韓国ドラマ「青い海の伝説」第16話④
韓国ドラマ「青い海の伝説」第16話③
★★★
ワインで乾杯した後、ナムドゥは切り出した。
「お母さん…ひとつお伺いしたいことがあるんです。かまいませんか?」
「ええっ…何かしら」
「ひょっとして…カン・ジヒョンという人を知ってますか? 同じ高校出身のようです」
「カン・ジヒョンですか?」
モランは怪訝そうに問い返す」
「知ってる人?」とジュンジェ。
モランは表情を強張らせた。
「どうして彼女のことを?」
「ちょっとですね。理由ありで調べてるんですが、全く行方がわからなくてお手上げ状態なんです」
「…知ってる人よ」とモラン。「ほんとによく知ってる人…」
「そうなの?」
「うん。あなたも知ってる人よ」
「俺も知ってる…?」
モランはしっかり頷いて答える。
「あなたの継母(ままはは)よ」
ジュンジェは驚いた。信じられない顔して訊ねる。
「名前はぜんぜん違う人だよ?」
「改名したの。今はカン・ソヒよ」
「改名ですか? そんな記録は残ってなかったんですけど…」とナムドゥ。
「高校時代の名前はカン・ジヒョンだった。間違いないわ」
「カン・ジヒョンがあの女…」
深刻そうにするジュンジェを見てモランは訊ねる。
「何があったの?」
「実は…」
ジュンジェらの身辺で起きる一連の出来事について話そうとするナムドゥをジュンジェが制した。
「何でもないよ」
しかしそれがモランに疑念を与えた。
「何があったのか教えて…?」
ジュンジェが答えられないでいるとナムドゥが代わって答えた。
「殺人犯のマ・デヨンは御存じで?」
「ニュースで聞いたことあるわ」
「その男の行方を追ってるんですが、マ・デヨンはその女とかんけいがあるんです」
「関係って…どんな…?」
「それは…」
答えようとするナムドゥをジュンジェが声を荒げて制した。
「知り合いの刑事に聞かれただけだよ」
「ああ、そうだったな」
ナムドゥは笑ってジュンジェに合わせた。
★★★
チャ・シアはジュンジェ宅へやってきた。気まずいことになった。
インターホンを押すのをためらっていると、ユナたちを送って行ったテオが車から降りて上がってきた。
「どうしたの?」
テオに気づいたシアは訊ねる。
「ジュンジェのお母さんが来てるでしょ?」
「来てるよ」
「もしかして私の話をしてなかった?」
「どんな話を?」
出なかったらしい。
「何でもないわ」
「…入らないの?」
シアはテオを見た。
「私と飲みに行かない?」
「僕は…シアさんとは飲みたくない」
「いいから来て」
シアは腕を取った。嫌がるテオを強引に飲み屋へ連れて行った。
シアはガブガブ酒を飲んだ。テオはシアの話を聞きながら五分で退屈した。
「この話を聞いたらいくらあんたでも、一瞬で私を嫌いになるわ」
腕枕してシアの話を聞きながらテオは目をパチパチさせる。
「(もともと好きでもないよ…)」
自然と目はまた塞がった。
「…あの人がジュンジェのお母さんだと私は知ってたの」
テオは目を開ける。知ってた?
「どうして黙ってたの?」
「私はあの人に失礼を重ねてきて…すごく仲が悪かったの」
「…」
「でも最近―彼の母親だと知った。だから、関係を修復してから話すつもりだったの。その前に2人は再会しちゃった。もう終わりよ」
シアは涙を浮かべた。
「彼とはもう友達でいられないわ。彼には嫌われるもの」
「…」
「私は悪い女よ」
「…」
「どう? 一瞬で私を嫌いになったでしょ? でも、感謝しなさい。私だって彼を嫌いになりたいけど、どうしても無理なの。あなたは私みたいになっちゃダメよ。私への未練は断ち切りなさい」
テオはくすっと笑う。
「(けっこう自信過剰だな…)」
シアはオイオイと泣き続ける。
この分では明日にはケロッとなるんじゃないのかな…なぜかシアに好感度を覚えるテオだった。
ジュンジェは電話を入れた。
「カン・ジヒョンは俺の継母だった」
ホン刑事はボールペンを持ち遊びながらジュンジェの話を聞いた。
「今もマ・デヨンと通じてるなら…奴は継母の指示でお前を殺そうとしたのか? だが―何のために?」
相棒が椅子を寄せてきた。
「恨みでも買ったのでは? 考えられますよ」
ホン刑事は相棒の椅子を蹴った。
相棒の言葉が回線に乗って伝わり、ジュンジェはため息をつく。
― 父さんの遺書が公証を受けた。ほぼ、全財産が僕と母さんに相続される。
チヒョンから聞いた言葉が脳裏に浮かんだ。
「思い当たるのは」とジュンジェ。「相続問題だ」
「相続問題ね…」ホン刑事はノートに何か書きつける。「人を殺すほどの財産があるわけじゃないだろ?」
次の瞬間、ホン刑事は緊張する。
「何?」
話が大きいので今度は笑いだす。
「こんな時に嘘をついてる場合かよ。父親が大富豪だとでも?」
信じてもらえずジュンジェは顔をしかめる。それでも父親の名を告げた。
「何だって!」
ホン刑事は立ち上がる。相棒がそばに来る。
「それ、本当なんだな?」
「そんなことより、すぐ事情聴取をしてくれ」
「…しかし、決定的な証拠がない。それにこっちの動きがバレてしまうぞ。まずは証拠を固めないと…こっちに力を入れよう」
「何を言ってる。すべてつじつまが合うんだ。もう時間もない」
「で、どうする気だ?」
「俺のやり方で証拠を見つけ、すべてを明らかにする」
