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韓国ドラマ「病院船」から(連載198)
「病院船」第18話➡医療空白⑪
★★★
島の保健支所との回線を切った医師は廊下に出てきた。カン・ドンジュンが廊下で顔を合わせた。
「遠隔診療はどうでした?」
「やっと一人だけ見た。まだ大勢いる」
「えっ?」
「ところで、なぜ病院船の運航をやめた。レントゲン撮影のために海洋警察やヘリを呼ぶのか?」
「はあ?」
「遠隔診療など馬鹿げてる。この調子でやっていけるのか? PCの前に患者を座らせて、2人がかりで診療することに何の意味がある」
「それが…」
「1人が診ればすむことだ。だろ? 効率が悪すぎる」
「…」
「やってられないよ」
「ええ」
「腹が立つ」
担当医師はムカムカした顔で立ち去った。彼を見送りながらドンジュンはぼやいた。
「俺に怒ってどうするんだ。俺が病院船を止めたとでも? まいっちゃうなあ」
ドンジュンは頭をかきむしった。
保健支所にやってきた患者は、ヒョンの丁寧な診察を受けて終えてひとりひとり帰っていった。
患者宅に出向いたジェゴルやジュニョンたちも引き上げてきた。
後は熱のあるおばあさんだけになった。
「おばあさんの熱は?」
「少し上がった」
「やむを得ない。漁船で向かおうか」
「大丈夫かな―身体が冷えると悪化する」
「船室を暖めればいい。巨済に急ごう」
「…浮かない顔だな。どうした?」とヒョン。
「事務長の身内に何かあったようだ」
ヒョンの顔色は変わった。
★★★
事務長の携帯が足元で鳴った。携帯画面にヤン・チュノの名が浮かび出ている。しかし、事務長は出ようとしない。
事務長は元妻の状況を悲観していた。
ゴウンはようやく事務長を捜しあてた。
住宅地公園の休憩所の縁に事務長は力なく腰をおろしている。
ゴウンはそばに歩み寄って携帯を拾い上げる。鳴り続ける携帯を事務長に差し出す。
「出ないの? 仲間ですよ」
「…」
「なぜ、家に入らないんです?」
「…」
「子供に会いに来たのでは?」
「面目がなくて…」
ゴウンは横に腰をおろした。
「知ってますか? 妻が出産する時も私は―1度も付き添わなかった。妻は2回ともひとりで産婦人科に行った。ひとりで手続きをし、出産した」
「病院船に乗ってたため?」
深く何度も頷いた。
「子供の入学式や」卒業式にも行かず、子供が問題を起こしたことも全然、知らずにいた」
「…」
「子供たちに無関心な父親が現れて―”母さんが死にそうだ。準備して出てこい”―”最後の挨拶をしろ”と言われたら…」
「最後じゃないわ」
ゴウンは前を見たまま言った。
事務長は顔を起こした。ゴウンを見た。
ゴウンは事務長を見つめ返した。
「ソンヒさんは死にません。私が守ります」
「…」
「だから家に行って子供たちを連れて来てください。”最後の挨拶”でなく”母さんが手術するから応援しに行こう”と伝えて」
「ゴウンさん…」
「私は彼女と血液型が同じだし、”肝が大きい”女です。だから肝臓を一部提供しても問題はありません」
ゴウンは明るく笑った。
「ソンヒさんは私が守るので、事務長は一生懸命病院船を守ってください」
「…」
「病院船に乗って30年…空しくて無意味な日々だったと―後悔なんかしないでください。後悔したら許しませんからね」
ゴウンはあらためて事務長を見る。
「あなたは現場を守り、多くの命を救ってきたんです」
事務長はゴウンを見て涙ぐんだ。グスグスと泣いた。
ウンジェは手術衣を着た。ウンジェの信念は揺らがなかった。術後に噴き出す諸問題を脳内から払拭し、目の前の患者を助けると決意していた。
手術着の上に白衣をまとったウンジェは院長室のドアを叩いた。院長の前に立った。
院長のキム・スグォンは驚いた。
「その恰好は何のマネだ」
「外科医が手術衣を着たらいけませんか?」
「君…!」
「執刀させてください。キム・ソンヒさんを―救いたいんです」
キム・スグォンは困惑した。
そこに後ろから声がかかった。
「そうはさせない」
入って来たのはドゥソングループ会長のチャン・テジョンだった。
キム・スグォンはすぐさま立ち上がる。
「君に貸す手術台は第一病院にはない」
チャン会長はそう言ってキム・スグォンを見た。
「そうだろう? 院長」
キム・スグォンは返事に詰まった。
ウンジェもキム・スグォンを見た。
「このままでは患者が命を落とします」
チャン会長は冷淡に言い放った。
「患者を転院させるんだ」
「患者を救いたいんです、キム院長」
「…」
「我々が約束した支援を打ち切ってもいいのか、キム院長?」
