ひじきごはんを食べましょう(sorry, this blog is UNDER CONSTRUCTION←おー

どうもひじきごはんです。ほんとに食べちゃだめですよ、俺のことをね。

はんとうをでよ つづき

2005-07-30 01:06:59 | Weblog
この話、俺、好きになりました。「共生虫」まあまあ、「希望の国のエクソダス」いまいち、嗚呼、「愛と幻想の~」の衝撃、「69」の躍動いずこへ、と思っていましたから、いよいよ亜完全復活かな、村上龍、ってところです。なぜ亜がつくかというと、上巻読んでた途中で「これって箱庭の話だよな~」と思ったからです。でも、読み進むうちにそんなこと忘れて続きが読みたくて読みたくてバイトがおわった瞬間に本屋にスクーターを走らせたんですけどね。上巻のヒキはまさしく見事です。

あ、今思ったんですがこの物語には主人公がいません。そこもいいですね。

ただ、ちょっとひっかかったのははじめ9人の高麗遠征軍の先発隊が試合中の福岡ドームを占拠した時、不適応者たちのグループの連中はそれをテレビで観ながら「こいつらに手伝おうよ」って言い出してるんですよ。爆弾マニア、テロ愛好家、殺人者、そんなやつらのグループですからそれはアリなんです、俺。でも、下巻の冒頭でグループのリーダー格のおっちゃんが脈絡なく「こいつらは敵じゃ~」って決めるんですな。それが唐突だったな~って思いました。そこで熊襲、という言葉が出てくれば俺は喜んでたと思います。

…あと、こまごまとしたことを。ドラゴンが、占領される地方を九州に設定したのはなかなかイイ!と思いました。ドラゴンは佐世保の出身だったかな?無責任に北海道やらあたりを持ち出さなかったのは新鮮です。原発を狙うとかいうコテコテの話にしなかったのも説得力があります。とにもかくにも人質。とりわけダッカ事件のような過去のある日本ではそれが一番脅迫できる。リアルです。その上、ドラゴンはダッカ事件の時の「テロに屈した」という世界からの批判を「それは日本のやり方なのだ」と主張すればよいのだ、みたいなことを下巻で書いてます。うむむ、ただの破壊衝動暴力称賛作家じゃなくなりましたね、ドラゴン。円熟味です。あと、嬉しかったのは盛岡という単語が五回くらい出てきたこと。9人が福岡ドームを占拠した時日本の総理大臣は盛岡にいたんだそうです(!!!!)盛岡は青森のねぶたやリンゴ、秋田の美人さんやきりたんぽ、山形のさくらんぼ、宮城の独眼竜や牛タンや石森章太郎、福島の白虎隊や円谷英二みたいなのに今イチ欠けるマイナー田舎ですからね。その昔「日本のチベット」とか呼ばれたりして。物語の本筋に関係ないささやかな扱いでも、名前が出てくるだけでとっても嬉しいのです♪あ、石川啄木も出てきますよ、作品の引用といっしょに。馬鹿にされてるけどw熊襲は蝦夷を馬鹿にしてるからなあw明治維新やったのはおれたちばい、って誇りだからなぁw俺、駒場寮に入るまで出身地なんてどこでもかんけーねーだろと思っていましたが、3人くらい衝突した人間が全員山口県出身だったものでそれが偶然か必然かよくわからなくなったんですよ。山口と岩手。同じく五人の総理大臣を輩出しています。因縁ですかねぇ。だから、そういうことも考えるようになったし、歴史というものにも前より時間をさくようになりました。

今までドラゴンの小説は一位「愛と幻想の~」二位「69」だったんですが、「半島を出よ」は「69」を越えました。新しい二位です。なぜ一位ではないか?それは「愛と幻想の~」の頃のやぶれかぶれさに欠けているなぁと思うからです。あのころドラゴンはこの日本に漂う不快感の根源を見定めようと必死だったんだと思います。「この支配からの卒業」を、彼もしたかったんだと思います。彼の一つの答えは「セブンシスターズ」だったみたいです(説明めんどいのでぐぐって下さい)。俺は、そこはどうも村瀬隆(名前これでよかったよな?また高橋克巳じゃあ恥ずかしいからなぁ)の「赤い盾」に軍配があがると思うんですが、でも、村瀬隆とドラゴンどっちが好きって言われたらドラゴンだもんねぇ。なんか、怜悧に憧れてるくせにとんちんかんなことも言ったりするあたりが憎めません。「半島を出よ」はかなり読みやすかったしハラハラさせるのうまいし(ほんと、下巻では「エー、これドウナルノ!?」と最後までドキドキしっぱなしです。そういうのは「愛と幻想の~」ではなかったですからね)よりによって北朝鮮ネタでエンターテインメントかYO!と、商売人村上龍に脱帽ですな。拉致問題でむかむかしてたここ数年(家族会とかあのヒゲの兄貴とかにむかむかしてるんですぜ)だったので、すかっとしましたわ。

うん、騙されたと思ってみなさんも読んでください。ただ、高いから図書館でいいと思いますよ。何だったら上巻は俺がお貸しします。行きの送料くらいは出しますぜ。
んじゃ、この話はここで。
コメント (2)
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