そう言ってジュンジェは電話を切った。
ワインで乾杯した後、ナムドゥは切り出した。
「お母さん…ひとつお伺いしたいことがあるんです。かまいませんか?」
「ええっ…何かしら」
「ひょっとして…カン・ジヒョンという人を知ってますか? 同じ高校出身のようです」
「カン・ジヒョンですか?」
モランは怪訝そうに問い返す」
「知ってる人?」とジュンジェ。
モランは表情を強張らせた。
「どうして彼女のことを?」
「ちょっとですね。理由ありで調べてるんですが、全く行方がわからなくてお手上げ状態なんです」
「…知ってる人よ」とモラン。「ほんとによく知ってる人…」
「そうなの?」
「うん。あなたも知ってる人よ」
「俺も知ってる…?」
モランはしっかり頷いて答える。
「あなたの継母(ままはは)よ」
ジュンジェは驚いた。信じられない顔して訊ねる。
「名前はぜんぜん違う人だよ?」
「改名したの。今はカン・ソヒよ」
「改名ですか? そんな記録は残ってなかったんですけど…」とナムドゥ。
「高校時代の名前はカン・ジヒョンだった。間違いないわ」
「カン・ジヒョンがあの女…」
深刻そうにするジュンジェを見てモランは訊ねる。
「何があったの?」
「実は…」
ジュンジェらの身辺で起きる一連の出来事について話そうとするナムドゥをジュンジェが制した。
「何でもないよ」
しかしそれがモランに疑念を与えた。
「何があったのか教えて…?」
ジュンジェが答えられないでいるとナムドゥが代わって答えた。
「殺人犯のマ・デヨンは御存じで?」
「ニュースで聞いたことあるわ」
「その男の行方を追ってるんですが、マ・デヨンはその女とかんけいがあるんです」
「関係って…どんな…?」
「それは…」
答えようとするナムドゥをジュンジェが声を荒げて制した。
「知り合いの刑事に聞かれただけだよ」
「ああ、そうだったな」
ナムドゥは笑ってジュンジェに合わせた。
★★★
チャ・シアはジュンジェ宅へやってきた。気まずいことになった。
インターホンを押すのをためらっていると、ユナたちを送って行ったテオが車から降りて上がってきた。
「どうしたの?」
テオに気づいたシアは訊ねる。
「ジュンジェのお母さんが来てるでしょ?」
「来てるよ」
「もしかして私の話をしてなかった?」
「どんな話を?」
出なかったらしい。
「何でもないわ」
「…入らないの?」
シアはテオを見た。
「私と飲みに行かない?」
「僕は…シアさんとは飲みたくない」
「いいから来て」
シアは腕を取った。嫌がるテオを強引に飲み屋へ連れて行った。
シアはガブガブ酒を飲んだ。テオはシアの話を聞きながら五分で退屈した。
「この話を聞いたらいくらあんたでも、一瞬で私を嫌いになるわ」
腕枕してシアの話を聞きながらテオは目をパチパチさせる。
「(もともと好きでもないよ…)」
自然と目はまた塞がった。
「…あの人がジュンジェのお母さんだと私は知ってたの」
テオは目を開ける。知ってた?
「どうして黙ってたの?」
「私はあの人に失礼を重ねてきて…すごく仲が悪かったの」
「…」
「でも最近―彼の母親だと知った。だから、関係を修復してから話すつもりだったの。その前に2人は再会しちゃった。もう終わりよ」
シアは涙を浮かべた。
「彼とはもう友達でいられないわ。彼には嫌われるもの」
「…」
「私は悪い女よ」
「…」
「どう? 一瞬で私を嫌いになったでしょ? でも、感謝しなさい。私だって彼を嫌いになりたいけど、どうしても無理なの。あなたは私みたいになっちゃダメよ。私への未練は断ち切りなさい」
テオはくすっと笑う。
「(けっこう自信過剰だな…)」
シアはオイオイと泣き続ける。
この分では明日にはケロッとなるんじゃないのかな…なぜかシアに好感度を覚えるテオだった。
ジュンジェは電話を入れた。
「カン・ジヒョンは俺の継母だった」
ホン刑事はボールペンを持ち遊びながらジュンジェの話を聞いた。
「今もマ・デヨンと通じてるなら…奴は継母の指示でお前を殺そうとしたのか? だが―何のために?」
相棒が椅子を寄せてきた。
「恨みでも買ったのでは? 考えられますよ」
ホン刑事は相棒の椅子を蹴った。
相棒の言葉が回線に乗って伝わり、ジュンジェはため息をつく。
― 父さんの遺書が公証を受けた。ほぼ、全財産が僕と母さんに相続される。
チヒョンから聞いた言葉が脳裏に浮かんだ。
「思い当たるのは」とジュンジェ。「相続問題だ」
「相続問題ね…」ホン刑事はノートに何か書きつける。「人を殺すほどの財産があるわけじゃないだろ?」
次の瞬間、ホン刑事は緊張する。
「何?」
話が大きいので今度は笑いだす。
「こんな時に嘘をついてる場合かよ。父親が大富豪だとでも?」
信じてもらえずジュンジェは顔をしかめる。それでも父親の名を告げた。
「何だって!」
ホン刑事は立ち上がる。相棒がそばに来る。
「それ、本当なんだな?」
「そんなことより、すぐ事情聴取をしてくれ」
「…しかし、決定的な証拠がない。それにこっちの動きがバレてしまうぞ。まずは証拠を固めないと…こっちに力を入れよう」
「何を言ってる。すべてつじつまが合うんだ。もう時間もない」
「で、どうする気だ?」
「俺のやり方で証拠を見つけ、すべてを明らかにする」
そう言ってジュンジェは電話を切った。