職場での昼休みはいつも読書と睡眠。今日は朝からまあいい天気だった。にわか雨が降るというような天気予報だったと聞くが、職場に雨は降らなかった。
さて昼休み、二三十分読書して睡眠を取ろうとしたら、身体のスリムなクモが僕の車と駐車場を囲う通路の手すりとの間に糸を張り、巣を作り始めていた。
「こんなところに・・・・・・馬鹿なやつだ」
僕は苦笑しながらその様子を眺めていた。車の屋根と手すりとの7、80センチほどの間にどうして糸を張れたのかはぜんぜんわからない。しかし、現実にその一本は日差しにときおり光っていて、彼はその横線を軸に斜めに糸をおろしているところだった。その横線をおろした後、彼は手すりの方でゴチョゴチョ動いていて、それが何をやっているのかわからないので、僕は見るのに飽きてメガネをはずして寝てしまった。
二三十分寝て起きると、そいつの姿は見えなかった。ただ横線と斜めにおろした糸の間にもう一本糸が下りていて、さっきと変わったところといえばそれだけだ。手すりの向こう側の作業に追われたのかもしれないと思ったが、時計を見ると始業時間が近づいているのであたふたドアをしめ職場に戻ってしまった。
帰り、どれほどの完成具合か確かめようと思っていたのだが、午後の仕事に追われてそれをすっかり忘れ、巣の具合を確かめもせずに車のエンジンをかけて帰ってきてしまった。
果たしてどんな巣になっていたのだろう。
確かめられなくて、ちょっぴり残念なことである。