韓国ドラマ「青い海の伝説」第10話③
Korean Drama "Legend of the Blue Sea" Episode 10 ③
第10話②
セファはもぐもぐ口だけ動かす。
彼女はそれを口にできない。
「分からないなら…そうだ、時代だ。時代はいつだ?」
「…」
「ひょっとして俺は昔の服を着てたか? お前の好きな時代劇に出て来る服だ」
「それは…」
セファはジュンジェを見た。
「よく覚えてないの」
「…」
「何も思い出せないわ」
「そうか…」
何か聞き出せると思ったジュンジェは落胆した。
「そうだな…夢なんだし、無理もない。自分の名前さえ忘れてたんだからな」
「…」
「分かった。部屋に戻れ」
ジュンジェの話で機嫌を直したらしい。
セファは”お休み”を告げて元気に梯子を上っていった。
★★★
「何だ急に?」
ジュンジェは梯子を上っていくセファを眺めた。呆れた。
「気が済むまで俺を見てるんじゃなかったのか…? 少しは自分の発言に責任を持てっていうんだ」
ベッドに横たわり、セファの部屋に目をやった。
「無駄にそわそわさせやがって…」
部屋に戻ったセファは自分の見せた態度を分析した。
「これがウソっていうやつなのね…ドキドキするけど便利だわ。人間は心の声を聞けないものね。よかったわ」
眠りに落ちかけたジュンジェの脳裏にまたセファの痛々しい姿がまつわってくる。ザルの中でおびただしい量の真珠が輝きを放ち、憔悴しきったセファがそばで横たわっている。
彼女を抱き上げる武官は自分と瓜二つの姿だった。
はっと目を開ける。身体中に汗を感じた。まるで金縛りに遭ったみたいな生々しさだった。
ジュンジェはベッドを抜け出た。
リビングルームに出るとナムドウがビールを飲みながらくつろいでいる。
「俺も一本くれ」
ナムドゥはビールを分け与え、プルリングを外してやる。
ため息とともにジュンジェは両目をもみしだく。
「この頃の俺はどうかしてるよ」
ナムドゥは笑った。
「またタムリョンになる夢を?」
「ああ…」
ナムドゥはジュンジェを見た。
「言っておくがもっと変なことがあるぞ」
ビールを飲み、つまみを口に運びながらジュンジェは訊ねる。
「何だ?」
「シムチョンだよ」
ジュンジェは手を止める。ナムドゥの目を覗きこむ。
「変だと思わないか?」
「…」
一瞬、真剣な表情を返してから、わざととぼける。
「今更、そんなこと聞かされても…」
「簡単に片付ける話でもないぞ」
「確かに美人で優しいが、妙に浮世離れしてる」
ジュンジェは話を聞かないそぶりを見せるが、ナムドゥは続ける。
「気になることもあるんだ。この前、知り合いの医者にシムチョンのX線写真を見てもらった」
「何で今頃そんな話を持ち出すんだ」
「写真を取り違えたって話が解せなかったのさ」
「シムチョンのことになると何も疑わないのか?」
「で、その医者は何て?」
「同一人物の写真だとさ」
「…」
「あんなにひどい骨折が一週間で治ったんだ。そのあともピンピンしてる。おかしいと思わないか?」
「…」
「見ろ」
ナムドゥは真珠を取り出して見せた。
ジュンジェは夢に現れたザルにいっぱいの真珠を思い起こす。
「仕事もしてないのに袋いっぱいの真珠を持ってた。そしてお前にやると言ってた」
ジュンジェはナムドゥの手から真珠を握り取る。
「これをか?」
「ああ」ナムドゥはジュンジェの手から真珠を取り返す「彼女は謎だらけだ」
「…」
「それにだ…スペインでシムチョンに会ったのに覚えてないんだろ?」
今度は翡翠の腕輪が脳裏でちらつく。
「その謎を解くため、お前はシムチョンを家に置いたんじゃないのか?」
「じゃあ兄貴は?」
「俺? 俺はお前が変わっていくのが心配だからだ」
「…」
「苦労して悪人に仕立てあげたのに、シムチョンに会って以来、
いい人になろうとしだしている。俺をどうするつもりだ。捨てるつもりか?」
「何をバカなことを…」
「まあ…ただの好奇心もあるけどな。だけど、必ず正体は突き止めるぞ」
ナムドゥは話を切り上げて立ち上がった。
「トイレに行く」
ジュンジェはつぶやく。
「お前が…どんな人間か、俺が最初に突き止めないとな…」
セファはもぐもぐ口だけ動かす。
彼女はそれを口にできない。
「分からないなら…そうだ、時代だ。時代はいつだ?」
「…」
「ひょっとして俺は昔の服を着てたか? お前の好きな時代劇に出て来る服だ」
「それは…」
セファはジュンジェを見た。
「よく覚えてないの」
「…」
「何も思い出せないわ」
「そうか…」
何か聞き出せると思ったジュンジェは落胆した。
「そうだな…夢なんだし、無理もない。自分の名前さえ忘れてたんだからな」
「…」
「分かった。部屋に戻れ」
ジュンジェの話で機嫌を直したらしい。
セファは”お休み”を告げて元気に梯子を上っていった。
★★★
「何だ急に?」
ジュンジェは梯子を上っていくセファを眺めた。呆れた。
「気が済むまで俺を見てるんじゃなかったのか…? 少しは自分の発言に責任を持てっていうんだ」
