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サブタイトルの“ペット流通の闇”とあるように、年間8万匹以上も“処分”される犬たちを生み出しているペット流通の蛇口である“小売り”焦点を当て、最後の受け皿になっている“自治体”の実情を取材、最後にこの現状を変えようとする動き・・・「動物愛護法改正」の動きで締めくくっている。目次だけでも内容は想像できると思うので、以下に紹介。
第1章 命のバーゲンセール
第2章 「幼齢犬」人気が生む「欠陥商品」
第3章 隔週木曜日は「捨て犬の日」
第4章 ドイツの常識、日本の非常識
第5章 動物愛護法改正に向けて
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もちろん、小売りと自治体の間には、消費者がいる。離婚や転居、生活苦などの他、安易な理由で、犬を捨てる無責任な飼い主がいるわけで、そこへの言及はあるんだけど、まずは、“命”を預かりながら、動物をモノとしてしか見ていない売り手の構造を変えて、蛇口を閉めることが重要で、あと自治体が、動物の安易な引き取りをしないことが大事だって著者は考えてるように感じる
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「抱っこさせたら勝ち」と、親元から、生まれて間もない子犬を引き離し、移動販売などで衝動買いさせる。もちろん、飼い方への細かい説明などはなし、「幼齢犬」としての売り時が過ぎたら、自治体の処分に大量に持ち込む。
命をモノしか考えない大量生産・大量消費のメカニズム。
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いや、これはね、あれこれ説明するより、読んで貰うのが一番。多くの自治体では殺処分機での二酸化炭素ガス注入という残酷な形での“処分”がされている。その数、年間8万匹以上、犬猫を併せれば30万匹以上。
動物は他にもいる、爬虫類だっている。犠牲になっている“命”の何と軽いことか。先進的な事例として紹介されている熊本市の動物愛護センターでは、「嫌われる行政になろう」を合言葉に“殺処分ゼロを目指す”という目標を掲げ、無責任な飼い主たちと正面から向かい合う。
場合によっては、殺処分に飼い主を立ち会わせ、犬を抱えさせたまま、獣医師が鎮静剤などを注射する。飼い主の腕の中で痙攣しながら死んでいく犬・・・。
現状は厳しいながらも、現場の懸命な取り組みの中で変わっていきつつある。あとは、法の枠組みで安易な「売り手」と「買い(飼い)手」を淘汰していくこと。
本文は140ページ余り。平易な文章で、良質な調査報道がいかんなく発揮されている。今飼っている人、飼おうと思っている人に関係なく、一人でも多くの人に読んで貰いたい。
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