アンナはつぶやく。
「暖かいわ…どうしよう」
横になったまま作業を続けるチョルスを困惑の思いで見つめる。
自分はこの人を、ほんとにやめられるのかな~。
ビリーに電話がかかってきた。
「投資? 僕にそんな資金がどこにあると言うんだ」
話を持ちかけてきた相手はすかさず言う。
「奥さんの残した遺産があるだろ? こっちはちゃんとわかってるんだ」
「遺産なんてない。知らないだろうが」
「何を言ってるんだ。アンナの弁護士からみんな聞いたぞ」
「!」
ビリーはアンナの写真に目をやった。優雅に微笑む彼女のそばで自分が秘書のように立っている結婚式の写真だ。
――確かに奥様は遺言状をつくりました。一年後に執行されますが、先に教えましょう。”全財産は家族であるビリーに残す”と――書かれています
「アンナ…なぜだ? なぜ自分に?」
コン室長がやってきた。
「ビデオのメッセージは社長の裏切りを防ぐために書かれたシナリオですね」
「…」
「奥様らしいな」
「…」
「社長、すべて終わりました。全財産は社長の物です。帰国しましょう」
「…」
カンジャの誕生日会は近所の人たちが招待されて賑わった。
カンジャの招きでチョルスの家族もやってきた。
「わぁ~ッ、パーティーだ」
ジュンソクらは庭に駆け込む。
「みんな、こっちにおいで」
後からチョルスとアンナが並んで入っていく。
「おねえさ~ん、来てくれたの?」
カンジャが集まりの真ん中からアンナの前に飛び出してくる。
「何これ? 私だけ特別に招待したんじゃないの? がっかりだわ」
アンナの文句にチョルスが説明した。
「カンジャの誕生日は、毎年、町中の宴会なんだ」
そう言ってチョルスはカンジャの家族に頭を下げた。
「こんばんは、お邪魔します」
チョルスはカンジャの父親と握手を交わす。
母親はアンナに挨拶した。
「いつも話はこの娘からうかがってます」
父親も笑顔でアンナに挨拶する。
「うちの娘と仲良くしていただいてありがとう。さあ、お前も挨拶して」
カンジャはぺこりと二人に挨拶する。
カンジャの兄弟もアンナの前にやってきて挨拶した。
「今後も妹をよろしくお願いします」
アンナな難しい表情でそれらの挨拶を受けた。
横でチョルスが言った。
「頼もしい家族だろ」
アンナは例のお高い口調で挨拶を返した。
「花は嫌いだけどあんたが好きだから…お祝いよ」
そう言って差し出したのは花束だ。
「うちの庭で摘んできたの」
カンジャは心から嬉しそうにした。
「ありがとうお姉さん」
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