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66回NHK杯戦(深浦康市九段vs先崎学九段)から

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66回NHK杯戦(深浦康市九段vs先崎学九段)から



9月11日は深浦康市九段対先崎学九段戦が放送された。
 思わず身を乗り出したくなるような手に汗握る将棋だった。
 両者の意地と闘志がぶつかり、戦いが始まったらどちらも一歩も後ろへ引かない。こんな若々しい将棋を若手同士からでなくベテラン同士の対局から見られるとは思わなかった。
 ただし、短い持ち時間の将棋で両者はあえて未知の思い切った将棋へ踏み込んでいった。
 練習将棋ならいざ知らず、師匠の目も光ってるだろうし、実戦の現場で若手棋士が息を合わせて未知の荒っぽい将棋に踏み込むのはなかなかできないことかもしれない。

 解説は両対局者をよく知る森内俊之九段。
 先崎九段は研究型というよりどのような将棋でも指しこなす奔放さと才能に溢れた将棋、一方の深浦九段は研究熱心で粘り強い将棋が持ち味、と森内九段。

 深浦九段の先手で始まったこの将棋、後手番先崎九段が模様見の9四歩を見せ、角換わりから腰掛銀へと進行していった。その後両者は玉を矢倉囲いとし、先手は4五歩の仕掛けの機を窺う。
 △9四歩で8一桂馬の活用が遅れた後手は6二に飛車を振る。5四銀と連動して6筋から仕掛ける狙いだ。
 ▲4五歩の仕掛けに応じていては先手の攻めに弾みがかかる。後手は先手の仕掛けを捨て置いて△6五歩▲同歩 △同銀 ▲同銀 △同飛 と飛車を中段に飛び出す。
 飛車を成らせるわけにいかない。▲6六歩 と押さえ、5五飛に▲2四歩 △同歩 とさせて▲4四歩 と取り込む。
 後手は4四歩 を相手せず、8六歩と玉頭の歩に突き捨てを入れる。先手はこれにかまわず、4三銀と打ち込む。後手もかまわず6九銀と守り金の両取りをかける。
 両者わが道を行く、の激しい攻め合いである。
「これはもう終盤の戦いですね」と森内九段。
「森内九段はどちらを持ちたいですか?」と藤田女流。
「う~ん…手番を握ってる先手…一手間違えば戦況が一変、難しい将棋です」
 後手の6九銀に対し、先手に5六歩の鬼手が飛び出す。飛車先の歩をついて位置をずらそうとする手である。
「先手が勝てばこの手が勝ちにつながる手となりそうですね」と森内九段は6五角打ちの手順を示した。
 果たしてこの手順は実現するのか? 勝ちにつながる手順なら後手は当然この順を避けることになる。
 ここから△7八銀成 ▲同 玉 △8七歩成 ▲同 玉 △8六歩▲同 銀 △5六飛 と進行する。
 先手は6五角打ちとやらず、▲3二銀成 △同 金 ▲4三歩成りとし、同金に2三歩と玉頭を叩く。守りの金がそっぽにいき後手陣の守りの弱さをついた手だ。後手4一の角打ちを嫌って1二玉。それでも先手は4一角を実現する。後手の包囲網は狭められた。
 ぐずぐずしていられない後手は8五歩と銀頭を叩く。8六と銀を取れば次は玉あたりになる。先手は2二金と王手をかける。1三玉に銀あたりをすておき1五歩と詰めろで攻め立てる。
 この辺からは双方秒読みに追われ、どれが正解手順かわからない応酬が続く。△8六歩 ▲同玉 △8五歩 ▲同 玉 △5五飛▲6五銀 △8四歩 ▲同玉のあたりは、先手を持たされたとすれば自分ならたぶんすぐに負けたと思う。  しかし、相手の棋力を信じて戦うのが高段者というものだ。先崎九段はここから先手玉を詰ませないと見て、1五歩と自陣に手を戻す。相手の詰めろを消す。「泥仕合となってきましたね」と森内九段。
 双方秒読みに追われながら▲2一金 △1四銀▲2二歩成 △同 銀 ▲5六歩 △6五飛 ▲同歩 △3九角(王手飛車取り)▲4八飛打 △同角成 ▲同飛 △8七飛 と進む。
 ここから▲8五歩合い、△9三銀▲7五玉 △7四銀 ▲同角成 △同歩 ▲同玉はしぶとい頑張りだが、△5二角と打たれて先手玉は風前の灯と見えた。しかし、さっきの6五歩で6六に退却路が出来ている。▲7五玉 △3七飛成 ▲6七桂と進行。先手6七桂打ちの頑張り森内九段は唸った。これで8筋方面への退路も開けた。
 ここで4三飛車成りが見えているので後手は4八龍と切って飛車を取替え、7四歩と先手で玉を攻めたがこの飛車交換が後悔の手となった。先手の8六玉引きに7九飛車打ちが詰めろでも何でもない手だったからだ。
 手番を握った先手は3二飛と打った。次に2二飛成りの詰めろである。後手8九飛車成りと桂馬を取って王手するが、先手はがっちり8七銀と打った。飛車成りを防いで2三金と自陣に金を補強するようでは後手苦しい。
 5二飛車成りと角を召し取られ、その龍がまた4三に浮いてる金を狙っている。4二歩と打って龍の利きを止めつつ金を守るが、4一に角を打ち下ろされては再び攻守は所を変えた。
 以下、また少しずつ先手のペースとなり、手が進むごとに後手は劣勢に立たされた。途中も後手に粘る手順はあったりしたようだが、先手の攻めに同調した流れとなり、投了へ追い込まれた。
 最後は深浦九段の勝利への執念と粘り腰が勝利をもぎ取った印象だった。
「いや~まいった」のぼやきが勝負の中の和やかさも感じさせた。
 二人の意地と闘志のぶつかり合いが気持ちよい将棋だった。




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