしくなる」
 アンナは毛布をかぶり、クックックーッと喉をころがす。しかしすぐに毛布をおしのける。
「だけど、私は行かなきゃ」
 アンナはちらとチョルスの寝床を見やり、毛布ですっぽり顔までくるまった。
 
 
 当のチョルスは家計簿をつけている。
 手を止めた。アンナの言葉を思い出す。笑みがもれた。
「彼女の記憶が戻り、お互いの立場が公平になったらいろいろ考えよう」


 ビリーもアンナが置いていった携帯を手に考えている。
 目の前には二人の結婚式の写真が立ててある。
「そうさ、このサンシルはアンナじゃない。いずれ必ず戻ってくるさ。そうすれば、彼女がサンシルだった時の記憶はすべて消せる…」
 

 朝になった。カーテンを通して日の光が部屋に差し込んでくる。
 アンナはうなされていた。小さく寝返りを打って目を開ける。
 騒々しい音が耳に飛び込んでくる。
「?」
 アンナは上体を起こす。
「うるさいわね」
 どうやら表で縄跳びかなんかをやっているらしい。
「まったく、この家には静かな日が一度もないわね」
 
 表ではチョルスが見守る中、ジュンソクらが縄跳びをやっている。
「そうだ。いいぞ。いや、そうじゃない。見てろ」
 チョルスはジュンソクらに縄跳びロープの手ほどきをやる。
「いいか。手首をこうやってこんな風にまわせ。ほら、もう一度」
 アンナが寝ぼけ眼で玄関を出てくる。
「ゆっくりまわしてみろ。そうそう、そうだ」
 チョルスはアンナに気付いた。
 目が合ってアンナは顔を背ける。とぼけている。
 チョルスは子供たちに目を戻す。
「ゆっくりやるんだ」
 アンナはそばにやってくる。
「朝から騒々しいわね」
 ジュンソクが答える。
「今日、学校の授業で二重飛びのテストがあるんだ」
「当日に練習したって無駄よ」
 シュンとなりかかったジュンソクをかばってチョルスはいう。
「一夜漬けがもっとも効果的なんだよ。大丈夫だ。もう一回やってみろ。ほら、1.2.3.4…そう、その調子だ」
 アンナは子供らの縄跳びを見てつぶやく。
「手足が短くて大変ね」
 アンナはグンソクのそばに歩み寄る。
「ちょっと貸して」
 グンソクから縄跳びロープを取り上げた。縄跳びを始めようとする。しかし、うまくいかない。振り回そうとするロープは自分の頭さえ越えない。アンナは越えなかったロープを引っ張った。手に当たった。
「痛い!」
 顔をしかめているアンナを見てチョルスは言った。
「子供の遊び道具を奪った罰さ」
 アンナはまた飛ぼうとする。しかし、振るのも飛ぶのもタイミングがバラバラだ。
「ああ、もう…どうしてできないの?」
 チョルスは見るに見かねてアドバイスする。
「おいおい、だいたい持ち方が逆だよ。まずここからだよ。ほら握って」
「こう?」
「そうだ」
 チョルスのアドバイスでアンナが飛び始めると子供らは二人の周りを走り出す。
 子供らの握ったロープがアンナの脚に引っかかった。アンナは身体のバランスを失った。チョルスの方に倒れこんだ。
 チョルスの胸に倒れこんだ瞬間、アンナはチョルスを見た。胸にドキドキが戻るのを感じた。
「あれ?」子供たちは叫ぶ。「おばさんが抱きついた」
 子供らは二人を囃し立てた。
「わぁーッ! おばさんが抱きついた」
 アンナはあわててチョルスから離れた。



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