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捨てられない男

小さい頃ってのは妙なものを大事にしたりする。壊れた時計の歯車、電車で伸ばした釘、物置から出てきた何に使うか判らないもの。判らんものを集めてどーすると思うのだが、うちの物置にはそんなものが一杯詰まっていた。

石鹸箱にカンナの刃が付いたようなもんがあった。親父に用途を尋ねたらカキ氷製造機だという。氷柱を寝かせ、カンナをかける要領でこれをこすり付けると、かいた氷が箱の内側にたまるというのだ。真夏にやれば容器に移す頃は解けているだろうに、昔の人は気が長かった(笑)。

ドライバーを入れた金属製のペン立ては底が部厚く倒れにくい構造だったが、今思うにあれは50mm砲弾の空薬きょう。なんであんなもんが物置に転がってたのか未だに謎だ。親父の物持ちが良すぎたのかもしれない。

学生時代はスキー屋でバイトをしていたので、見様見真似でリペアーを覚えた。そのせいで滑りに行く時はスキー靴のバックル、ストックリングのストッパー等のスペアーは必ず持参した。と言っても廃棄品から使えそうなものだけをはずした中古パーツである。

あるツアーで野沢に行った時、ゲレンデで立ち止まると足元にビンディングのかかと部分が落ちていた。自分のものには合わなかったが、スペアに加えようと何気なくディパックの中に入れ、滑り降りる。途中でそのツアー№1の美女が所在なさげに立っていた。

何かトラブルがと話し掛けたら、転んだはずみでビンディングの押さえが取れてしまったとの事。よく見ると先程拾った部品が合うではないか。取り付けのボルトはないが、仮止めのままゆっくり滑れば宿までは問題なく帰れそうだった。

安全を期し、急斜面を避けて長い林道を2人でゆっくりとしゃべりながら滑り降りたのだが、夕食でも感謝される事しきりだった。それからというもの、単車のブレーキレバー、ギターの糸巻き等、物を捨てる度にパーツの増加に拍車がかかった。部屋が片付かない大きな理由はこれである。

ここで問題がひとつ。それ以後、ストックのお陰で美女に感謝された事など一度も無い。それどころか自分の役にすら立った事がないのだ。そろそろガラクタコレクションを捨てにかかるかなぁ。
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