韓国ドラマ「がんばれ!クムスン」(142)
ジョンシムはピルトを見た。
「はい、そうですが」
「ああ、姑さんで?」
「はい。私がクムスンの姑ですが」
「初対面で失礼ですが、私はオ・ミジャと申します。お嫁さんの働いていた美容室の院長です」
「ああ・・・そうですか。こんにちは。お座りください」
オ・ミジャは腰をおろした。ピルトたちも座った。
ジョンシムは飲み物をソンランに作らせる。
「それで・・・院長が私どもに何の用で・・・」
「それが・・・もしかして、お嫁さんが男に会ってるのをご存知で?」
ジョンシムたちは顔を見合わせた。
「私がお嫁さんの会ってる男の母親です。
「あの・・・何のお話なのか・・・」
「まったくお気づきなく? ああ、知らなかったんですね――最近、お嫁さんが男に会ってます。その男が私の息子です」
「・・・」
「それで失礼だと思いますが、お二人にお話をしたくて失礼を致しました」
「・・・」
ソンランが飲み物を運んできた。それに口をつけてからミジャは言った。
「とても驚きの様子ですね」
「・・・」
「お二人には失礼ですが、息子を持つ母親として切実で――先ほども言いましたが、お嫁さんの働いた美容室の院長です」
「・・・」
「それで本当は――今までお嫁さんをかわいがり目をかけていましたが、気付いたら息子と交際していたんです」
「・・・」
「それでひどくがっかりし、何度も言い聞かせたり、注意してみましたが――昨日は息子の部屋で・・・」
ミジャはカバンから写真を取り出し、ジョンシムたちに見せた。
フィソンを入れてのスリーショットだ。
「それで切迫してお伺いしたんです」
「・・・」
「本当に知らなかったんですか? お嫁さんと息子の仲はずいぶん経ちますが、子供まで一緒に会って・・・」
「あの・・・お話は分かりました。ですが、今日はお帰りください」
「・・・」
「まず私たちは、嫁が戻ったらそのことを聞いてみたいと思います。申し訳ないですが、お帰りを」
「はい、分かりました。本当に初対面で失礼いたしました」
ピルトは立ち上がってミジャに頭を下げた。
「ここで失礼します。それでは」
ミジャはいそいそと門の外に出た。
「クムスンは運のいい子ね。義父母も礼儀正しいし・・・まったく何をしてるのかしら――そうよ。いいのよ。よくやったわ。義父母にも知ってもらわないと――婚家で知れば好き勝手には会えないはず」
ミジャは頷いた。
「来てよかったのよ。よくやった」
写真を見ながら、ジョンシムは保育所の前でクムスンとフィソンに会っていた男を思い浮かべていた。
ピルトも帰り道でクムスンと一緒にいた男のことを思い浮かべた。
「クムスン――その方はどなた?」
クムスンは返事に窮していた。
ジョムスンはジェヒに訊ねた。
「手はどうしてそんなことに? そんなにひどい怪我なの?」
「いいえ」
ジェヒは包帯を見て答えた。
「包帯はもうすぐ取れます」
「怪我の話はクムスンに聞いてたけど、こんなにひどいとは思わなかった。ほんとに心配ないの?」
「はい、ほんとに心配ありません」
ふたりのやりとりにクムスンは吹きだしている。
「ご心配されるかと治ってから来る予定が、先日、お伺いすると伝えてあったし、お待ちになるかと」
「そうなの。会いたくてすごく待ってたのよ」
「はい。それで包帯が取れる前にやってきました」
ジョムスンは身を乗り出す。
「私に会いたくて来たのね?」
「はい、とてもお会いしたかったです」
ジョンシムは愉快そうに笑い出す。
そこにサンドとクマの声が響いた。
「クムスン、いたのか」
「お帰り、早くこっちに」とジョムスン。「この間、話したクムスンの・・・」
「ああ、クムスンにプロポーズした・・・」
「はい。初めまして。ク・ジェヒと申します」
「そうか、よく来た。俺はクムスンの叔父だよ」
サンドは手を差し出しかけて止める。腕の包帯に気付いた。
「手を怪我してるな」
「すみません」
「すまないなんて・・・酒を飲んで転んだか?」
冗談気味に笑う。
クマも挨拶する。
「クムスンの従妹のクマです。お会いしたかったです」
「顔合わせがおわったらなら、いいから早く座りなさい」
「そのお姉さんの名前はナ・クムスンよ」
ヨンオクはウンジンを呼び、クムスンの話をした。
「名前は前に聞いたわ。どんな生活か聞かせて」
「・・・」
「23歳なら大学生なのに・・・学校に通ってないのね。じゃあ、何をやってるの?」
