韓国ドラマ「青い海の伝説」第19話①
韓国ドラマ「青い海の伝説」第18話⑪
★★★
カン・ソヒとジュンジェを中に残し、外に出て来たナムドゥとチヒョンも警察に身柄を確保された。
チヒョンも外で身柄を確保された。
テオとセファがジュンジェらを心配して現場に駆け付けた時、事は終息に向かおうとしていた。
いったん刑事の手で身柄を確保されたチヒョンは、後から出てきたジュンジェがロープをほどかれ、ナムドゥと笑みを交わし合うのを見て怒りに駆られた。仲間のはずのナムドゥには手錠がかかっていない。
自分の策略がジュンジェらの芝居にまんまと逆用されたのに気づいたからだった。
どうにも我慢のならないチヒョンは突然暴れ出し、警察官の拳銃を奪い取って構えた。
大きな声で叫んだ。
「ジュンジェ!」
ジュンジェはその声に振り返る。チヒョンは拳銃を構えて立っていた。
運命は繰り返される! セファは直感した。
かつてタムリョンに向けて銛を投げ入れた男。ヤン氏の息子。マ・デヨンの息子、チヒョン。
あの拳銃の弾もジュンジェの身体に向かう。弾はきっと心臓を貫こうとするだろう。
「私はあの男の顔を見た!」
チヒョンはヤン氏と息子とそっくりだった。
そうはさせない! セファはジュンジェに向かって走った。
セファがジュンジェの身をかばった瞬間と拳銃が鳴ったのはほぼ同時だった。
★★★
チヒョンの撃った銃弾はジュンジェを庇ったセファの身体を貫いた。
銃を撃った後、チヒョンは刑事らによってすぐさま取り押さえられた。
セファがジュンジェを庇ったのを見てチヒョンは喚いた。
「畜生、離しやがれ!」
銃弾を受けたセファの顔はジュンジェを抱きしめたまま歪み始める。しかし、身体は動かない。ジュンジェを守った姿勢を崩さない。
ジュンジェはセファの背中に腕を回した。銃弾の貫通した場所を手指で探った。かすかに温もりを持つ血の感触にジュンジェは愕然となった。
セファの身体から力が抜け始める。崩れ落ちそうになる身体をやっとの思いで支え、セファはジュンジェを見た。
―ジュンジェ…同じ結末を恐れてたけど、そうならないでよかった。前とは違うでしょ。
―…。
―今度は私があなたを助けたわ。
セファは目をつぶった。
ジュンジェは首を振る。
―待て、ダメだ…死ぬな。頼む。
―分かってるでしょ? 私はどこにいてもあなたを愛し続ける。だから、私がいなくても幸せになって。誰かに愛されながら笑顔で…穏やかに暮らしてほしい。いつまでも…。
セファの身体は地面に崩れ落ちた。ジュンジェは懸命にセファの意識を取り戻そうとする。セファのほっぺを叩き、手を握り何度も呼びかける。しかし、セファの意識は戻らない。…
やがて遠くで救急車のサイレンが聞こえだした…。
この逮捕劇は速報のニュースとなった。
― 不動産王、ホ氏の妻、カン氏が殺人容疑で逮捕されました。カン氏の息子A氏も、殺人未遂容疑で逮捕されました。
カン氏はトリカブトの毒でホ氏を殺害し、ホ氏の息子、B氏まで殺害しようとしたところ、潜伏中の警官たちに現行犯逮捕されました。
A氏が警官から奪った銃で撃たれたB氏の恋人が重傷です。
ホ氏の死後、遺産相続をめぐる諍いが…。
事の真相をテレビのニュースで知ったモ・ユランはジンジュたちと共にびっくり仰天した。
―カン氏は遺産目的で犯行に及んだと見られ、現在、警察は共犯者の行方を追っています。
野望は潰え、にっくきジュンジェの命も取り損ねた。警察に運ばれる車の中でチヒョンは絶望を膨らませていた。
腹違いとはいえ、自分もホ・イルジュンの子だと信じていた頃、チヒョンは長男としてジュンジェに負けたくなかった。ジュンジェの欲しがるものは自分も欲しかった。
セファもそうだった。ジュンジェの恋人だと知って奪いたかった。しかしセファはジュンジェから離れなかった。自分を騙したりもしたが恨みは持たなかった。
警察の車の中でチヒョンは悔しさを燃え滾らせた。ジュンジェを狙った弾はセファに傷を負わせた。いや、彼女が身をもってあいつを助けた。そういう筋書きの発生がチヒョンは気に入らなかった。
ジュンジェはぴんぴんし、そのつもりのなかった彼女を傷つけたことに、チヒョンは自分のツイてない人生を悟ったのだった。
あの人の子として生まれてきたから、こういう人生が始まったのではないか…。
チヒョンは上着のポケットにある薬ビンのことをふと思い浮かべた。