決断を迫られ、キム・スグォンは苦渋の顔を浮かべた。
「病院船」第18話➡医療空白⑪
★★★
島の保健支所との回線を切った医師は廊下に出てきた。カン・ドンジュンが廊下で顔を合わせた。
「遠隔診療はどうでした?」
「やっと一人だけ見た。まだ大勢いる」
「えっ?」
「ところで、なぜ病院船の運航をやめた。レントゲン撮影のために海洋警察やヘリを呼ぶのか?」
「はあ?」
「遠隔診療など馬鹿げてる。この調子でやっていけるのか? PCの前に患者を座らせて、2人がかりで診療することに何の意味がある」
「それが…」
「1人が診ればすむことだ。だろ? 効率が悪すぎる」
「…」
「やってられないよ」
「ええ」
「腹が立つ」
担当医師はムカムカした顔で立ち去った。彼を見送りながらドンジュンはぼやいた。
「俺に怒ってどうするんだ。俺が病院船を止めたとでも? まいっちゃうなあ」
ドンジュンは頭をかきむしった。
保健支所にやってきた患者は、ヒョンの丁寧な診察を受けて終えてひとりひとり帰っていった。
患者宅に出向いたジェゴルやジュニョンたちも引き上げてきた。
後は熱のあるおばあさんだけになった。
「おばあさんの熱は?」
「少し上がった」
「やむを得ない。漁船で向かおうか」
「大丈夫かな―身体が冷えると悪化する」
「船室を暖めればいい。巨済に急ごう」
「…浮かない顔だな。どうした?」とヒョン。
「事務長の身内に何かあったようだ」
ヒョンの顔色は変わった。
★★★
事務長の携帯が足元で鳴った。携帯画面にヤン・チュノの名が浮かび出ている。しかし、事務長は出ようとしない。
事務長は元妻の状況を悲観していた。
ゴウンはようやく事務長を捜しあてた。
住宅地公園の休憩所の縁に事務長は力なく腰をおろしている。
ゴウンはそばに歩み寄って携帯を拾い上げる。鳴り続ける携帯を事務長に差し出す。
「出ないの? 仲間ですよ」
「…」
「なぜ、家に入らないんです?」
「…」
「子供に会いに来たのでは?」
「面目がなくて…」
ゴウンは横に腰をおろした。
「知ってますか? 妻が出産する時も私は―1度も付き添わなかった。妻は2回ともひとりで産婦人科に行った。ひとりで手続きをし、出産した」
「病院船に乗ってたため?」
深く何度も頷いた。
「子供の入学式や」卒業式にも行かず、子供が問題を起こしたことも全然、知らずにいた」
「…」
「子供たちに無関心な父親が現れて―”母さんが死にそうだ。準備して出てこい”―”最後の挨拶をしろ”と言われたら…」
「最後じゃないわ」
ゴウンは前を見たまま言った。
事務長は顔を起こした。ゴウンを見た。
ゴウンは事務長を見つめ返した。
「ソンヒさんは死にません。私が守ります」
「…」
「だから家に行って子供たちを連れて来てください。”最後の挨拶”でなく”母さんが手術するから応援しに行こう”と伝えて」
「ゴウンさん…」
「私は彼女と血液型が同じだし、”肝が大きい”女です。だから肝臓を一部提供しても問題はありません」
ゴウンは明るく笑った。
「ソンヒさんは私が守るので、事務長は一生懸命病院船を守ってください」
「…」
「病院船に乗って30年…空しくて無意味な日々だったと―後悔なんかしないでください。後悔したら許しませんからね」
ゴウンはあらためて事務長を見る。
「あなたは現場を守り、多くの命を救ってきたんです」
事務長はゴウンを見て涙ぐんだ。グスグスと泣いた。
ウンジェは手術衣を着た。ウンジェの信念は揺らがなかった。術後に噴き出す諸問題を脳内から払拭し、目の前の患者を助けると決意していた。
手術着の上に白衣をまとったウンジェは院長室のドアを叩いた。院長の前に立った。
院長のキム・スグォンは驚いた。
「その恰好は何のマネだ」
「外科医が手術衣を着たらいけませんか?」
「君…!」
「執刀させてください。キム・ソンヒさんを―救いたいんです」
キム・スグォンは困惑した。
そこに後ろから声がかかった。
「そうはさせない」
入って来たのはドゥソングループ会長のチャン・テジョンだった。
キム・スグォンはすぐさま立ち上がる。
「君に貸す手術台は第一病院にはない」
チャン会長はそう言ってキム・スグォンを見た。
「そうだろう? 院長」
キム・スグォンは返事に詰まった。
ウンジェもキム・スグォンを見た。
「このままでは患者が命を落とします」
チャン会長は冷淡に言い放った。
「患者を転院させるんだ」
「患者を救いたいんです、キム院長」
「…」
「我々が約束した支援を打ち切ってもいいのか、キム院長?」
決断を迫られ、キム・スグォンは苦渋の顔を浮かべた。