「俺が話すよ」とキジョン。
「いいえ。私から話すわ――クムスンは美容師になるため、美容室で働いているの」
「・・・」
「そして――早くに結婚して、3歳になる息子が一人いるわ」
「もう、結婚したというの?」
「ええ。でも結婚してすぐに夫が死んで、今は一人身よ。生活は、まだ婚家でしているわ」
「・・・」
「そうなの。クムスンはいい環境で成長できなかった」
「話にならない。ママは知りながらも」
「・・・」
「分かったわ。連絡先を教えて」
「ウンジン・・・」
「教えてってば。どうしてママは・・・そんなことをして今まで・・・」
ウンジンは泣きそうな顔で席を立った。そのまま外へ飛び出していった。すぐさまウンジュが後を追う。
ジェヒはジョムスンを始め、ナ家の歓待を受けている。
サンドが言った。
「実は前に別れたと聞いてとても残念だったんだが、クムスン、また交際することにしたのか?」
「はい、叔父さま」
「はい」
ジェヒは返事して立ち上がった。
「正式にご挨拶します。おばあさま、儀礼に従いご挨拶を――」
ジョムスンは嬉しそうにする。
「ああ、そうね。そうなんだけど・・・礼儀も大事でいいんだけど、手がね・・・次にしよう、次に」
「そうだよ。その手で何の挨拶だ。座って」
「それでは、手が治ってから正式に」
ジェヒは腰をおろす。
「おばあさま、叔父さま、叔母さま――結婚させてください。どうかお許しを」
クムスン以下、みんな目を丸くする。
「クムスンさんには了承を得ました。おばあさま――どうかお許しください」
「ああ・・・私はいいけど」とジョムスン。「・・・あの御宅ではどうなの? 許してくれてないでしょ?」
「はい。まだ・・・ですが、認めてもらいます」
「ああ、そうね。そうだと思ったわ。1人息子の結婚だから、そんな簡単に許してくれないわよね」
「ですが、必ず認めてもらいます。信じてください」
「ああ、そうだ。大事なのは本人たちの気持ちだ。私は認めるよ」
「ありがとうございます」
みんなから”おめでとう”の言葉が飛んだ。
スンジャの”おめでた”もみなに公言され、ジェヒもクムスンとともに”おめでとう”を言った。
ジョムスンは二人を見送って外に出た。
「どんな困難も乗り越えていきなさい」と励ました。
ソンランは家族の食事作りに励んだ。
この時、携帯が部屋で鳴ってるのに気付いた。
電話してきたのはソンランの元夫だった。
「・・・いいわ。話して」
クムスンには交際している男がいた。
ピルトとジョンシムはオ・ミジャから知らされた事実にショックを受けていた。
今にして思い当たる。
ジョンシムは夜中にクムスンが携帯に夢中だったの思い出した。
夜中に文房具を買いに出て、てぶらで帰ってきたこともあった。
「あなたは知らなかったの?」
「知らなかったよ・・・」
「幼稚園の前で1度見たわ。フィソンと3人でいた。まさか・・・と思ったの」
「俺も1度会ったんだ。何日か前に・・・家の近くに2人でいた。テワンが知り合いだと・・・」
「テワンが?」
「ああ。今、考えてみたら・・・テワンがクムスンをかばったんだろう」
「呆れた・・・」
「まだ確実じゃないだろ。クムスンに聞いてみないと」
「さっき母親が持ってきた写真を見たでしょ。それにこのお金をどう思う?」
「・・・」
「このお金はきっと・・・暮らし向きが急によくなるはずないもの。タイミングもぴったり合ってる」
「・・・まさか、それは考えすぎだ」
「”まさか”? 信じたくない? あの子が私たちを裏切ると思った?」
部屋のドアがノックされる。
ソンランが入ってくる。
「お食事の支度ができました」
「・・・」
「あの・・・豆腐チゲをつくりました。食欲がなくても少しでも」
「おい」
「私はいいから、あなたは食べて」
ピルトはソンランを振り返った。
「悪いが・・・後で食べよう。俺もいい」
「でも食べないと・・・お義母さんも・・・」
「嫌だって言ってるでしょ。私はまだ、あなたの顔を見たくない。嫌だって言ってるのにしつこいわよ。シワンが離婚を拒むからじっと耐えてるのよ。わからないの?」
「おい」
「自覚がなさ過ぎるわ。私の前をうろつかないで」
「・・・」
「ソンラン・・・お前の用を足しなさい」
「はい・・・では、買い物に行ってきます」
ソンランはシワンに会いに行った。近くの公園に呼び出した。
