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アメフト観戦記や読書日記を綴っていましたが、最近は古墳(コフ)ニストとして覚醒中!横穴式石室をもつ古墳にハマっています。

「不利益分配」社会

2006-12-12 02:12:41 | 読書日記
 「不利益分配」社会 ~個人と政治の新しい関係~
  高瀬 淳一著 ちくま新書
 現在、社会情勢は混沌としている。少子高齢化、社会保障制度の破綻、財政赤字の増大、若干景気は回復気味ではあるが、先行きはなんとも見えない時代であると言える。そうした現在において政治による調整が求められている。
 かつて政治は、利益をどう誘導してくるのか、分配していくのかという利益分配型政治であった。しかし今は、公共事業に代表されるように利益を分配していける状態ではなくなってきている。財政赤字の増大はもはやそんな余裕も与えられない状況になっているのだと思う。いまや利益の分配以上に、不利益をどういった形で分配していくのかを国民、市民の間で合意をいかに得るかが大事になってきているのだと著者は言っているのだと思う。
 そうした背景の中、登場した小泉前首相は大衆迎合だと言われながらも、従来の政治勢力を「抵抗勢力」と称して力を削ぐことに成功した。それはマスコミもうまく活用しながら、パーソナリティを出して、国民に言葉で単純にわからしめたことが成功したことに他ならない。そして小泉元首相に「抵抗勢力」として排除されたのは、かつての利益分配型政治をつかさどっていた面々に他ならない。
 これからの時代、高度成長やバブル期のような財政はもはや考えられない。税収のかなりの部分は借金返済で消えていく。これからはどんな不利益を国民に負担させられることができるのかが政治家の手腕に見せ所なのだと思う。
 もはや、利益を誘導して、集票できると言うシステムが壊れつつある中、これからの政治で必要なことは、不利益をいかにうまく国民の合意を得て実現していくかと言うことにあると思う。著者はそのためには言葉が必要なのだと言う。そうして大衆の支持を動員していくことが、政治過程として求められるのだとする。小泉前首相はこういったことができた。しかし今の安倍首相は非常に心もとない。国民が前回の選挙で支持した郵政反対派の切捨て、道路族の問題など前首相がぶち壊したものが徐々に復活してきているように見える。まだ利益の調整で渡っていけると思っているのかなあ。ただ現実、支持率が急落しているところをみると国民の合意を得ているとはいえなさそうである。
 首相の支持率と言う問題がある、いつからストレートに政権に影響するようになったんでしょう。竹下元首相辺りから支持率が首相の首をすげ替えることができる力を持つようになったんではないでしょうか。もはやプレ大統領制的なところすら見られるようになった。そして浮動層=自立層支持をいかに取り付けるかと言う問題になってくるのかな。(私もちゃっかり自立層。)
 小泉前首相と言う稀代のエンターティナーの後を受けた安倍内閣。どうも色あせた感じを受ける。早くも正念場を迎えていそうな現政権。どうなることやら。
 
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