へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

キチローは今日も元気

2020-06-01 16:00:49 | へちま細太郎

実孝です。
一応、藤川家の実質経営者です。
オヤジは、若い女の子とみると口説きまわるクセが抜けず、仕事もテレワークと称して何をしていることやら。そんな夫を見て、妻である母は、
「ATMよ、ATM、種馬兼用」
と、オヤジの素行を気にする素振りも見せない。よく平気だな、と聞いてみたことがあったが、
「それ、自分の奥さんに聞いてみなさい」
と、逆襲された。そんなことしてみろ、命がいくつあっても足りねえ。
「うちもテレワークしたいんだが、動物のなんとかというゲームじゃあるまいし、パソコンでは食い物は育たんよな」
俺のボヤキに優秀なる執事の北別府は、
「ま、なんですな、健康が一番でございます」
と答えてきて、少々ボケが入ったかなとやや危惧している。
「うちの会社にテレワークは似合いませんよ」
兄貴の教え子のゆうきは、作者がすっかり漢字でどう書くんだっけ?という存在になり果てたが、実は役に立つ働き者だ。将来の筆頭家老と目されている。
「その筆頭なのがキチローだけど、元気に竹林で竹を切りまくって何やら製作してますよ」
「あ?切ったばかりの竹なんぞ、役に立たん。倉庫裏にたくさん置いてあるだろうが、10年物が」
「そういうことじゃなくて、竹を組んでなんだか檻を作って何やら飼うらしいです」
「は?」
あのバカたれが、何をやってんだ!
慌てて竹林まで行くと、かごの中でうごめく動物をかがんでみている後藤と荒波がいた。白崎は北海道に飛ばしてやった。
「キチローが、カワウソ見つけたから見張ってろって言うんですけど、これって…」
後藤が籠の中を指さす。
「なんか、臭いんですけど」
都会人を鼻にかけてるが、実は下町な荒波が傷んだ茶髪をかきあげた。
「カワウソだってクせえよってか、これ、イタチだ」
「は?」
「イタチ~?」
と、叫んだところで続いちゃっていい?
いいよな?

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