「何だ、これは?」
「座って。疲れた午後にお茶の差し入れ」
「いいな」
シワンはサンドイッチを手にした。
「お前の手作りか?」
「買ったのよ」
シワンは黙って頷く。ソンランは苦笑いする。
「いいわ。次は作ってくる」
「はっはは、まだ口ばかりだろ」
「本当よ」
「分かった。期待してるよ。ああ、うまそうだ――うまい。お前も食べてみろ」
「それとコーヒー」
「だけど――何だか怪しいな。話があるんだろ?」
「違うわ。買い物に来たついでよ。――本当は・・・話があって」
「・・・」
「ウジュのことで電話があって、ウジュを送るというから分かったと答えた」
「ああ、そうか――よくやった。いつ来るんだ?」
「それが・・・10日後に送るというの」
「10日後? そんなに早く?」
「早いわよね。だからできるだけ、遅らせるように頼んだ」
「・・・」
「だけど、それでも一週間くらいなの」
「そうか・・・それじゃ明日から急いで家を探さないと・・・10日か・・・早すぎる。それまでに家は見つかるかな?」
「探してみるわ。休暇だから私が探すわ」
「それじゃ明日から探して」
ジェヒとクムスンはフィソンを連れて買い物にやってきた。
「先生が意地を張るから来たけど、高いものはダメよ。この子の言いなりにならないで。言いわね? 1つだけよ」
「わかった。フィソン、あっちだ」
ジェヒは電話ごっこに付き合ったりしてフィソンを楽しませた。
クムスンがトイレにいったのを見て、ジェヒは一気にフィソンの心の攻略に出た。
「フィソン。フィソン――今日、おばあちゃんに結婚を許してもらったんだ。だからこれからは――パパと呼んで――パパ」
フィソンはパパと呼ぶことに興味を示さない。
ジェヒはアタックを続ける。
「俺はこれからフィソンのパパだ。パパ」
「・・・」
「一度くらい呼んでくれよ。おじさんもパパがいなくて不慣れで何度も練習したんだ。いいか――パパ。パパだ」
「・・・」
「なら、”パ”だけでいい。”パ”」
「・・・」
「何だよ――パパと呼べるのは幸せなんだ。大きくなるとパパがいないとさみしい。ほら、一度だけ。パパ」
フィソンはおもちゃの車をおりてあっちへ行く。
ジェヒは苦笑いする。
「そうだな・・・お前も俺と同じで不慣れだよな。フィソン!」
ジェヒはクムスンとフィソンの帰り道を送った。
「ここからはフィソンと二人で帰るわ」
「ああ」
「先生・・・今日――義父母に話します」
「・・・」
「家での騒動が解決したの。これ以上は騙せないし、今日、話します。だから――しばらく連絡できないかも。連絡をするまで待っててください」
「わかった。待ってる。その代わり、電源は切るな」
「はい。わかったわ」
「クムスン――1人で言いづらかったら俺が・・・」
「いいえ。前にも話したけど、ダメよ。私が言うべきだわ。私には特別な人たちなの」
「ああ、わかった」
「じゃあ、行きます――フィソン、おじさん、さようなら」
「さようなら」
フィソンはジェヒにペコリと頭を下げる。
「フィソン、バイバイ」
「はい」
「またね」
「はい」
「それじゃあ――行きます」
「クムスン」
「・・・」
「堂々と話すんだ。申し訳なくても罪じゃないんだ」
「・・・」
「胸を張って。お前のそんな顔は俺もつらいよ」
「・・・」
「お前も幸せになる権利があるんだ」
「・・・行くわ」
「テワンさん、食事は?」とソンラン。
「食べたよ」
「テワン、座れ」
ジョンシムが出てきた。
「あなた――もう待てないわ。クムスンに電話して」
ピルトが電話の受話器を手にしたらクムスンの声がした。
「ただいま」
フィソンも一緒に入ってくる。
「ただいま戻りました」
「今まで何を? どこにいたの?」
「フィソンを連れて――」
「そのおもちゃは何? あなたが買ったの?」
「違います」
「それじゃ? 誰なの?」
「お義母さん・・・」
「ソンラン――フィソンを連れてって」
「お義母さん・・・」
「早く」
ソンランは立ち上がり、フィソンを部屋に連れていく。
「部屋で叔母さんと遊びましょうね」
「お義母さん・・・」
「”お義母さん”?」
ジョンシムは円卓の上にあった写真をクムスンに差し出す。
「これを見なさい」
クムスンは写真を握る。
「何なの?」
「・・・」
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