ファンタスティック・カップル 第9話(6)
盥から脱け出て人心地ついたビリーの口からグチがついて出た。
「あいつ、どうしてアンナを追い出せないんだ?」
彼は泣きそうな顔になって曲がった腰で歩き出した。
「どうしてなんだ?」
外の気配にアンナは身を起こした。
「今のは何の音?」
部屋でシャツを脱いだチョルスはアンナをどうしたものか思案した。
「大きな病院に連れていった方がいいかな・・・? 金がかかるな・・・」
そこにアンナが飛び込んできた。
「チャン・チョルス。外で何か聞こえなかった?」
「聞こえなかったから、出ていってくれ。ほら、早く」
アンナは仕方なさそうに返事する。
「わかった」
出て行きかけて振り返る。
チョルスのたくましい身体をなめまわす。
アンナの視線を感じて、チョルスは思わず胸をかくす。
「な、何だよ」
アンナは舌打ちして出て行った。
チョルスは急いでドアを閉めた。
「早く追い出そう。金の問題じゃない。明日病院に連れて行こう」
ヒョジョンはユギョンを部屋を訪れ、お祝いの品をプレゼントした。
「誕生日おめでとう。結婚祝いもかねて奮発したわ」
「ありがとう」
ヒョジョンは少しためらって切り出した。
「ドックさんは友達よね?」
「・・・」
「一緒にパーティしない?」
「彼とはあまり親しくないわ」
「だったら、チャンさんも一緒にどうっ?」
ユギョンは苦笑した。
「どうかな・・・昔は私の誕生日を祝ってくれたけど・・・今は祝ってくれるかわからないわ」
「じゃあ私がドックさんに聞いてみるわね」
ヒョジョンがそう言うとユギョンは嬉しそうにコーヒーを飲んだ。
チョルスはアンナを病院に連れていった。
検査着になってアンナはチョルスに訊ねる。
「何をするの?」
「どんな状態かきちんと検査した方がいいんだ」
「検査費用は高いわよ」
「そんなことはわかってるさ。ここで待ってるからちゃんと検査を受けてくるんだぞ」
「私はこどもじゃないわ。心配しないで」
アンナは背を返し、飄々と歩いていく。
後姿を見ながらチョルスはつぶやく。
「子供のほうがまだ安心だよ・・・」
アンナは検査を終えて出てくる。長椅子に腰をおろし、チョルスが清算を済ませるのを待つ。
この時、ピアノの音がアンナの気を引いた。
どこから?
アンナは立ち上がり、ピアノの音に引かれて歩き出す。
ナースか介護師らしい人が子供たちにピアノを弾いて聴かせている。ピアノを弾き終わったその人は子供たちを連れて立ち去った。
アンナはピアノに歩み寄った。
ポロンと鍵盤を押してみた。
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