10月は菊を描きます。
菊は四君子の一つの画題です。
四君子(蘭・竹・菊・梅)は、墨絵の基本といわれています。蘭は清逸、竹は節操、菊は淡泊、梅―は高潔、で表現されます。
秋の季節は、いろいろなところで菊の品評会が行われます。お出掛けの際、菊をみる機会がありましたら、よく観察してみましょう。菊はいろいろな色がありますので、ご自分の好きな色で仕上げます。
菊の花は、百花がしぼみ、草木が枯れ始めた晩秋に咲き始めます。寒い西風や厳霜をものともせずに瑞々しい香りを放ち、静かに且つ美しく咲き誇ることから、従来「高潔な節操」を持つ花だと言われています。
菊好きで知られている、中国の代表的な隠逸詩人の陶淵明(とうえんめい)は、自らの隠遁生活を 「采菊東籬下, 悠然見南山(ツァイ ジュ ドン リ シャ、ヨウ ラン ジエン ナン シャン)」-東の垣根の下で菊の花を採り、悠然と南の山を見る。この詩句で描きました。この詩に、詩人の高潔な志と世俗を超えた境地が表されていて、人々に愛され、広く朗詠されました。この詩が世に出て以来、菊の花が「世に隠れた上品かつ静かなさま」を表す象徴的な意味を持つようになり、 名声や富貴に対して無欲無心な隠者の比喩として使われるようになりました。即ち、「無欲淡泊」な君子のイメージが成り立ちました。
https://www.archi-voice.jp/アーキ・ヴォイス中国語教室ブログより