ベッドに横たわり、セファの部屋に目をやった。
「無駄にそわそわさせやがって…」
部屋に戻ったセファは自分の見せた態度を分析した。
「これがウソっていうやつなのね…ドキドキするけど便利だわ。人間は心の声を聞けないものね。よかったわ」
眠りに落ちかけたジュンジェの脳裏にまたセファの痛々しい姿がまつわってくる。ザルの中でおびただしい量の真珠が輝きを放ち、憔悴しきったセファがそばで横たわっている。
彼女を抱き上げる武官は自分と瓜二つの姿だった。
はっと目を開ける。身体中に汗を感じた。まるで金縛りに遭ったみたいな生々しさだった。
ジュンジェはベッドを抜け出た。
リビングルームに出るとナムドウがビールを飲みながらくつろいでいる。
「俺も一本くれ」
ナムドゥはビールを分け与え、プルリングを外してやる。
ため息とともにジュンジェは両目をもみしだく。
「この頃の俺はどうかしてるよ」
ナムドゥは笑った。
「またタムリョンになる夢を?」
「ああ…」
ナムドゥはジュンジェを見た。
「言っておくがもっと変なことがあるぞ」
ビールを飲み、つまみを口に運びながらジュンジェは訊ねる。
「何だ?」
「シムチョンだよ」
ジュンジェは手を止める。ナムドゥの目を覗きこむ。
「変だと思わないか?」
「…」
一瞬、真剣な表情を返してから、わざととぼける。
「今更、そんなこと聞かされても…」
「簡単に片付ける話でもないぞ」
「確かに美人で優しいが、妙に浮世離れしてる」
ジュンジェは話を聞かないそぶりを見せるが、ナムドゥは続ける。
「気になることもあるんだ。この前、知り合いの医者にシムチョンのX線写真を見てもらった」
「何で今頃そんな話を持ち出すんだ」
「写真を取り違えたって話が解せなかったのさ」
「シムチョンのことになると何も疑わないのか?」
「で、その医者は何て?」
「同一人物の写真だとさ」
「…」
「あんなにひどい骨折が一週間で治ったんだ。そのあともピンピンしてる。おかしいと思わないか?」
「…」
「見ろ」
ナムドゥは真珠を取り出して見せた。
ジュンジェは夢に現れたザルにいっぱいの真珠を思い起こす。
「仕事もしてないのに袋いっぱいの真珠を持ってた。そしてお前にやると言ってた」
ジュンジェはナムドゥの手から真珠を握り取る。
「これをか?」
「ああ」ナムドゥはジュンジェの手から真珠を取り返す「彼女は謎だらけだ」
「…」
「それにだ…スペインでシムチョンに会ったのに覚えてないんだろ?」
今度は翡翠の腕輪が脳裏でちらつく。
「その謎を解くため、お前はシムチョンを家に置いたんじゃないのか?」
「じゃあ兄貴は?」
「俺? 俺はお前が変わっていくのが心配だからだ」
「…」
「苦労して悪人に仕立てあげたのに、シムチョンに会って以来、
いい人になろうとしだしている。俺をどうするつもりだ。捨てるつもりか?」
「何をバカなことを…」
「まあ…ただの好奇心もあるけどな。だけど、必ず正体は突き止めるぞ」
ナムドゥは話を切り上げて立ち上がった。
「トイレに行く」
ジュンジェはつぶやく。
「お前が…どんな人間か、俺が最初に突き止めないとな…」
ホン・ドンピョはマ・デヨンに対する捜査の網を狭めつつあった。データーを上司に突き出して言った。
「マ・デヨン前科記録を見るとですね」
「調べるのはいいから早くつかまえろ。今度は何だ?」
「ほとんどが暴力沙汰です。暴力の衝動を抑えられない男ですから」
「…」
「でも気になることが」
「何だ?」
「88年からの一年間だけ、数十件も窃盗を働いています。それで、犯行現場はすべて城南市の商業施設です」
上司はデーターを手にする。
「理由は?」
「女ですよ」
イルジュンと食事を取りながら、カン・ソヒは観察の目を夫に送る。自分がひそかに盛っている毒物の効果がどこまで表れているのかを確かめているのだった。
イルジュンの手はすでに箸でおかずを握れないほどになっていた。
おかずを握れずにいるイルジュンを見てチヒョンは訊ねる。
「父さん、どうかした?」
「いや、ちょっと眩暈がしただけだ」
カン・ソヒは薬を差し出した。
「あなた、食事を終えたらきちんと薬を飲んで。ほんとに心配でならないわ」
イルジュンは頷く。
「この頃はほんとに調子がよくない。どんどん悪くなってる気がする」
「今日は出勤せずに家でやすんでくださいな。大事な用向きは私から秘書に伝えておくわ」
「わかった。そうするよ」
チヒョンは母を見やる。チヒョンはこの頃の母の様子に疑わしさを覚えていた。
彼は箸でおかずを父に取ってやった。
母親が出かけ、ユナは今日もひとりで留守番だ。じっと家にいるのも退屈なので外に出かけた。
通りを歩いているとufoキャッチャー で遊んでいるセファを見つけた。
近寄って後ろから声をかけた。
「絶対にタコがほしいのね」
セファは後ろを振り返った。
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